
中小企業に経営課題を尋ねたアンケートでは1位は「求める質の人材が不足」、2位は「人材の数が不足」、3位は「社内の人材教育」となっています。
中小企業の多くが人材に関する悩みを抱えていました。
そんな中小企業の悩みに応えるという「大人の武者修行」。
大人の武者修行
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東京の丸の内。
ここに大人の武者修行を終えた人たちが集まっていました。
トヨタ自動車株式会社の販売店の店長はスーパーマーケットで、医療関係の技術者はビルメンテナンスの会社など全くの異業種で修行をしてきたといいます。
大人の武者修行は中小企業向けの人材育成プラン、経済産業省の補助事業として2014年からスタートしました。
約100社の優良企業を認定して、そこに人材育成に悩む中小企業が将来を担う幹部候補を送り出します。
期間は2周間以上。
研修費の3分の2は国が補助します。
株式会社こんの
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2015年12月、北海道札幌市。
古紙問屋、株式会社こんの札幌営業所。
ここに大人の武者修行に行く社員がいます。
株式会社こんのでは家庭などから出たダンボールや古新聞を選別して再生紙の原料として製紙会社に販売するのが業務です。
ビニールなど紙以外全ては異物です。
一つ一つ取り除いていきます。
5人いる部下の仕事をチェックしているのが林偉大所長。
林偉大所長が何かに気づきます。
従業員がビニールを入れたままプレス機に投入しようとしていました。
選別が俺らの仕事だからね。そこを手を抜くと何も選別できていることにならない。
ところが注意した後に林偉大所長に電話が入り、現場を離れると従業員たちはまた作業が雑になります。
ビニールの紐が入っていてもお構いなしです。
そこに一人の男性がやって来ました。
福島県に本社を置く株式会社こんのの紺野道昭社長です。
株式会社こんのは全国に10ヶ所の営業所があり、月に1度従業員の様子を見て回っています。
ビニールでしょ、切って。
ダンボールの中にビニールに入ったままの新聞紙がありました。
紺野道昭社長は苦笑いで、呆れてモノがいえません。
原因について紺野道昭社長は
一番は林のリーダーシップ。もっと成長して私の右腕左腕になってほしい。
紺野道昭社長は林偉大所長を会社を担う人材にしたいと考えていました。
大人の武者修行に期待をしています。
林偉大所長は
武者修行で頭がいっぱいです。
お手並み拝見だね。どれだけやってくれるのか。
十勝バス株式会社
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1月13日、北海道帯広市。
林偉大所長は慣れない背広姿で大人の武者修行に向かいます。
訪れたのは従業員約250人の十勝バス株式会社。
この度は、お忙しい中武者修行を受け入れていただきありがとうございます。
十勝バス株式会社は1926年創業、黄色い車体が目を引く路線バス会社です。
数々の取り組みが1冊の本になるほど奇跡の再生を成し遂げたと評判の会社です。
武者修行初日、林偉大所長は市内地を走るバスに乗ります。
多い、びっくりした。
平日の午後3時、座席は満席です。
十勝バス株式会社はマイカーなどの普及で1980年台をピークに売上が激減。
一時は会社存続の危機に陥りました。
ところが2012年、40年ぶりの増収に転換。
地方の路線バス会社が軒並み苦戦するなか大きな注目を集めています。
十勝バス株式会社を再生させたのが4代目社長の野村文吾社長。
挨拶に来た林偉大所長に突然、思わぬ質問をしました。
朝起きて意識して歯を磨いていますか?気が付いたら、いつも通りにやっている。それが悪い磨き方だと虫歯ができる。「良い習慣」をどれだけ身に付けられるか。勝手に自動操縦に入って、いつまでも成果を出すやり方を続ける。
悪い習慣を良い習慣に切り替える。
その仕掛けが十勝バス株式会社にはありました。
武者修行3日目の1月15日。
この日は「点呼」と呼ばれる部署で修行です。
運行が終わったドライバーは必ずここを通り報告をします。
団地の中どうだった?滑る?雪残っている所ある?
出発するドライバーもここを通ります。
特に柳町の団地の中狭くなって滑るから。
前のドライバーから得た情報を出発するドライバーに伝えます。
林偉大所長、良い習慣作りに気付きました。
聞かれることで「これを言ってあげよう」という使命感が運転手に生まれるんですか?
武者修行は順調に進んでいました。
いわき大王製紙株式会社
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ところが林偉大所長、いきなり自分の会社に呼び戻されました。
上司と向かったのは古紙を納めている取引先「いわき大王製紙株式会社」です。
いわき大王製紙株式会社は新聞紙やダンボールなどの再生紙を製造しています。
株式会社こんの札幌営業所は古新聞を納品していました。
ところが定期的に行っている検査で問題が起きていました。
見せられたのは古新聞の中にビニール袋や牛乳の紙パックが入った写真です。
「株式会社こんの」以外の取引先の平均をとっているが、札幌営業所からのものは異物の割合が高い。品質の低下につながる重大な問題。
定期検査で見つかった異物の量は300kgの新聞に対して他社の平均は6.36kg、しかし札幌営業所は6倍近い36.50kgもありました。
突きつけられた結果に林偉大所長の表情が強張ります。
これを見てショック。持ち帰って周知徹底します。
その場で札幌営業所の部下に連絡を入れ厳重注意をしました。
十勝バス株式会社
1月28日、十勝バス株式会社での武者修行が再開されます。
この日は車で住宅街に連れて行かれました。
これから飛び込み営業をかけるといいます。
訪ねたのは一般の住宅です。
お出かけにバスは全く使わない?
北海道は車社会、バスを利用するのが数年に1度という人は珍しくありません。
健康の意味でもバス停まで歩くと車より歩行数が多くなる。
他の住宅では
高齢者の事故もよく聞くし、そうなる前に検討いただくのもいいのかと。
バスを使わない人にも声を掛けることを習慣化しています。
こうした営業活動で得た意見から「目的別時刻表」が生まれました。
例えばデパートに行くなら「西2条8丁目」のバス停。どの路線に何があるのか一目瞭然です。
この時刻表を配ると乗客が徐々に増加。
十勝バス株式会社復活の呼び水になったといいます。
戸別訪問は意味がないという話が出ていたと思うが?
最初はこれが絶対に効果あるとは誰も思っていなかった。
夜10時、帯広の繁華街。
野村文吾社長が林偉大所長を食事に誘いました。
間違った習慣を身に付けていて当たり前に動いているから失敗が出る。それは「人格」じゃない「習慣」。
堕落しがちなやつだと思ってしまう。
人格の否定に入っている。そこに入ってはいけない。いいやつだと信じ切る。悪い習慣を良い習慣に切り替えたら絶対に成果を出せる。
すごくタイムリーに思っていたことなのでスッと入ってきた。
それが十勝バス株式会社流の人材育成でした。
こうして林偉大所長の3週間の大人の武者修行が終わりました。
株式会社こんの札幌営業所
1月31日、林偉大所長が久しぶりに戻ってきました。
ダンボールがくっついている。雑誌の山なのに。
いきなり目についた雑な作業。
果たして武者修行の成果は出せるのでしょうか?
武者修行の成果
4月26日、株式会社こんの札幌営業所。
十勝バス株式会社で武者修行をしてから約3ヶ月。
林偉大所長は学んだことを実践していました。
正しい行動を意識して「良い習慣」を身に付けよう。
十勝バス株式会社の教え、良い習慣を根付かせようとしていました。
2016年度の札幌営業所のスローガンは「正確、迅速な仕事で更なるレベルアップを!」
- 正しい行動を意識して良い習慣を身に付けよう。
- 先延ばしにせず、すぐに取り掛かろう
- 人に愛を持って、幸せな営業所をつくろう
率先してリーダーシップを発揮する林偉大所長に応えようと部下たちも仕事に対する意識に変化が出てきました。
丁寧な選別も習慣化してきました。
この日の午後、林偉大所長に一本の電話が。
電話の相手は古紙を納品しているいわき大王製紙株式会社でした。
林偉大所長の表情が強張ります。
3分の2というのは前回の…
電話が終わると嬉しそうに微笑みます。
品質検査の結果、札幌営業所の異物が約7割減少したといいます。
部下たちの仕事ぶりの変化が数字に表れていました。
その日の夜、林偉大所長は部下たちを誘い飲み会を開きました。
みんなを喜ばせようと品質検査の報告します。
部下たちの反応は意外なものでした。
全然満足していない。
まだ他社の平均より異物が多いことを悔しがっていました。
林偉大所長は武者修行を経験したことでリーダーになるためのヒントを掴んだようです。
今まではどうやったら人材育成できるかと考えていた。一緒に楽しく前向きに仕事ができる存在になれば熱中して伸びていくのは人なので、そういう環境をつくれる人になりたい。
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