激変!世界の"勢力図"
アメリカ ウクライナ危機の裏で…
ウクライナ危機で深刻化したヨーロッパのエネルギー不足。その裏である国の存在感が急速に増しています。アメリカです。

ロシアによるウクライナ侵攻の直前、ノルドストリーム2の停止を強く訴えていたのがバイデン大統領でした。

ドイツと共に約束通りノルドストリーム2を阻止する。

この背景に何があるのか、取材班はアメリカ南部ルイジアナ州へと向かいました。

ニューヨーク支局の手塚明日香記者。
この辺り一帯、車で走っているとあちこちでLNGのプラントがあります。

ルイジアナ州はLNG(液化天然ガス)の一大生産地。

なかでも一際大規模なプラントを運営するのがキャメロンです。

今回、特別に取材が許されました。

3年前から稼働するこのプラント。年間1,400万トンものLNGを生産でき、現在はフル稼働中だといいます。

キャメロンLNGのマイケル・モッパート氏。
あの大きなパイプがついた冷却装置で天然ガスを液体にしている。

天然ガスは圧力をかけながら超低温のマイナス162度に冷やすことで液体になります。

体積は600分の1になり、船で運ぶことも可能になるのです。

2000年代後半にシェールガス革命を迎えたアメリカは2017年に天然ガスの輸入国から輸出国に転換しました。

ただロシアから直接パイプラインで天然ガスを輸入するヨーロッパ向けの輸出では苦戦していました。

しかし、ここにきて状況が一変。
こちらは1月に新しくできたばかりのLNGの生産施設です。間もなく船に積み込んで初めての出荷が始まるということです。

新たな大型プラントを稼働させ、量産に動き出したのがベンチャーグローバルLNGです。

新プラントで生産されたLNGを満載したこの船、行き先はヨーロッパと見られています。

マイク・サベルCEOはウクライナ危機によりヨーロッパでのエネルギー不足がアメリカのLNGに大きな影響を与えるといいます。

マーケットではアメリカのLNGは1年前から需要はあったが、最近はヨーロッパからの需要が急速に高まっている。

すでにヨーロッパ向けの契約を交わしていて、引き合いはさらに増えているといいます。

ヨーロッパの顧客はポーランドやイタリア、スペイン、ポルトガル、イギリスにもいる。

ヨーロッパのロシアからの天然ガス輸入量はウクライナ情勢が悪化し始めた頃から減少。1月には前の年から4割も減りました。その穴を埋めていたのがアメリカ産のLNG。ヨーロッパへの輸出を急拡大させ、去年12月には世界一のLNG輸出国になったのです。

この状況に反応したのがロシア政府です。

ロシア外務省のザハロワ報道官。
アメリカはロシア情勢を混乱させることでロシアからヨーロッパへのガス輸出関係を壊し、利益を得ている。

アメリカがウクライナ危機を煽ることでロシアからヨーロッパ市場を奪おうとしていると批判しているのです。
LNGの輸出で活気づくルイジアナ州。

経済開発局のドン・ピアソン長官はウクライナ危機を受けてのエネルギー市場の変革をビジネスチャンスだと捉えています。

エネルギー安全保障がさらに重視され、供給体制の多様化が進むだろう。

ルイジアナ州のLNGがヨーロッパ市場を開拓し続けるチャンスだ。
