[WBS] 世界が注目、トヨタ式「カイゼン」!活用広がる現場を取材!

ワールドビジネスサテライト(WBS)

トヨタ自動車の工場の様子。手作りの小さな台車が材料を運搬しています。

こうした生産効率を上げるための設備の工夫、いわゆる「改善(カイゼン)」はトヨタの競争力を生み出す源泉となっています。

この「カイゼン」、英語の経営の本などでも取り上げられていて海外の企業でも広く取り入れられています。

そして、アメリカでは最近になってNPOや医療現場など営利企業以外の団体にも「カイゼン」が広まり効果を上げています。

North Texas Food Bank

テキサス州ダラスにある非営利団体「ノーステキサスフードバンク」が運営するフードバンク。

スーパーで売れ残った食品などを回収し、年間7,000万食を貧しい人たちに届けています。

ボランティア集めに苦労する上、大量の食品が集まるため届けます前に腐らせることもあったといいます。

ニューヨーク支局の宇井五郎さん、

届けられた食品ですが、中を見ますとラーメンやピーナッツバターなどいろんなものが混ざっています。これを仕分けるのは本当に大変ですがトヨタの「カイゼン」で工場ラインのような分業制にすることで作業時間が大幅に短縮したといいます。

例えば肉の仕分け作業を見てみると牛肉を扱うテーブルには牛、豚肉になら豚のイラストが描かれています。英語が分からないボランティアでも分かるように仕分け先をひと目で理解できるようにしています。

実はこれはトヨタの工場で使われている「カイゼン」を元にした取り組み。作業や課題を分かりやすくする「見える化」です。

食品を仕分けして箱詰めし配送に出すまで6日間かかっていたのが、2時間半で終わるようになったといいます。

ノーステキサスフードバンクの担当者は、

トヨタはいつも革新的。以前とまったく違うやり方になった。

トヨタ自動車株式会社

同じテキサス州にあるトヨタの北米本社。

実はトヨタは1992年に「カイゼン」をアメリカで広める団体を設立していて、その25週年を祝う式典が9月6日に開かれたのです。

トヨタの内山田竹志会長も日本から駆けつけました。

トヨタにとって大事なお祝いの日。25年間「カイゼン」を広めてきた。

集まったのは約200人。自動車作りに携わる人はもちろん、まったく異なる業種の人もいます。

トヨタプロダクションシステム・サポートセンターの堀之内貴司社長は、

カイゼンは問題を「見える化」して手を打つ、実はすごくシンプルなシステム。けれども、それを継続していくことがすごく難しい。カイゼンをグローバルに紹介しながら全世界のいろいろな人々の役に立てるようになればいい。

Cleveland Clinic

トヨタはどのように「カイゼン」の普及活動を続けているのでしょうか?

オハイオ州にある非営利団体が運営する総合病院。

リサ・イエリアン医師は、

私たちが作ったカイゼンボードです。7,000人いる病院関係者が問題やアイデアを貼り出しています。

この病院は自分たちで2年前から「カイゼン」に取り組んできましたが、限界を感じてプロに依頼することにしました。

この日、病院を訪れたのはベテランのカイゼン指導者、トヨタプロダクションシステム・サポートセンターのジェイミー・ボニーニさんです。

トヨタはこうした非営利団体に対して無償でスタッフを派遣してカイゼンを伝授しています。

リサ・イエリアン医師は、

カイゼンを続けることを学びたい。

ロバート・ヘイカ医師は、

自動車メーカーが医療機関を変えられるのか疑問に持つ人もいるが、より良い品質を提供するカイゼンは患者に対しても同じ、トヨタから学べるはず。

早速、病院内を見て回るボニーにさん。すると一人の看護師が、

こうして、強く押さないと石鹸が出ません。

石鹸が入った容器のレバーが手術を終えた患者には固すぎるというのです。

患者が使えないと看護師の負担が増える。この問題を改善すれば患者にも看護師にも良い改善になる。

一方、患者が人工透析を受ける部屋。ボニーニさんが何かに気付いたようです。

医療機器に赤い警告ライトが付いたまま放置されていました。

赤いライトが見えますか? トヨタの生産ラインでは赤いライトは大きな問題を表すサインです。ライトの色の使い方を変えたほうがいい。すぐに対応が必要な事態に赤を使うべき。

患者の命に関わる緊急事態に陥っても放置しかねないとして警告の色のカイゼンを提案することになりました。これはトヨタの生産ラインで異常が起きた時にすぐに知らせる「あんどん」というシステムの応用です。

問題がどこにあるのか深く掘り下げることを学ぶことができました。

年内にはこの病院での成果を出したいというボニーニさん。トヨタがモノづくりを通して培ってきたカイゼンというノウハウが業種を超えて浸透しようとしています。