[ガイアの夜明け] 立ち向かう!物流「危機」(3)

立ち向かう!物流「危機」

トーエイ物流株式会社

埼玉県加須市の物流倉庫。

台車の荷物をトラックに積み込む男性。ドライバー歴18年の樋口紘平さん(36歳)。高校を卒業後、全国に荷物を届ける大型トラックを運転してきました。

今、ある不満を抱えているといいます。

若い時からずっとやってきて下がいない。

樋口さんが勤めるのは埼玉県久喜市にあるトーエイ物流。中堅の運送会社です。

社長の遠藤長俊さん(53歳)。樋口さんと同じ危機感を抱いていました。

調べてみたら20代は1人もいなかった。平均年齢が5年前で46歳。

悩みのタネは深刻なドライバーの高齢化です。

業界全体でも40歳以上のドライバーは2003年に54%でした。しかし昨年は72%にまで急増。高齢化に歯止めがかかりません。

10年すれば大型の乗務員が完全にいなくなる。

しかしトーエイ物流にはトラックを操る若手ドライバーの姿がありました。

鬼になってやるしかない。

この会社が鬼になって取り掛かる高齢化への挑戦とは?

若手育成

埼玉県久喜市にあるトーエイ物流。

速度が速い。ハンドルの回し方より車の速度が速い。

運転の仕方を教えているのはドライバー歴24年の向後伊佐夫さん(64歳)。

指導を受けるのは田口凌さん(18歳)。そして山澤勝哉さん(18歳)。共に高校を卒業したばかりの18歳です。

「今日はこのコースをやる」って言っているんだから前回やった資料、見ればよかったのに。

高卒だと運転技術はまだまだ。運送会社が採用することはほとんどありません。

しかしここではあえて積極的に雇っているといいます。

そのためにこんなものまで用意していました。

今年1年、このメニューでやる。終わったら全てチェックして。

向後さんのノウハウを詰め込んだ教育メニュー。52項目にのぼります。

例えば車体の大きさを感覚的に掴む訓練や雨の日の安全な走り方。さらに接客する時の挨拶や身嗜み。言葉遣いにいたるまで教えます。

若手を戦力に育て上げることで人材不足を解消しようという戦略です。

責任重大だと思う。この子たちが最後までこの通りにいくかという不安がある。

免許を取ってまだ8ヶ月の2人。配達の研修で運転するのは軽トラック。会社で一番運転しやすい車です。

田口からやろうか。

この日は荷物を積み込む練習。お客様から預かった大切な荷物です。

段差曲がっているから製品が、下にこれ入れて。

傷を付けないように細やかに指示を出します。

隙間にこれ入れて、毛布。隙間が空かないように。

毎日、みっちり指導を受ける田口さん。進学して学びたいことがなかったため就職の道へ。しかし、何故この仕事を選んだのか?

聞かれんるんですよ。「何でドライバーなの?」って、何もないんですよ理由。志望動機書くの大変で。デスクワークと比べたら体を動かす方がいいと思って。どんどん消していって残ったのがドライバー。

志望動機は消去法。積極的に選んだ仕事ではなかったのです。

しかし会社にとっては大切な金の卵。新人ドライバーに大きな期待をかけています。

今年の2人はどうですか?

今のところ順調でいいですね。素直だし。

子育てしている親みたいな感じで、その時点でマル、バツ、三角はつけられない。当然、バツと三角だらけ。それを10年後に1人前にする。

向後さんが教える2人の売り上げはまだ月7万円ほど。給料や車の維持費を考えると大赤字です。

それでも会社はあの手この手で新人のやる気を引き出します。

給与

そのひとつが毎月の給料。

人事担当の鈴木英法さん、

田口、1ヶ月お疲れ様でした。

山澤、1ヶ月お疲れ様でした。

田口さん、給料を何に使うのか?

家に入れるお金。それである程度はなくなる。貯金できるところはして、あとは遊び。

「給与はいくら?」

16万5,000円。

初年度の給与は高卒初任給の平均とほとんど変わりません。しかし研修を終えて戦力となら来年から大きく引き上げるのだといいます。

はっきり言えないが20万円台になってくる。

大卒の初任給よりも高い給与を支払うことでやる気を引き出します。

20年後、30年後に会社としてはステップアップしながら残っているというのは、そこに投資の鍵がある。

準中型トラック

若手ドライバーの育成に力を入れるトーエイ物流。

9月7日、駐車場に1台のトラックが・・・。そこに新人2人の姿も。

実はこれ、2人のために用意された新車。

これまでは350キロまでしか荷物を詰めませんでしたが、これは2トンまで積むことができます。総重量5.2トンのトラックです。

2017年4月に免許の制度が改定。新たに「準中型」が設けられました。

これまで18歳では普通免許しか取ることができませんでしたが、この準中型を取ると7.5トン未満までの車両を運転することができます。

つまり若くても、これまでとり大きなトラックに乗れるようになるため即戦力となる可能性があります。

トーエイ物流が18歳を積極的に採用する理由がここにありました。

事故を起こさないように願いを込めて。

2台で1,000万円の新車。大型トラックが買えるほどの投資です。全ては新人2人のため。

鍵を渡すので事故を起こさないように。

安全に運転をし、大切にお預かりします。

山澤さん、早速運転席へ。

乗り心地いいです。軽とは違う。

新人に大きな新車を与えてやる気を引き出す。他社には真似できない渾身の一手です。

駐車練習

翌日の9月8日、早速新車で練習です。

納品先は狭いところが多い。どういう狭いところに行っても対応できるように。

狭いスペースにバックで車を停める技術。車の幅や長さを感覚で覚えることが最大のポイントです。

この大きさのトラックで仕事ができて初めて売り上げへの貢献が見込まれます。

まずは田口さんから。

タイヤの位置をよく確認して。

軽トラックとはまるで大きさが違います。果たしてうまく駐車できるのか?

どうすりゃいいんだこれ?バックすればいいのか?

車両感覚を掴めず早くハンドルを切りすぎたようです。荷台がパイロンにぶつかる寸前。

もっと角度つけていいよ。もっと角度つけていいよ、こっちに。

向後さんが助け舟を出しますが、

踏んでんのか?全然意味わかんねえ。腹立つな、全然分かんねえよ。

田口さん、スタートからつまづいてしまいました。

練習しかない。甘やかすことはできない。練習、練習で育てていく。

配送業務

9月14日、仕事の合間に練習を重ねてきた田口さん。配送の仕事には欠かせない基本中の基本、バックの駐車は果たしてできるようになったのか?

18歳の新人ドライバー、田口さん。1週間、バックで駐車する練習を重ねてきました。

その成果が試されます。

よし!

無事、1回で成功。

付きっきりで指導してきた向後さんの苦労も報われました。

そして与えられた新車でいよいよ配送。

トラックを走らせて40分、届け先に到着しました。

経験が少ないので運ばせてくれるのはまだ少量。

こちらにはカー用品を届けます。

教育係の向後さん、出先でも仕事ぶりをチェック。

オッケー。ご苦労さま。

まずは1件、無事に届けられました。

テキパキやっているし、数もチェックしながら降ろしていた。教え通りです。

このままいくと来年2月には自分の担当地域を持たせてもらえそうです。

消去法でこの仕事を選んだ田口さんに最近、少し変化が、

ホームセンターに行った時にワイパーや溶剤が置いてあるのを見ると自分が配達したものがこうなっていたらいいと思う。

2トン車に乗って表の出るようになってトラックに乗っている実感が湧いた。ずっと長くやっていけたらいいと思う。

トーエイ物流のマークをキレイにしておかないと社長に怒られるよ!

新たな可能性に掛け、物流危機に立ち向かう。若い力が未来を切り開いてくれるかもしれません。

トーエイ物流の遠藤社長は、

彼らがちゃんとうちにいてくれて一人前になっていけば、彼らが誰かを呼ぶような会社になる。雰囲気も変わる。彼らも成長するけど、会社も一歩前に出られる。期待はものすごくある。

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