日本人だけでなく外国人の観光客でも賑わっている羽田空港。
政府は環境産業を経済活性化の大きな柱としていますが、外国人観光客の誘致事業、受け入れ施設の整備などのための観光産業の財源が不足しているといいます。
そこで新たな財源として検討されているのが「出国税」です。
この新たな税金、本当に必要なんでしょうか?
日本から海外に出ると1,000円!?「出国税」の議論が急ピッチのワケ!
大浜平太郎キャスター、
出国税について議論をしている自民との観光立国調査会ですが取りまとめの議論が行われている最中です。
今回議論されている出国税とは?
日本人、外国人に関係なく日本を出国する際に1人1回、1,000円程度を徴収するというもの。
2016年度、日本から出国した人は約4,000万人なので年間だと400億円税収が増える計算です。
自民党観光立国調査会の林幹雄調査会長、
久々の新税創設であり、観光立国のスタートに追い風になる。
実は恒久的に徴収する国税を創設するのはバブルの余韻が残る1992年、所有する土地などに掛けられた「地価税」以来。
政府与党は2020年、東京オリンピック・パラリンピック前の新税導入を目指し急ピッチで議論を進める方針です。
「議論のテンポがはやくて国民に浸透していないのでは?」
自民党、佐藤ゆかり衆院議員は、
諸外国ではすでに導入しているので、日本がこれまで「取りこぼし」かなという感じ。
ここまで順調に進んできた議論ですが、1つ自民党から物言いがつきました。
岩屋毅衆院議員は、
「出国税」などという「観光することがけしからん」ことのよううな名称ではいけない。
「出国税」という名称が懲罰的だといいます。
そこで、自民党観光立国調査会の福井照事務局長は、
新たな観光財源として「観光促進税(仮称)」。出国税ではなく観光促進税というポジティブな名前にしてくださいという意味。
出国税とは?
出国税はその名の通り、飛行機で出国する時や船を利用して出国する時に掛かる税金ということになります。
海外の方が日本に遊びに来て、自分の国に帰る時も出国になりますので出国税が必要になります。
どのタイミングで出国税が徴収されるかは、飛行機の場合ですとチケットを購入した時にチケット代に含まれます。旅行の場合は旅行代金に含まれます。
重要なのは集めた税金を何に使われるのか、使い道です。
いわれているのは外国人観光客のさらなる誘致が大きいです。
近い将来、多くの外国人観光客が日本に来るとされる大きなイベントがあります。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックの対応に税収を使っていこうという考え方もあります。
ただ、このタイミングですと東京オリンピックに向けて急ピッチに作られたイメージがあります。
実際に海外で出国税を導入している国はあるのか?
韓国では飛行機を利用して出国する場合には約900円、イギリスの場合は距離や飛行機の座席のクラスによって約1,860円~約6万2,600円まで幅広い税率が導入されています。
日本の場合は1,000円程度になりそうということです。
1人1,000円を徴収!?「出国税」を観光客はどう思う?
「出国税について?」
払いたくないといえば払いたくない。金額の大小ではなく負担が増えるのは大変。
反対。何に使うかはっきり決められていない。
出国税への否定的な意見が多くありました。
一方、外国人観光客の意見。
アメリカ人観光客は、
高額ではないのでいいと思う。外国人観光客を増やす施策には賛成。
ポーランド人観光客、
いいアイデアだと思う。1,000円はそんなに高額ではないので。
日本国内の旅行環境が改善するのでは、という期待から賛成する人が多く見られました。
評価が分かれる中、出国税を提言した検討会の座長、一橋大学大学院の山内弘隆教授は、
無駄に使う、目的外に使う、本当に必要か疑問に思うような出国税の使われ方をチェックしなくてはいけない。
税金は有効に使われているか!?観光の動画…再生回数約100回
実は11月16日、税金の無駄遣いがないかを調べる秋のレビューが開かれていました。
観光庁は外国人観光客に地方の名所をPRする事業について報告しました。
歳出改革WG 評価者のデービッド・アトキンソン氏は、
何のために2,000万円を使ったのかと、実際に使う人の立場に立っていないことがいろいろなところで分かる。
批判を受けたのは広島市の平和記念公園など広島周辺の観光地や伝統芸能を紹介する映像の製作事業。
2,000万円かけて27本の動画を作りましたが、ほとんどが100回程度の再生回数にとどまっています。
さらに1,500万円で制作した北海道の東部をアピールする英語のWebサイトは、
「EXPLORE the WONDERLAND EASTERN HOKKAIDO」とローマ字にはなっていますが、英語といえるかというと全く通じない。
今ある税金の使い方についてすら厳しい指摘が相次ぎました。
観光庁観光地域振興課長の畠中秀人さんは、
新しい財源ができるかどうかは別にして今あるお金をしっかり効率的に使うのは私たちの使命。