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[モーニングサテライト]【大浜見聞録】横浜の新交通 空を使う!都市競争力を高める[泉陽興業株式会社]

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大浜見聞録、今回は都市部での新たな交通手段についてロープウェーを取り上げます。

日本では山間部の観光地で乗るもののイメージが強いですが、世界的に見てみるとニューヨークやロンドンなど都市部の交通手段としても実は利用されています。

今回は日本でもようやく誕生した横浜の都市型ロープウェーと近未来のロープウェーの最新事情を合わせて取材してきました。

泉陽興業株式会社

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桜木町の駅を出てすぐですが目の前にロープウェーが木の陰から出てきました。

今年4月に開業した「YOKOHAMA AIR CABIN」。

桜木町駅と新港地区の運河パーク駅までの630メートルを5分で結びます。

都市部で運行するにあたりさまざまな課題をクリアしました。

バリアフリー対策ではホームとゴンドラをフルフラットに。

ゴンドラには冷房を管理。物が落ちる危険から窓を開けることができないためバッテリーを搭載することで実現しました。

ロープウェーを運営する泉陽興業の松下克哉さん。

火災の危険などの問題をクリアしてクーラーを設置。

ロープや滑車に特殊な樹脂を使い、ゴンドラが通過するときのガタガタという音を抑えました。

下にいても…

虫の鳴き声のほうが気になる。

みなとみらい21地区は開発構想から50年以上が経過。未来型都市の競争力を向上させようと横浜市は新たな交通手段の導入を民間事業者に公募しました。

「よこはまコスモワールド」を運営する泉陽興業が提案したのが今回のロープウェー。

その狙いは…

運河パーク周辺は商業施設・結婚式場、先には赤レンガ倉庫がある。

桜木町駅からは少し距離がある。

新たな移動手段を導入しようという中で空を利用できなかと考えた。

桜木町駅から新港地区の赤レンガ倉庫までは徒歩で15分余りかかります。渋滞も発生しやすく自動車での往来も不便です。このエリアのアクセス向上は街の魅力を高める上で課題でした。

そうした中、ロープウェー導入への大きな推進力となったのがコストです。大きな工事が必要なのは3本の支柱と2つの駅の設置。

土地は横浜市から借用。工事着工から1年半ほどで完成しました。

総事業費は80億円。運営者が市に道路使用料を支払います。

料金は片道1,000円。

狙い通りの経済効果も表れています。近隣の商業施設やホテルがロープウェーの半券を活用したさまざまなプロモーションを活用しています。

「ちょっと遠い」と思っていた祖父母世代にも孫と一緒に気軽に足を運ぶことができるようになった。

新港地区の良さを再発見してもらっている。

これまでのロープウェー、ゴンドラはロープを掴み、ロープ自体が動いていました。

こちらは新たなタイプの実験機。

取り付けられているのはバッテリーとモーター。ゴンドラがロープの上を自走する仕組みです。

システムを開発した企業「ジップ・インフラストラクチャー」を訪ねました。

完成イメージを20分の1にした模型です。ゴンドラの自走はどのようなメリットをもたらすのでしょうか。

ジップ・インフラストラクチャーの木幡高志CTO。

カーブや分岐を作ることができる。

今までにないタイプ。

ロープで実現できるのは直線のみ。カーブをモノレールのような構造にすることでコース設計の幅が広がります。

分岐を作り、1台ずつ違った動かし方をすることも可能です。

「設置のコストを考えたらどこが一番削れる?」

支柱。

支柱は滑車が不要なため道路などで使われる直径50センチほどのもので対応。

既存の道路のスペースや中央分離帯などのスペースを使って設置できます。

システムの開発担当者はコスト面のメリットを強調します。

ジップ・インフラストラクチャーの須知高匡CEO。

ロープウェーは直線コースしか作ることができなかった。

海の埋め立てや土地の買収に多額の費用がかかっていた。

カーブができることで道路上にコースを作ることが可能になり、土地・土木費用が安くなる。

現在、自治体と企業と8つほどのプロジェクトの協議が進んでいます。

その1つが神奈川県秦野市。6月に協定を結び、これまでに実用化に向け4人乗りの試験路線を設置することが決まりました。

山間部には観光スポットも多い秦野市。

今ある自然や道路を残しながらアクセスを良くしようとしています。

秦野市のはだの魅力づくり担当、遠藤一成さん。

自然は次の世代に引き継いでいかなければならない。

コンパクトで大きな道路があるような町ではない。

ロープウェーの可能性がある。

傾斜が多い環境のため車で移動する住民も多い中、渋滞解消や環境対策など住みやすさの向上に努めています。

当面の課題は安全性についての理解を高めることです。

新たな交通システムを作るためには安全性を証明する審査が必要になる。

安全性を認めてもらうプロセスが難しい。

低コストで短期間での設置が可能となりつつあるロープウェー。新たなモビリティとしての可能性が高まっています。

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