三州製菓株式会社
[blogcard url="http://sanshu.com/"]
埼玉県春日部市にある三州製菓。
創業69年を迎える中堅菓子メーカーです。
主力製品はおかきや煎餅など。
揚げ煎餅は贈答用としても人気が高い。
埼玉県産の米粉に煎餅のたれを加えたバウムクーヘンなどユニークな洋菓子も作っています。
1日4万枚の煎餅を焼く本社工場。早くもバレンタイン商戦向けて生産に追われていました。
2015年から販売を始めた人気のハート型煎餅です。
実は煎餅の生地の水分量は気温や湿度によって変わるため毎日焼き加減を変えなくてはいけません。
火の強さの調整には熟練の技が求められます。
藤山聡志さんは、
生地は生き物ですのでいつも同じではない。
煎餅の焼きを担当する入社16年目の藤山さん。
そこに電話が…。
はい、分かりました!
電話を受けてどこかに行ってしまいました。
更衣室でエプロンを着けると、向かった先は洋菓子部門。
今度はバウムクーヘンを作り始めました。
一体なぜ?
「一人三役」ということで人手が薄いところにすぐ助けに行ける。
一人三役
三州製菓は27年間、ずっと営業黒字が続いています。
好業績を支えるのは一人三役制度です。
社員は自分の担当以外に2つ以上の仕事を身に付けることが求められます。
廊下に貼り出された一人三役表。どんな仕事があり、誰ができるのか、ひと目で分かります。
さらに仕事の熟練度を6段階で評価。一番下の新人から見習い、補佐、担当、玄人、そして達人まで。
一人三役に挑戦し熟練度をあげていきます。
営業事務の友光勝代さんと並木久美子さん。
友光さんはフランチャイズ店からの受注などを担当、並木さんは得意先の専門店に請求書を発行して郵送する仕事を担当しています。
この日はそれぞれが自分の仕事をこなしましたが、その翌日…。
友光さんはお休み、上司が一人三役表を見て代わりの人を指名します。
上司の板垣千恵子さんは、
並木さん、すいません。友光さんが休みなのでフランチャイズの業務をやってもらえますか。
ハイ、並木です。友光さんが休みなので私がやっています。
並木さんがフランチャイズの業務を一人でこなせる「担当」レベル。席を移りながら2つの仕事を実にスムーズにこなしていきます。
そのヒミツは連絡ノート。
年末年始の納品日などが分かりやすくまとめられています。
自分以外の人にも業務状況が一目で分かるようにしておく。
並木さんは、
いつ自分も休むかわからないので問い合わせが来た時も、ほかの人でも調べられるように心がけている。
そもそも何故、一人三役制度導入したのか?
斉之平伸一社長に聞いてみました。
女性が活躍できる会社にしようと。
子供が急に熱を出して帰らなくてはいけないときに周りの人が応援して帰りやすくする。
従業員約250人中、180人が女性。さらにお客様の大半が女性である菓子メーカーにとって女性社員の活躍は欠かせません。
サテライトオフィス
もう一つ三州製菓が取り組んでいることがあります。
企画室の小菅恵美さん、5歳の長男を育てながら商品開発に携わっています。
小菅さんが通勤するのは本社ではありません。駅から徒歩3分、直営店の2階にあるサテライトオフィスです。
本社は別の最寄り駅からバスで20分かかります。育児や介護などで通勤の負担が重い社員はサテライトオフィスで働けます。
働きにくければ働く場所を動かす。
プレミアムな商品を作ろうと配合を良いものにして試作していたが…。
実は小菅さん、「揚げパスタ」という大ヒット商品の生みの親。
会社の売上全体の10%余りを占めるなど大きく貢献している。
今このサテライトオフィスで次なるヒット商品を開発中。会社からの期待は大きい。
そんな小菅さんですが子育てと仕事の両立に悩んだこともありました。
子供に負担をかけないでどこまで仕事をできるか。
「難しくなったら辞めるしかない」と思っていた。
だが今は通勤の負担が減ったため保育園の送り迎えもスムーズにできています。
まだまだ手がかかるので、その点では非常に助かると思う。
斉之平伸一社長
三州製菓の斉之平社長。
「一人三役制度」を四役、五役に進化させたいといいます。
「セクショナリズム」「自分のことしか考えない」から会社全体を見渡せるようになる。
そういう面でもプラスになる。
今後は親の介護と仕事を両立できる制度なども必要になると考えています。
社員のニーズに応じた制度を作っていかないといけない。
上から目線で制度を作っても使われない。
いかに社員の満足度を上げるか、ニーズを引き出すのが社長の役目。