こちらの人物、ロシアのプーチン大統領が最も恐れているといわれているロシアの野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏です。
8月にロシア国内で毒を盛られたとされていますが、ロシアは本格的な調査を行っていません。
このことがロシアを巡る国際情勢にも影響を与え始めています。
アレクセイ・ナワリヌイ氏
9月15日、ロシアの反体制リーダー、ナワリヌイ氏がSNSに投稿した写真です。
病院のベッドで「一日中自分で呼吸できた」とコメント。
ナワリヌイ氏は8月20日、飛行機での移動中に体調を崩し、病院へ救急搬送されました。
関係者の判断でロシアでの治療を避け、ドイツへ運ばれましたが意識不明の状態に…
ドイツが旧ソ連が使った「ノビチョク系の毒物が使用された」との調査結果を発表しています。
民間では簡単に作れないため、ロシア政府の関与について疑惑が深まりました。
しかしロシア政府は関与を全面的に否定。
ロシア大統領府報道官、
ロシアの専門家の調査では毒物は検出されなかった。
刑事事件として取り扱うつもりはない。
そのナワリヌイ氏とは…
1976年モスクワ郊外に生まれ、大学時代には敬愛学を学び、その後弁護士に。
2000年頃政治活動を始め、しばらくすると次々に政財界の汚職を告発し、与党を「詐欺師と泥棒」と糾弾しました。
そして2012年にはプーチン大統領が最も恐れる男と呼ばれるように。
2014年に反汚職などを掲げる政党「進歩党」を作りました。
これはロシア社会の革命だ!
2017年には当時のメドベージェフ首相の不正蓄財疑惑を公開しました。
その時のシンボルが黄色いアヒルでした。
ナワリヌイ事務所モスクワ・リーダー、オレグ・ステバノフさん、
このアヒルはロシアの腐敗のシンボル。
ナワリヌイさんが行った有名な調査の中でメドベージェフ前首相の隠し持つ家の一つがアヒルのための家だと分かったんです。
彼らは選挙で大統領の与党、統一ロシアの議席を奪うため一番勝てる可能性の高い候補者に票を集中させるスマート投票という戦略を取っています。
ここで活躍するのが…
モスクワ支局のバレリー・ベロゼロフ記者、
ナワリヌイ氏の仲間たちが選挙のためのスマートフォンアプリを作りました。
選挙では独立派と見せかけた隠れ与党の候補もいるため、このスマートフォンのアプリで候補者情報を公開。
そして選挙前日に与党候補に勝てる可能性の高い候補を知らせ票を集中させるのです。
こうした活動にも政権は神経を尖らせているといいます。
ロシアでは過去にも政権に批判的な人物が殺害されました。
2018年にもイギリスで情報機関の元将校がノビチョクにより重体となりました。
この時も当局の関与は疑いでしたが、お互いの国が外交官を追放しあう国際問題に発展しました。
今回はヨーロッパ各国のトップがロシアに事件の説明責任を求めています。
ドイツのメルケル首相、
ロシア政府にこの事件の説明を求めます。
ロシアが答えなければいけない難しい疑問が出てくるでしょう。
ナワリヌイ氏の毒殺未遂事件が広げる波紋は収まりそうにありません。