三菱自動車工業株式会社
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岡山県倉敷市。ある自動車メーカーの企業城下町です。
街の中心部にある倉敷市役所。
職員に案内されて駐車場に入っていくと、
こういう感じで公用車が。
そこには同じような車がズラリ。
これが電気自動車の乗用と貨物の電気自動車です。
並んでいるのは三菱自動車工業株式会社の車。
200台以上ある公用車の内、8割が三菱自動車工業株式会社とのことです。
実は倉敷は三菱自動車工業株式会社の企業城下町。
燃費不正問題
この町が突然の出来事に襲われたのは2016年4月のことでした。
三菱自動車工業株式会社が車の燃費を実際よりもよく見せる不正を行っていたのが明らかになったのです。
倉敷市内にある三菱自動車工業株式会社の主力工場、水島製作所。
ここで問題となった軽自動車の4車種全てが作られていました。
生産ラインは2ヶ月半に渡りストップ。
販売台数が落ち込む中、三菱自動車工業株式会社は日産自動車株式会社の傘下に入る立て直し策を発表。
コストカッターの異名を持つ日産自動車株式会社のカルロス・ゴーン社長が三菱自動車工業株式会社の会長に就任することになったのです。
競争力がなければ、三菱の水島製作所であれ、日産の追浜工場、栃木工場、欧米であれ、ビジネスを失ってしまう。トップレベルの競争をするためには、競争力の低い工場とはビジネスができない。
企業城下町の城、水島製作所は新たな城主の元で再生を図ることになったのです。
有限会社中山鉄工所
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倉敷市にある有限会社中山鉄工所。
三菱自動車工業株式会社の一次下請けにあたる町工場です。
創業は1945年、従業員は25人。
自動車の部品を作るための金型を制作しています。
しかし、4月の不正発覚以降、三菱自動車工業株式会社からの発注が激減していました。
中山光治社長(51歳)。
5月。2件しかないとか、0件という月もあった。2割くらいになった、通常の売り上げベースでいうと。いつも頂いている2割くらいに減った。
これまでと同じことをしていては生き残ることはできない。従業員にもその想いを伝えます。
日産の傘下に入ることになり存続できるか大事な時期に入っている。我々がやっている三菱の仕事も生産性を上げていくことになる。皆さんが日々やっている仕事は本当に大事です。
有限会社中山鉄工所は創業当時から三菱自動車工業株式会社の下請けとして技術を磨いてきました。
祖父の代から続く工場を受け継いだ中山光治社長。経理を担当する妻の修代さんと二人三脚で経営を切り盛りしています。
僕自身、ここで生まれ育って、工場の機械の音を聞きなから、それは三菱の仕事をしながらの音。父親もずっと三菱の車に乗っている。普通の人以上に三菱に対する愛着や思いは強い。
新たな発注
11月、有限会社中山鉄工所に三菱自動車工業株式会社から新たな発注が届いていました。
内容は車輪周りに使われる部品を大量生産するための金型作り。
待望の仕事のはずですが、中山光治社長の表情が曇ります。
不正問題が起きる前に作った金型。1つの型から6つの部品を取るようになっていました。
ところが、新たな図面ではそれが8つに増えていたのです。
日産から生産性を上げなくてはならないと命令に近い指示が出ていて、急いでほしいと言われている。大変ですけど。
数が増えた分、型の構造は複雑になります。この課題をクリアしなければ次の仕事の保障はありません。
最新型の研磨機
この日、有限会社中山鉄工所に新しい機械が届いていました。
金属の表面を磨き上げる最新型の研磨機です。
この機械の導入で生産性のアップにつなげようというのです。
いい型ができるんじゃないか期待しています。
新型機の横に置かれているのが旧型の研磨機。30年間使い続けてきた愛着のある機械ですが切り替えることを決断したのです。
新型機の性能テストです。
黒い油性ペンで金属に模様を書き、磨いていきます。
この機械では1,000分の1ミリ単位で磨きの厚さを調整できるといいます。
ほとんど厚みのない油性ペンの黒い模様が少しずつ消えていきます。
旧型機と比べ、細かい注文の磨きにも対応できるようになりました。
新たな機械の導入には三菱自動車工業株式会社から発注が止まっていた時期の苦い経験も影響していました。
仕事がなかった時期に、いろいろとお願いしてほかの仕事もしていたけど、よそからの仕事だと高い要求の見積もりを頂いていた。うちでは対応できないので、その時は無理だった。
2,000万円した研磨機の購入で新たな借金も背負いました。
町工場には大きな負担ですが、中山光治社長は必要な投資と考えています。
我々は金型をつくる競争力を付けていくことが生き残っていくためにも、継続して仕事をしていくためにも必要。新しい技術には貪欲に挑戦していきたい。
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