競争が激しくなっている自動車業界のニュースです。
原付から大型までいずれもホンダの二輪車。
実はホンダはこの二輪車の事業の強化を急いでいます。
自動車大手の自動車の営業利益を見てみると四輪車の割合がトヨタ自動車の場合は8割以上、日産自動車も7割以上占めているのに対してホンダは二輪車を手掛けているので約6割にとどまっています。
トヨタ | 1兆9,943億円 | 四輪 84% |
ホンダ | 8,407億円 | 四輪 59% |
日産 | 7,422億円 | 四輪 72% |
トヨタや日産が将来の電気自動車の普及を見据えて他社との提携を急いでいるに比べると、ホンダは四輪車でなかなか成長戦略が見えにくいという声もあります。
そこでホンダは中長期的な成長のために営業利益の2割を占めている二輪車事業の強化に乗り出しています。
それが国内の販売網の大規模な改革です。
大型バイクなどの売り方を限定的にしてファンの囲い込みを狙おうとする新しい戦略に迫りました。
本田技研工業株式会社
[blogcard url="http://www.honda.co.jp/"]
神奈川県に新しくオープンしたホンダドリーム川崎宮前。
ホンダ直営の正規店として原付から大型まで全ての二輪車を販売します。
ホンダモーターサイクルジャパンの加藤千明社長は、
従来の店に比べると展示台数が約半分。1台1台のモデルの良さをじっくり感じてもらいたい。
展示台数を減らすことでゆとりのあるレイアウトに変わり、関連商品も合わせて展示できるようになりました。
二輪車事業はホンダの営業利益全体の2割を占め収益の柱の一つです。
今年度の世界販売台数は約1,940万台と過去最高を更新。世界トップを維持する見通しです。
しかし、その大半がアジアでの販売で国内は低迷。世界販売全体の1%にも届きません。
好調なアジアではなく、なぜ市場の伸びが見込めない国内の販売網を改革するのでしょうか?
今、日本で起きていることと同じような事象が世界で今後発生してくると思う。日本で課題に対する解決策を提示し世界の二輪車事業に貢献したい。
販売が伸び悩む日本でブランド力や販売力の強化を図ることで、いずれ迎えるアジア市場の成熟に備えようというのです。
今回の改革でホンダは既存の正規販売店を直営を含む専門店「Honda Dream(ホンダドリーム)」145店と販売契約を結んだ地場の販売店「Honda Commuter(ホンダコミューター)」約5,400店に再編します。
改革の目玉となるのは排気量250ccを超えるサイズの大きいバイクの販売です。
これをホンダドリームに限定し、ホンダコミューターや他の二輪販売チェーンでは販売しません。
販売先を絞ることはデメリットになりそうですが…
いたずらに販売量を追うのではなく、一人一人のお客様に質の高いサービスを提供できる。
継続的に乗ってもらうことで二輪ビジネスを安定的に推移させたい。
大型バイクのファンが店に足を運ぶ機会を増やし、販売だけでなく車検、修理などアフターサービスでの利益も狙います。
ホンダはこのホンダドリームを2020年までに200店舗まで拡大する計画です。
有限会社ホンダキャピタルオート
[blogcard url="http://www.hondacapital.co.jp/index.html"]
一方、新たにホンダコミューターとなる販売店では不安の声が上がっていました。
ホンダキャピタルオートの足立幸司社長、自身も大型バイクに魅せられています。
大きいオートバイに乗って箱根や伊豆に行ったときの非日常的なところが好き。
直接売れなくなるという、売る楽しみがなくなる。
4月から排気量250ccを超えるバイクは販売できなくなります。
この店の主力は排気量125ccや50ccのスクーターですが販売台数は激減。
50cc以下の原付バイクの市場規模はこの10年で3分の1まで縮小しています。
2007年 | 45万8,023台 |
2016年 | 16万2,130台 |
原付バイク買うなら同じ金額で電動自転車の方が移動の足としていいと。
減少する小型モデルの販売。さらに販売利益の大きい大型バイクが扱えなくなるのは痛手だと話します。
150万円(1,000cc)のバイクと15万円(50cc)のバイクでは売り上げの影響は出てくる。
ただ250ccを超えるホンダ車が販売できなくなる一方で、競合他社のバイクを置くことは可能に。
早速、こちらの販売店にはスズキの担当者が営業に訪れたといいます。
「大きいオートバイはスズキのオートバイを売って」と。
現時点ではホンダ専売の方針ですが売上が落ちた場合、他のメーカーの販売も検討するとしています。
こうした声にホンダの二輪販売会社は、
250cc以下で10機種以上の新商品を投入し、コミューター店の力強いサポートをしていきたい。