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[ガイアの夜明け] 巨大「規制」に挑む!〜明かされる「バター不足」の闇〜(3)

2016年11月23日

巨大「規制」に挑む!~明かされる「バター不足」の闇~

株式会社福仁畜産

北海道・釧路市阿寒町。

この町で5年前から新たに酪農を始めた若者がいました。

福田貴仁さん(32歳)。

「酪農いいよ」と聞いて、じゃあやってみようかと、初めは軽いノリで。

人材派遣会社で営業をしていた福田貴仁さん。

銀行員だった妻のつばささんと結婚。

二人で中古の牛舎を買い取って憧れの酪農を始めました。

ところが聞くとやるでは大違い。

違うでしょ、イメージと。外に牛がいて、青草食べていて、のんびり仕事をしているイメージだった。

福田貴仁さんが飼っている牛は約50頭。

北海道ではごく平均的な頭数です。

奥さんと二人、エサやりから、乳搾り、糞尿の片付け、1日の労働時間は平均12時間にもなります。

生き物が相手、土日もありません。

奥さんは、

「スローライフをしたいよね」というのが始まり。仕事をしたらスローじゃない。忙しい。

3人の子供に恵まれた福田貴仁さん。

家族を養うため、この5年必死に働いてきました。

収入

サラリーマンの時より収入は上がった。その分、労働時間は増えているので、どっちがいいのか正直分からない。

手数料

福田貴仁さん、酪農を始めて疑問に感じているものを見せてくれました。

農協手数料やホクレン手数料。

手数料の名目で地元の農協へは月に約7万2,000円、指定団体のホクレン農業協同組合連合会へは約2万2,000円を払っています。

さらに集乳費、乳経生産者拠、酪農対策費、乳代経営費など様々な手数料が加わります。

合計すると毎月の支払額は

17万6,808円。

生乳の販売手数料だけで年間200万円以上。

牛乳は牛乳で手数料。エサや何かを買えば手数料。僕らは何かを買っても売っても手数料がかかる。往復ビンタみたいな。

株式会社MMJ

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そんな福田貴仁さんを訪ねてきたのが株式会社MMJの茂木修一社長。

実は福田貴仁さん、2年前から阿寒町の酪農仲間と株式会社MMJに生乳を出荷しようとしていました。

ところが、

近くの農家に声をかけても「農協とケンカしたくない」。周りの人は僕の動きを見てからという感じ。

仲間のためにも、まずは自分が先陣を切りたい。そう考えていた福田貴仁さん、茂木修一社長をある場所へ案内しました。

そこに新しい牛舎を建てようというのです。

福田貴仁さん、株式会社MMJに出荷すれば今よりもっと多くの牛を飼って事業を拡大できると考えていました。

チャレンジしようと思ったのはMMJの存在があった。高く買ってくれるところがあればできる、というのを見せたい。

茂木修一社長は、

ここは応援しなきゃダメですよね、そのための会社なので。

阿寒農協

福田貴仁さんと茂木修一社長、軽トラックに乗り込んでどこかに向かいます。

やって来たのは地元のJA阿寒(阿寒農協)。

福田貴仁さん、今後、生乳の出荷先を農協から株式会社MMJに切り替えたいと組合長に相談に来たのです。

MMJとコンタクトを取っている。阿寒農協の組合長として、どう考えているのかな。

とりあえず歓迎はできないよな。行くのは個人の責任で行くんだから、それはしょうがない。ただリスクは背負ってもらうよ。

リスクを背負うというのは?

エサだけ購入の人と、100%農協利用の人。それは差がつくよね。

組合長が問題にしたのはエサの値段。もし株式会社MMJに行くのなら、エサ代を値上げするというのです。

俺はエサを買っているでしょ。手数料込みで買っているよね。なぜ牛乳の出荷先を替えたらエサの単価が変わるの?

当然だよ。農協って全部が共同の力で回っているわけだから。

約1時間後、福田貴仁さんが出てきました。

茂木修一社長が聞きます。

どうでした?

エサの単価が他の組合員と同じとはいかないよって。

何だそれ?

分からない。

エサを作っているのは農協?

株式会社。

福田貴仁さんがエサを買っているのは阿寒TMRセンターという農家の出資で設立された会社です。

確認したら農協から独立した組織。

そこの値段が変わるのは、おかしな話。どう考えても理屈に合わない。

茂木修一社長、農協の主張の矛盾を指摘します。

エサ代

自宅に帰った福田貴仁さん。

組合長と話ししてきたんだ。せっかくMMJが高く買ってくれる、という感じだけどエサ代が上がっちゃう感じであれば意味がなくなる。

エサ代は経費の半分以上を占めます。

値上げされれば、たちまち経営が成り立たなくなってしまうのです。

農協を裏切った場合に潰されるんじゃないか。全てを握られている。僕らは財布を握られている。だから、みんな踏み出せない。

野村宏組合長

11月中旬、事態は急展開を見せます。

福田貴仁さん、急いで向かったのは地元の阿寒農協。

突然、エサ代の値上げはしないと口頭で伝えてきたのです。

阿寒農協の野村宏組合長。

福田貴仁さん、値上げしないことを野村宏組合長に確認します。

エサ代の変更の要求はない。農協として、そこに格差をつける理由もない。

じゃあ、その書面を出してください。

書面で必要なの?

必要でしょ。言った言わないという話になるから。お互い納得の上で書面で出しましょう。

さらに福田貴仁さん、仲間のためにも、もう一つ書面にしてほしいことがありました。

(仲間が)農協にMMJに行きたいと話をしたら「農協から借りている金を全部返してからにしろ」と言われた。

それは常識的というか。

常識的?「全部返してから行け」というのは脅しみたいなもの。

そういうふうには言っていないと思うね。

「金を返してから行くのが常識」というのは撤回だね?

撤回でいいですよ。

「金融機関の縛りもない」と書面で書いてほしい。

福田貴仁さん、書面にする約束を取り付けました。

自由な取引への第一歩です。

とりあえず引っかかる部分に関してはクリアできているんじゃないか。書面で出してもらえればMMJに出荷することは、僕の周りの農家もできるんじゃないのかな。

同じ頃、政府も生乳の流通を改革しようとしていました。

安倍晋三総理大臣は、

生乳については指定団体に出荷する酪農家のみを補助対象とする仕組みをやめ、酪農家が販路を自由に選べ、流通コストの削減と所得の向上が図れる公平な事業環境に変えます。

酪農家が農協以外の組織と生乳を自由に取引できる方針を明らかにしました。

福田貴仁さんの牧場では新しい牛舎の工事が進んでいました。

夢を求めて酪農の世界に飛び込んだ福田貴仁さん。

来年早々に牛舎は完成します。

春には仲間たちと一緒に株式会社MMJへの出荷を始めるつもりです。

農協にしか出荷できなかった。選択がなかった。これが自由にmなって生乳の取引ができるようになれば可能性がもっと広がってくる。高く買ってもらう以上は、いいものを生産して選ばれるよう、僕らも努力していかなくてはいけない。

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再び、巨大「規制」に挑む!

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