1969年、アポロ11号によって人類史上初の月面着陸が行われました。人類の月面着陸はアポロ計画として1972年まで行われましたが、それ以降は実施されていませんでした。こうした中、およそ半世紀ぶりに再び人類を月へと送るアルテミス計画が動き出しました。その第1弾となるロケットが日本時間の8月29日に打ち上げられる予定でしたが午後9時40分に打ち上げの中止が発表されました。
月探査"アルテミス計画"!ロケット打ち上げ直前で延期
フロリダ州にあるNASA(アメリカ航空宇宙局)のケネディ宇宙センター。NASAは有人月探査に向けて開発した宇宙船「オリオン」を日本時間の8月29日21時半すぎに打ち上げる予定でしたが、エンジンに何らかの問題が生じたため8月29日の打ち上げを中止すると発表しました。
NASAによるとデータを収集していて次の打ち上げのタイミングについては改めて告知するとしています。
打ち上げは当初予備日として9月2日と5日が設定されていました。
半世紀ぶりの月面着陸へ!日本人も期待!?アルテミス計画
アルテミス計画とは月に人を送り込み、資源の探査や開発などを行うプロジェクト。アメリカのNASA(アメリカ航空宇宙局)を中心に日本やカナダ、ヨーロッパなどの国々が協力して進めています。
今回はその第1弾として宇宙船「オリオン」を無人で月まで飛ばし、42日後に無事帰ってくることが出来るか飛行試験を行います。
その後、2025年には男女2人の宇宙飛行士を月面に着陸させ、将来は月の上空を周回する宇宙ステーションや月面の開発拠点を建設する予定です。
さらに月面での継続的な活動が可能になった先には月を拠点とする火星への有人探査も視野に入れています。
日本は生命維持に必要な機器の提供や物資の輸送で貢献し、日本人宇宙飛行士の月面着陸を目指しています。
燃料電池が月面発を支える!?JAXA×ホンダが新技術開発
このアルテミス計画には日本の企業も期待を寄せています。
その一つがホンダです。現在、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と協力し、月にある資源だけでエネルギーをつくるシステムを開発しています。
ホンダ
先進パワーユニット・エネルギー研究所
針生栄次さん

月面などで恒久的に活動していくためには酸素と電気のようなエネルギーが恒久的に得られる仕組みが必要になる。
そのために役立つ技術としてわれわれは開発している。
月にある資源は太陽の光と氷だけ。氷を溶かした水を太陽光で発電した電気で分解して酸素と水素を製造。酸素は月面に滞在する人が利用し、水素はロケットの燃料に使用します。
また余った酸素と水素から電気をつくり、月面の移動車両の動力源として使う計画です。
この新技術にはホンダがこれまで燃料電池の開発で培ってきた技術が生かされています。
ホンダ
先進パワーユニット・エネルギー研究所
針生栄次さん

これを構成している水の電気分解や燃料電池の技術自体は20年前からカーボンニュートラルを目指して取り組んできた技術。
その技術が月面、宇宙で使えるのではないかと。
ホンダは宇宙開発を経営の柱の一つとしてロケット開発などを進めていて、今回のアルテミス計画への参加も技術開発の契機と捉えています。
ホンダ
先進パワーユニット・エネルギー研究所
針生栄次さん

JAXAのミッション、それに貢献するということはその先に広がる有人活動に大きな役割を担うと思っていて非常に責任感を持って進めていきたい。