電気料金の明細。
「最エネ発電賦課金」という項目があります。
これは太陽光発電などの再生可能エネルギーは電気料金に上乗せされる形で私たちがその費用を負担しているということです。
国民の負担がどのくらいかというと総額にすると2兆4,000億円に上ります。
この負担が2030年度には3兆1,000億円にまで膨れ上がるとされています。
これは一体なぜかというと、その理由の一つが太陽光発電の未稼働の問題です。
実はいま日本国内ので事業用の太陽光発電として認可を受けた施設のうち稼働しているのはわずか5割で残りの半分はまだ稼働していないという状況です。
これが一斉に稼働すれば国民の負担も大きく増えることになります。
なぜ未稼働施設が多いのか、現場で何が起きているのか取材しました。
太陽光発電
長野県木曽郡、記者が向かったのは道も舗装されていない山奥。
さらに歩き進めると太陽光発電の問題の現場がありました。
松山拓生記者、
ここですね。ここらへんが2012年に認定を受けましたが未だに太陽光パネルが整備されている様子はありません。
非常に日差しが当たるところでいますぐにでも稼働してもいい状況ですが、草木が生えて特に工事を着手した様子もありません。
ここは太陽光の発電所として国から6年前に認定を受けた土地。
しかし太陽光パネルは1枚もなく、その準備の跡すらありません。
私たちが入手したこの土地の資料によると広さは8万8,000平方メートル。東京ドーム2つ分ほど。
およそ4,500kWを発電する計画が記されています。
なぜ発電していないのか?
発電しない理由
土地を所有する住宅メーカーが電話取材に応じました。
傾斜角度が40~45度くらいあるから安全のために手を打たないといけない。
周りの人が反対と言っているから、それに合わせて工事をやろうとすると簡単にできるわけではない。
地盤を心配する地元住民の反対により工事が進められないといいます。
実はいま、こうした国の認定を受けたにもかかわらず発電していない未稼動案件が多く存在します。
その数は実に全体の5割。
その背景にあるのが政府が作った再生可能エネルギー促進のための固定価格買取制度。
固定価格買取制度
事業者が太陽光で発電した電力を一定の価格で電力会社に売ることができる制度です。
買取価格は2012年度には1kWhあたり40円とかなり高額でした。
年々価格は引き下がっているものの事業者は高い時に認可を取っていればいつ発電事業を始めてもその価格で売ることができます。
そのため、とりあえず土地を取得し塩漬けにしている事業者がたくさんいるのです。
中には太陽光パネルの価格が下がるのを待ち、発電を遅らせていたケースも多いといいます。
経済産業省
[blogcard url="http://www.meti.go.jp/"]
経済産業省の新エネルギー課長、山崎琢矢さん、
太陽光パネルはこの5年の間、劇的に価格が下がっている。
過去の価格より安い価格でできる可能性は高まっているのに過去の価格の権利が引き続き残ってしまっている。
実際、太陽光の設備費用は制度導入当初より3割ほど安くなっています。
政府は高価格で認定を受けた施設が今後、一斉に発電を始めることを懸念しています。
どんな理由であれ当時の認定された価格よりも多くの利潤が出るような形になってしまっているのが問題。
そして10月15日、政府は未稼動案件の対策に乗り出しました。
経産省の再生可能エネルギー小委員会、山地憲治委員長は、
今回の会合では国民負担の抑制に向けた対応を議論する。
経済産業省は審議会に2012年度から2014年度に認定を受けた業者で今年度中に稼働のための契約をしない場合、順次買い取り価格を減額する案を示しました。
発電の見込みがない業者の撤退を促す方針です。
ただ買い取りルールの変更は異例のことで今後、事業者の反発を招く可能性もあります。