7月26日にロンドンにオープンした丸亀製麺のイギリス1号店。
丸亀製麺がコロナ下で海外出店を加速する背景には緻密な戦略がありました。
株式会社丸亀製麺
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4月、ロンドン・ヒースロー空港。
ロックダウンが続く中、降り立ったのは丸亀のロンドン進出の責任者、本川功平さんです。
1年間の遠隔での準備を経て現地入りしました。
プレッシャーは感じるが、全く丸亀が無い所で出す楽しみもある。
丸亀製麺を運営するトリドールホールディングス。
創業者の粟田貴也社長がコロナ下でわざわざ海外に店を出す理由を明かしました。
一番はコロナで経済が停滞する中、賃料が非常にリーズナブルになってきたこと。
1つ目の理由がコロナによる賃料の低下です。
実は丸亀は過去、賃料の高さを理由にロンドン進出を断念。
しかしその後、海外に600店舗以上展開する隠れたグローバル企業になりました。この経験で賃料を安く押さえる術を学んだのです。
その答えが現地のパートナー企業との連携強化です。
現地子会社の丸亀うどんヨーロッパ、キース・バードCEO。
好条件にするために非常に交渉しやすい時期だった。
丸亀1号店の賃料はコロナ前と比べ30%ほど安くなった。
賃料を値引きできた1号店とは…
ここは乗降客数でロンドントップ3に入るリバプールストリート駅。
中村航記者。
ロンドン中心部の大きなターミナル駅、歩いてすぐのところに進出するのがあちらの丸亀製麺です。
この物件の賃料はコロナ前の7割ほど。さらに通常は半年以内という賃料の無料期間を2年に延ばす破格の条件で契約できたといいます。
丸亀は年内にロンドンに5店舗オープン。
1つはロンドンでも有数の地価で知られる交差点のそばに作ります。今後5年以内にヨーロッパで100店舗を展開する野心的な計画です。
コロナ下のロンドン進出にはもう1つ理由が…
ワクチン接種が非常に進んでロンドンも人が戻りつつあるので、非常にタイミングはいいと思う。
ワクチン接種の効果で経済の再開が進むイギリスでの反動需要を狙っています。
5月、再びロンドン。
自主隔離が明けた本川さんが1号店の予定地を訪れました。
まさに工事の真っ只中です。
周辺を歩くと…
うわ、すごいな。
近くにオープンしたイタリア料理のフードモールです。コロナ規制の反動需要が爆発していました。
こうなってくれたら最高。
イギリス人の消費意欲は旺盛。あとは店づくりです。
1号店の内装は「うどん」をイメージ。
そして初めて使うキッチン。現地の水質に合わせて水や小麦、塩の配合も変えました。
いわばロンドンでつくった一番最初の麺。
シンプルなかけうどん、およそ680円。ロンドンでの外食の価格としては格安です。
日本の丸亀と同じ味だと思います。
こちらは新たに開発した完全菜食主義者、ビーガンに対応したカレーうどん。ヨーロッパで増えている新たなライフスタイルの人も狙います。
7月6日、開店に向け最も重要な日です。
ヨーロッパ展開の核となる調理技術のテストを行います。
レッツ エンジョイ トゥディ。
天ぷらのテストでは8種類を12分以内に正しく揚げることを求められますが…
タイムはクリア。
次は品質を見ます。衣の厚さが重要です。
合格です。
店長候補者のマディ・アンドリュースさん。
天ぷらは初心者だった、エビの衣はトリッキーだ。
こちらは丸亀の命、うどん作りのテスト。
さらにおにぎり。
フライパンを使う焼き場も。日本基準の品質を受け継いでいきます。
そしてロックダウン規制がほぼ解除された7月26日。
丸亀うどん1号店が無事オープンしました。
一部無料キャンペーンの効果もあって外には1時間待ちの行列ができました。
味はいい。スープが最高。
値段もいいし、早くて気軽に入れる。
ロンドンでの第一歩、見据えるのはその先です。
「グローバルブランドとして成長させる自信は?」
すごい手応えを感じている。うどんのおいしさや認知を広められれば、それはできる。