東京オリンピック開幕まで1月24日でちょうど半年です。
各競技の日本代表選手が決まり始めている中、WBSが注目するのがフェンシングです。
金メダル獲得に向けてAI(人工知能)など最新技術の導入に動き出し始めました。
株式会社LIGHTz
[blogcard url="https://lightz-inc.com/"]
一瞬の動きが勝負を決めるフェンシング。
AIの開発を担うのは「LIGHTz(ライツ)」というベンチャー企業です。
そのシステムとは?
篤田聡志記者、
こちらではフェンシングの動きを解析するシステムを開発しています。試しに体験してみます。
距離を測るカメラで動きを撮影すると、どの角度からでも見られる3D画像が5分ほどで出来上がりました。
さらに海外選手との相性を分析し、団体戦で最適な選手を選ぶためのAI開発も急ピッチで進められています。
そのフェンシングの日本代表にライツから派遣されているのが太田奈々海さん。
試合の映像を分析して様々なデータをコーチや選手に提供しています。
そして開発中のAIを導入できればより高度な情報を提供できるようになるといいます。
「AIの開発状況は?」
4月からはオリンピックに向けて選考されたメンバーで準備に入る。
他の国もどこが出るか分かっているので出場する絞られた国で使える。
4月には使えるように開発中。
団体で金メダルというのがみんなの目標。
筑波大学女子バレーボール部。
そんなライツのスポーツ向けAIはすでに実績を上げていました。
選手の足首にはセンサー。
体育館の壁には8つのアンテナが設置されていて選手の動きをすべて記録。
選手はAIの活用をどう感じているのか?
筑波大学女子バレーボール部の高間来瞳選手、
データをもらったことで自分がどう動こうとか想像して動けるので活用できていると思う。
ライツのAIの特徴は一流選手の頭の中を見える化できること。
日本代表クラスの選手の思考や運動工学の専門書をデータベースに入力。
一流選手はプレーの際にどこを見て、何を考えているのかをAIが予測します。
ライツの乙部信吾社長はこのAIシステムについて、
レジェンドと呼ばれる選手はこういう事とこういう事を同時に考えているとか、こういうところまで広げて考えているという思考の広がり、組み合わせの仕方を若手が学ぶことで、そういうところまで考えて準備している、競技に臨んでいるんだということが分かる。
筑波大学女子バレーボール部はライツのAIを導入して2年目の一昨年、9年ぶりに大学日本一に輝き、去年も連覇。
今年は3連覇を狙っています。
株式会社IBUKI
[blogcard url="http://ibki-inc.com/"]
実はこのAI、元々はスポーツとは全く関係のないところで使われていたものです。
向かったのは山形県河北町にある創業80年の金型メーカー「IBUKI」。
スポーツでの一流選手にあたるのが熟練技術者です。
見える化の対象となったのが金型製作に40年携わる大場健一さん(62歳)。
ライツの社員が何十時間もインタビューし、頭の中をデータベース化しました。
「どういうことを聞かれた?」
例えば不良現象が出たときにどういう策があるか。
その策をやってみてどうだったか。
さらに金型にはセンサーを設置。
大場さんの頭の中とセンサーで得られた圧力や温度といったデータを突き合わせて最適な設定を推奨してくれます。
また金型を加工する工具の交換時期は熟練技術者が目で見て判断していました。
これをカメラとAIを使って自動で判定するシステムも開発。
現在、ほかの企業にも販売しています。
スポーツと工場、一体どんな共通点があるのか?
日本の熟達者は宝。
製造業には熟達者がいるし、スポーツの世界にもレジェンドがいる。
こういう日本の宝が後世に引き継がれていないという現状は製造業もスポーツも同じ。
同じような方法論で暗黙知と呼ばれる頭の中を継承できると考えて製造業からスポーツにソリューションを移した。