がっちりマンデー!! ビジネス関連

[がっちりマンデー] 年間利用客がジワジワ増えてる京浜急行電鉄株式会社

2016年7月24日

ちょこっと場所をお借りします!「やどかりビジネス」

京浜急行電鉄株式会社

[blogcard url="http://www.keikyu.co.jp/index.html"]

今日のがっちりマンデーは京浜急行電鉄株式会社、略して京急。

その路線は東京・品川から川崎、横浜、横須賀都と神奈川エリアを結んでいます。

ちょっと地味な印象も…

一見地味なイメージはあるかもしれませんが、京浜急行電鉄は羽田空港のアクセス、さらには三浦半島へ、海へも空へもアクセス便利な電車です。

京浜急行電鉄株式会社は意外と熱い!

昨年度は2.5%の純増。年間利用者数4億5,900万人と儲かっています。

しかも、いろんなところがほかの鉄道会社とは一味違う。

京急マニアの鉄ちゃん曰く、

赤い彗星と言われたりします。

京急特急、赤い彗星は時速120km。首都圏の鉄道ではトップクラスです。

見てのとおり、人の力で手動でやっています。同業他社さんはほとんどがコンピューター制御。

なんでも手作業。

駅員さんが肉声なのもワケがあります。

スタジオには京浜急行電鉄株式会社一筋、入社40年の原田一之社長が登場。

首都圏を駆け抜ける赤い彗星、京急の儲かりのヒミツを伺います。

「赤い彗星」京急電鉄、最高時速120km

京急の路線をおさらい。東京・品川、川崎、横浜、横須賀と神奈川を結ぶ本線と途中、蒲田駅から分岐して羽田空港までを繋ぐ空港線などがあります。

総区間は87km。

その始まりは118年前の明治31年。

川崎から川崎大師まで参拝客を運ぶ目的で作られた大師電気鉄道でした。

それが今や、年間利用客4億5,900万人。

一番の特徴は、とにかく早いってことです。

マニアの間では

赤い彗星と言われたりします。すごく早くて。

京急快速は首都圏の電車なかでもトップクラスのスピードを誇り、MAX120km。

併走するライバルのJR東海道線が品川~横浜間を川崎に1度停車して17分で止まるのに対して、京急は蒲田、川崎と2度停車するにも関わらず同じく17分で走行。

なんでこんなに速く走れるのか?

そのヒミツを探るべく、元運転手で京急の運転計画のチーフ、鉄道本部運転課の吉田尚平さんと一緒に快速に乗ってみました。

スピードを出せる一番の理由って何ですか?

まずはレールの幅がJR線などと比べて広い。新幹線と同じ幅を採用しているのが一つのポイントかなと。

京急の線路の幅はJRや他の私鉄より幅広の1,435mm。

逗子線の一部にJRと京急、両方の車両が走る区間があるといいます。見せてもらうとレールが3本あり、内側のレールがJR、外側のレールが京急。京急の方が40cm近くも広い。

幅が広い分、電車が安定する、だからよりスピードが出せるということです。

鮫洲を通過してからほぼ直線が続きますので、いよいよ120kmの本番。

いよいよ赤い彗星が本領を発揮する最高速度120km区間へ。

抑速信号

と思ったら前方で点滅している信号を発見。これは?

抑速信号と呼んでいまして、京急が120km/hで走れるポイントの一つ。高速化、高密度な運転が実現できる信号。京急が日本で初めて導入したものです。

それまで鉄道の信号はスピードを出す時、全力で走って良しの青信号と、減速して時速75km以下で走れという青と黄色信号しかなかった。

そこで京急が考えたのが、黄色と青が点滅している信号。抑速して時速105kmに落としなさいという指示です。

例えば、前方の区間にまだ電車がいて減速したいとき、それまでは75kmまで落として再加速しなければならなかったのが、抑速信号により、少しの減速でOK、すぐにMAX120kmまで戻せます。

そしてスピードを落とさなければならないきつめのカーブを曲がる時には、運転士さんにしか分からないあるサインが…

線路脇に「4」、「6」、「8」と書かれた数字、一体何なのかというと

曲線になると一定の速度に落とすよう制限標識が立っている。その数字は制限区間を後ろの車両が抜けた編制両数を表す。

例えば8両編成の電車がスピードを落としてカーブに進入、運転手さんは「8」の数字を見て最後尾がカーブ区間を抜けたと確認します。そこからはグイグイ加速してOKというサインなんです。

4両編成なら「4」の所、6両編成なら「6」のところでスピードアップ。

1秒でも速度制限を低く走らずに済むので、1秒でも無駄にしない。

さすが赤い彗星。京急のスピードに対するこだわりはハンパなかった。

空港線

そして京急の儲かりを支えているのが京急蒲田から羽田空港まで伸びる超儲かり路線「空港線」。

品川~羽田空港国内線ターミナルまで最速14分、横浜からだと26分。

京急羽田空港国内線ターミナル駅と京急羽田空港国際線ターミナル駅の利用客は1日10万人というから凄い!

この空港線は品川・横浜の両方面から来ても京急蒲田駅での乗り換えなしで空港に行けるのが売りなんです。

駅の構造を見てみると京急蒲田駅は全国でも珍しい電車の動きが見られます。

横浜方面からの羽田直通、乗り換えなしで羽田に向かう電車は一度、京急蒲田駅に停車したら、今までと逆方向に動き出し、そのまま空港線に入っていきます。

直通でそのまま座ってご乗車頂ける。

その代わり進行方向が逆になる?

進行方向が変わるだけで乗り換えの不便さを解消している。

ホームで見てみると横浜方面から電車が到着したら運転士が降りて、待っていた車掌さんが乗り込む。先頭の車両ではその逆が行われます。そしてあっという間に出発していきます。

いわゆるスイッチバック用に運転手さんと車掌さんをもう1組用意することで、スムーズな運行を実現しています。

横浜方面から始めて乗るお客様、進行方向が突然変わっても驚かないでください。

遅れない電車No.1、京急電鉄アナログ戦略。

京急の自慢はスピードが速いだけではありません、もう一つ凄いのが電車が遅れないことです。

1週間当たりの遅延発生回数、10分以上の遅れが0.25回以下と首都圏の路線の中でも最も低い、つまり電車がほとんど遅れないって事です。

でも、走っている電車の数が他より少ないとか?

電車の数が少ないわけではなく、1日に約1,600本以上の電車が走っています。かなりな本数がラッシュ時にも走っています。

朝の金沢文庫駅では2分おきに電車が出たり入ったり、1時間に30本近くが走るかなりの過密ダイヤです。

それでも京急の遅れが一番少ないのには驚きの理由がありました。

やって来たのは金沢文庫駅にある建物。運転区と呼ばれる関係者以外立ち入り禁止の部屋を見せていただくと、

4番線は201Rまで。

目の前にある、たくさんあるスイッチをパチパチと一人で動かしている。これは何をしているんでしょう?

鉄道本部金沢文庫運転区の飯島貞夫区長に伺うと

金沢文庫駅に進入してくる列車の信号テコ操作といいまして、進行信号を現示して列車を駅構内に進入させています。

このパネルで行っているのは京急の拠点駅の一つ、金沢文庫駅を発着する電車の信号操作やポイントの切り替え、それを1人で全部手作業で行っているのです。

パネルに表示されている4本の線が下り1番線、2番線、上り3番線、4番線を表していて、水色の部分がホーム、そしてテコと呼ばれるスイッチを操作する。

例えば3番線に入れる電車が近づいたら3番線のテコを次々に左側に倒していく。するとホームの信号が青、進んでよしに変わり、ポイントも連動して切り替わる。これで電車がホームに進入することができます。

金沢文庫駅で行う信号操作は1日7,000回。4本の線路に次々に入ってくる電車を絶対にミス無くさばくことが求められるこの仕事、「油断大敵」はもちろん「雑念に打ち勝つ」集中力が必要なんです。

同業他社さんはほとんどがコンピュータ制御(TTC)、弊社は長年の伝統で人の力で作業を行っています。

普通はコンピューターで制御するのが駅の信号管理、それをあえてアナログな手作業で行う。これが京急の電車が遅れない一番のヒミツです。

事故とか輸送障害が発生した場合、人間の柔軟な対応の方が早期に正常運転に戻せるという当社の考え。

手作業にこだわるのはトラブルが起きた時の対応のため。事故や故障などもしもの時、コンピューターだとプログラムを組み替えるのにけっこうな時間がかかる。その間、慣れない手作業というのも大変。

普段から手作業で動かしていれば、いざという時も臨機応変に対応できる。

京急マニアの間では

事故とかでダイヤが乱れると「いっとけダイヤ」というのが出て、突然種別が変わったり、ある駅で運転終わったり、「いっとけっ」て感じで、あきれちゃう感じで、そう呼ばれてる。

例えば、横浜駅で何かトラブルが起きたら、この駅を使うのをやめて、品川方面からの上り下り、神奈川方面からの上り下りにサッと切り替える。

他の会社では切り返した後のダイヤをどう戻すかなど、先々のことまで細かく決まらないと運転が始まりません。

京急は「行けるところまで行ってみよう」って事で、マニアの間で「いっとけダイヤ」と呼ばれています。

鉄道本部金沢文庫運転区の飯島貞夫区長は

社長とは入社が一緒なもんで。

社長の足を引っ張ろうみたいなのは?

それは…言えません。

アナウンス

京急がアナログなのは駅のホームでも。

品川や横浜など主要な駅では

一番線の電車、まもなく発車いたします。

駅員さんがお立ち台で仕切ります。

今や主流の自動放送ではなく、ワイヤレスマイクを使って肉声でアナウンスするのが京急流。これにももちろんワケがあって、ひな側駅の内之倉つよし助役によると

緊急時にすぐ放送等で列車を止めたりとか、そういった手筈もあるので、あまり自動放送は使わずに駅係員の方でそれぞれやる。

お立ち台もトラブル発生時に電車を速く動かすためのアナログツールなんです。

お立ち台でのアナウンス、入社4年目の岩本さんは

気持ちいいです。

よくある自動放送だと

ドアが閉まります。

京急では車掌さんが自らの責任を言葉に込めて

ドアを閉めます。

「閉まります」ではなくて「閉めます」となるのも、なんだか気持ちいいです。

懐中時計

そして京急の運転士全員が持っているのが懐中時計。アナログの時計は狂いやすい?

と思ったら、乗務員の待機場所、乗務区ですごいアナログ作業を発見しました。

それがカウンターに基準となる時計が置いてあって、自分の懐中時計と秒針まで合わせる。

鉄道本部金沢文庫乗務区の葛貫宏区長は

これはアナログの時計です。

電波時計は使わない?

確かにおっしゃるとおりね、電波時計にすれば簡単ですけど、時間的意識を本人に持たせるために、あえてうちの会社ではこの時計を使っています。

これも京急鉄道マンの覚悟の表れなんですね。

車両

そしてもう一つ、京急にはトラブルを最小に抑えるために車両にもヒミツがあります。

鉄道本部車両区の中村義明さんによると

当社の特徴しては先頭車、列車の両端につく先頭車はすべて電動車となっています。

通常、モーター付きの電動車は車列のどこかに2両分あればいいらしいのですが、京急の電車は一番前と一番後ろの車両を必ず電動車にしています。

先頭電動車にすることで車体の重量があがります。もし線路に支障物があって、万一衝突した時に跳ね飛ばす、でも浮き上がりはしない。

もっと言うと、もし線路上の障害物にぶつかっても、先頭車が重いから脱線はするかもしれませんが、ひっくり返ることはありません。

そして、電車の上の電線にもよく見ないと分からない、京急ならではのこだわりがあります。

こちらが当社自慢の合成電車線でございます。

合成電車線って何?

近くまで行って見せてもらうと電車線が2本くっついています。

鉄道本部川崎電力区の後藤竜一区長によると

2本合わせる事によって機械的な強度が上がるのと、電気容量、線が多い方がいっぱい通る。

電線を2本使えばコストもそれなりに掛かるけど、強度が上がり、より大きな電気が流せる。

電線のトラブルが少ないのも電車が遅れないのに繋がります。

-がっちりマンデー!!, ビジネス関連
-