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[WBS] 「育休明け」に不当な配置転換!?なぜ男性の育休取得が増えない!?

2019年6月13日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

化学メーカー大手のカネカの株価。4月23日から6月3日にかけて株価が2割近くも下がり年初来安値をつけました。株価が急落し始めた4月23日、実はカネカの男性社員の育児休業を巡るある書き込みがインターネット上に投稿されていました。

一体何があったのでしょうか?

株式会社カネカ

[blogcard url="http://www.kaneka.co.jp/"]

その書き込みをしたのはカネカに勤める男性社員の妻でした。

信じられない。夫、育休明け2日目で上司に呼ばれ、来月付で関西転勤と。

男性社員はその後、転勤時期を遅らせないか会社と交渉しましたが聞き入れられず結局、先月末にカネカを退社しました。

この妻の書き込みに多くの人が反応。

酷い会社だ!

嫌がらせかと。

批判が殺到したことを受け、カネカは6日ホームページでコメントを発表。

転勤の内示は育休に対する見せしめではありません。

育休前に元社員の勤務状況に照らし移動させることが必要であると判断しておりましたが、本人に内示する前に育休に入られたために育休明け直後に内示することとなってしまいました。

カネカは対応は適切であったとの立場で元社員とも退社にいたる一連のやり取りについてお互いに合意しているといいます。

不当な配置転換

一方、こちらの男性は育休後に不当な配置転換をさせられたと訴えています。

大手スポーツ関連企業に勤める木村さん(38歳)。

第一子が生まれた際、およそ1年間育休を取りました。

育休前は宣伝や総務などの仕事をしていた木村さん。しかし、育休から復帰する際、会社から命じられたのは、

倉庫の関連会社に出向になる。

「段ボールを運んだりする仕事をしてください」と。

全く想定していなかった出向先での力仕事。

木村さんは肩を痛め、その後は備品の袋詰を命じられたといいます。

報復人事のようなものだと思った。

子どもが小さい時期はあっという間に終わってしまうし、後から後悔してもどうにもならないし。

40年サラリーマンやっているうちの1~2年休んでも罰は当たらないだろうと。

そう思っていたが罰が当たってしまった。

木村さんはその後、弁護士を雇い会社と交渉。すると本社に戻ることができたのですが…

オフィスに戻ってからは障害者雇用に関する調査をするように言われたが、特に部署の配属があるわけではなくチームメンバーは私一人だけ。

圷由美子弁護士

木村さんのように育休の復帰後、すぐの配置転換について専門家に聞くと…

労働問題に詳しい圷由美子弁護士、

違法とみられてしまう可能性もある。

法律で育児休業をしたことを理由とする不利益な配置転換は禁止となっている。

木村さんの場合、直接育休取得が理由と言われたわけではありませんが、

原則育休から1年以内に何らかの不利益取り扱いがあった場合、原則育休を理由とする不利益取り扱い。

産休・育休制度

日本の産休・育休制度についてユニセフは6月13日、ある報告書を発表しました。

男性の育休について、日本は給付金などの支給を受けられる育休の期間が長いとして制度面では41ヵ国中1位の評価。

しかし、実際の男性の育休取得率はわずか6%にとどまり、ユニセフもそのギャップの大きさを指摘しています。

男性の育休取得はなぜ広がらないのでしょうか?

30代、子ども2人の男性、

自身が任されている仕事もあるので、そういう仕事からいったん離れるのは責任感があると難しい。

20代、独身の男性、

全体的に人手が不足していて、何人か抜けるとその人の負担を誰かが負わなければいけない。

企業の万全な体制が取れていないのではないか。

積水ハウス株式会社

[blogcard url="https://www.sekisuihouse.co.jp/"]

こうした中、男性が育休を取りやすい制度を始めた会社があります。

住宅メーカー、積水ハウスに勤める石川亨介さん(42歳)。

石川さんは2歳の長男と生後2ヶ月の次男、妻との4人家族です。

生まれたばかりの次男の子育てで大変な妻をサポートしようと育休を取りました。

長男はおとなしいが普段はすごくヤンチャなので妻がなかなか動けない

利用したのは会社が去年始めた男性社員向け育休制度。

妻の石川麻弓さん(33歳)、

安心して出産に臨めた。産後もとても心強かった。

積水ハウスの育休制度は最大4回まで分割できるのが特徴です。石川さんも今回、4回に分割しました。

いま、店長という立場でどうしても会議が複数ある。

1ヵ月連続取得は不安だったので4分割で取る決断をした。

埼玉県にある石川さんの職場です。営業の部署で合計5人が所属しています。

石川さんの下の役職に当たるのが次長の須田圭一さんです。

1ヵ月丸々いないと言われると確かに怖い。

分割してもらっているのでそこはありがたい。

育休の取得は原則1ヵ月半程度前に申請するのがルールで、石川さんの仕事を職場のスタッフで割り振りする時間を確保。

さらに須田さんが判断に悩むときには近隣の店の店長に相談できるようにしています。

営業とペアで仕事をする設計担当者も。

積水ハウスの井山亮さん、

仕事をチームでやっているので、みんなで回すことは苦ではない。

積水ハウスには現在、育休の対象者はおよそ1500人。そのうちすでに900人以上が利用しています。

育休を取る社員が増えるに連れ、組織作りにも効果が出てきたといいます。

積水ハウスの伊藤みどり執行役員は、

育休中の仕事を自分だけで対応するのは不可能。

そこで出てきたのがコミュニケーション。

助け合う風土ができていくのではと期待している。

自由民主党

[blogcard url="https://www.jimin.jp/"]

こうした中、国会議員も動き始めています。

今月、自民党で「男性の育休義務化」を目指す議員連盟が立ち上がり、6月13日に関連のシンポジウムが行われました。

自民党の松川るい参院議員、

子どもが生まれたらパパもママも子育てを一緒にやる。当たり前の文化に変えたい。

法改正を視野に今月中に中間報告をまとめることにしています。

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