金属資源のほぼ100%を輸入に頼っている日本ですが、その状況がもしかしたら変わるかもしれません。
可能性を秘めているのがこちらです。
ただのゴツゴツした岩のように見えますが、こうした塊の多くには金や銀、銅などの鉱物が含まれています。

では、この塊一体どこにあるかというと、深さ1,000メートル以上の海の底にあります。
日本の近海にはこうした海洋資源がたくさん眠っていて、その埋蔵量は300兆円以上といわれています。
WBSでは最新技術を使った調査を独占取材しました。

次世代海洋資源調査技術研究組合(J-MARES)
沖縄から北西におよそ100キロメートル。

辺りになにもないこの大海原である調査が行われていました。
巨大なロボットが海へ投下されます。

向かうのは1,000メートルを超える海底です。
ロボットに搭載されたドリルで掘っていくと・・・

海底には大きな穴が。

海底からドリルが引き上げられていきます。
この作業は昼夜問わず行われてました。

一体、何が海底から引き上げられたのでしょうか?
J-MARESの技術部、淺川栄一部長、
ところどころで金属の析出が見えている。

ここに光るような小さい粒子がある。

これが黄鉄鉱という金属。

採掘されたのは海底に眠っていた鉱物。

日本の近海には貴金属やレアメタル、メタンハイドレートなど多くの資源が眠っていて、埋蔵量は300兆円分を超えるとされています。

それを探し出す、調査技術の確立を目指すのが通称「海のジパング計画」です。

海底熱水鉱床
今回、WBSが長期に渡り密着したJ-MARESが探すのは海底熱水鉱床です。

マグマに熱しられた金属を含む海水が海底で冷やされることで作られます。
この海底熱水鉱床には金、銀、銅。亜鉛、鉛などが含まれています。

今回の調査、もちろん闇雲に海底を掘ったワケではありません。
世界最先端の技術
5月、出港の前に海底熱水鉱床を探す世界最先端の技術を見せてもらいました。


今回の海底熱水鉱床探査は反射法地震探査でやる。

音を出して反射した音をひろうという方法。

音波で海底熱水鉱床のありかを探そうというのです。
エアガンという音波を発生させる装置。

それとこの長いケーブル。

ここについた音波の受信装置を組み合わせて使います。

沖縄から北西に100キロメートルの沖合。
海にケーブルが降ろされ、エアガンも海に投入されると・・・

海底下1キロメートルまで音波を届けることができるというエアガンの衝撃波が海面にまで。

音波は海底にぶつかると反射します。

さらに音波は海底を進み違う層にぶつかる度、反射をします。

こうして地層の状況を調べていきます。
船内では収集したデータの解析が行われていました。
海底では泥と砂が交互に積み重なってきれいな層構造をだしている。

赤と青の線は海底下の地層の境界線を表しています。

きれいな堆積が分かりますが、その横の地層はグチャグチャに。

ここが海底熱水鉱床とされるところ。
熱水によって層構造が壊された。

あるいは層構造が壊れてしまい、そこから熱水が上がってくる。

音波を使って海底の下まで見えるようになったことで砂や泥に埋まってしまった海底熱水鉱床の場所も分かるようになりました。
会議
8月、東京。

今日、こちらで調査のデータを元に会議をしている。

ヘッドマウントディスプレイを付けて、同じ方向を向いて、誰かの声が聞こえます。

地下の構造を見ていて、この結果を使って、次の掘削調査をどこでやろうか、そのロケーションを決める話し合いをしている。

音波探査の結果をより詳細にし、3Dデータ化。

VRを使い、この会議には九州にいる研究者と東京の別の場所にいる研究者が参加しています。

多良くん(九州の研究者)、4番の断層の真ん中に異常が見られるがここの可能性は?

周囲の堆積層と比べて非常に断裂したような構造になっていて熱水鉱床に特有に認められる反射の特徴は全て抑えているような場所。

ここも一つの候補ですね。

VRでは平面のデータとは違い、近くに寄ることもできるためより詳しい解析が可能になるといいます。
そして今月、音波探査のデータを使い沖縄で掘削が行われ鉱物とされる物質が現れました。


日本はやはり黄金に輝くジパングだったのです。
課題
しかし課題も・・・
次のステップとして、それをどう回収するかコストの問題がある。

陸上の鉱山との競争力が一番の問題。

「日本は資源大国になれますか?」
それを目指している。

歴史をさかのぼれば日本は金や銀の有数の産出国だったが今は陸上の鉱山は閉山されてしまった。

海底熱水鉱床があれば資源大国になれる。

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