貿易協定の恩恵でいま、ある国の食材が業界を騒がせています。
貿易協定で今年はいろいろなものが安くなります。
今月発効した日本とEUのEPA(経済連携協定)ではヨーロッパ産のワインや生ハムなどの関税が下がり、スーパーでは早々に値下げが始まっています。
それに先立ち去年の12月に発効したのがTPP(環太平洋経済連携協定)、いわゆるTPP11と呼ばれるものです。
今月から早速、日本の輸入に影響を及ぼしているのが牛肉です。
特に注目を集めているのはカナダ産の牛肉です。
このカナダ産の牛肉、アメリカ産などと比べると馴染みが薄いと感じる方もいるかもしれません。
いま、このカナダ産の牛肉に大手外食チェーンやスーパーなどが熱い視線を向けています。
株式会社ペッパーフードサービス
[blogcard url="http://ikinaristeak.com/home/"]
手頃な価格で美味しいステーキが食べられると人気を集める「いきなりステーキ」。
店の看板メニューはアメリカ産のリブロースステーキです。
アメリカで育てられた牛は穀物を使って飼育されているので、うま味が強く日本人好みだといいます。
おいしい!
「値段について?」
とてもいい。
ステーキ店は昔からあるが非常にバランスがいい。
しかし、アメリカ産の牛肉はいま、アジアを中心に需要が高まっていて、メニュー価格も年々じわりと上がっています。
そんな中、いきなりステーキで検討材料の一つに挙がっているのがカナダ産の牛肉。
ペッパーフードサービスの一瀬健作副社長は、
アメリカよりカナダ産のほうが若干安く仕入れられるのではないかと。
こちらは一瀬邦夫社長の息子で財務などを担当している一瀬副社長。
日本人が一番おいしく食べられる状態はアメリカ産が一番適している。
とは言っても「安くておいしいものを提供する」というところでは他の国からの牛肉もサンプルを試食しながら見ていきたい。
いきなりステーキでは美味しさを求め社長自ら現地に買い付けに行くほどアメリカ産にはこだわりがあります。
いまではアメリカのブランド牛を日本で一番多く使っている企業として現地の協会から表彰を受けるほどです。
しかし、アメリカ産の関税は38.5%のままなのに対し、カナダ産の関税はTPPの発効で27.5%に。
大幅な割安感が出てきました。
気になるのがその味。
カナダ産は一瀬社長も食べたことがあるということですが、
社長は試食でカナダ産を食べたことがあると聞いている。
「そんなに変わらない印象だった」と。
アメリカにどうしてもこだわるというより、同品質のものである程度しっかりしたブランドが確立されていれば社内では検討は十分にしたい。
株式会社フードウェイ
[blogcard url="http://www.foodway.co.jp/index.php"]
TPPによる関税の引き下げで早くもカナダを始めとする参加国からの牛肉の輸入量が急増。
財務省によるとTPP圏からの1月の輸入量は1年前より55%も増えています。
そんな中、一足早くカナダ産を取り入れているのがこちらのスーパー「フードウェイ 赤羽アピレ店」。
いまでは店の牛肉の3割ほどがカナダ産です。
フードウェイ牛蔵の山田悠平さんは、
輸入ビーフでは「カナダ」が一押し。
カナダ産はアメリカ産と同じく穀物中心に食べていることが多いため、肉質はアメリカに近いといいます。
お客様の反応も上々。
カナダ産を求めてこの店に来るお客様もいました。
適度に脂があって、サシというか。
アメリカ産と比べて結構おいしい。
値段もそれなりに手頃だし、おいしそうだった。
手頃な値段でお客様を惹きつけます。
価格をもっと安く販売できると思うので、まだ味を知らない人にも試してもらえる。
FOOD TABLE in JAPAN 2019
[blogcard url="http://www.foodtable.jp/jp/index.html"]
TPPの発効を受けていま業界ではカナダ産牛肉に注目が集まっています。
EPAですでに関税が引き下げられている輸入量1位のオーストラリア産は米中貿易摩擦で中国が代替として輸入を増やしていることで取引価格が上昇。
さらに干ばつの影響で飼料の牧草が高騰していて値上がりに拍車をかけています。
カナダ産の関税は16年目には9%となるため今後さらに割安になると予想されているのです。
こうした状況の中、2月13日から始まった食品関係の展示会。
巨大なブースを構えているのはアメリカ産牛肉の団体。
こちらはオーストラリア。
ステーキ肉を次々と焼いています。
その2つの国の間を進むと…
カナダ産牛肉の小さなブースがありました。
試食を始めると続々と人が集まって来ました。
肉の卸売り業者は、
関税の兼ね合いで安くなる。これから需要も高まると思う。
株式会社たからや
[blogcard url="http://www.super-takaraya.co.jp/"]
訪れたのは神奈川県でスーパーを展開する企業の社長。
たからやの溝口浩幸社長は、
カナダのタンとスカート(ハラミ)いいんじゃないかな。
アメリカ産もあるが、もう一つ選択肢が欲しい。
カナダでは生産した牛を一頭一頭追跡できるシステムが整っているなど牛肉の飼育方法に安心感があるといいます。
カナダは飼育方法が日本に一番近い。
そういうところの味に期待している。
カナダビーフ国際機構
[blogcard url="http://www.canadabeef.jp/"]
カナダ産の牛肉はアメリカよりも生産量が少ないという欠点があります。
しかし、カナダ産牛肉の団体はTPPによる関税の引き下げを武器に日本市場に攻勢をかける考えです。
カナダビーフ国際機構のグレッグ・ジョカスさんは、
カナダ産牛肉は品質はとても高い、値段は安い。
カナダは北の国だから動物の脂肪は良くなる。
空気と水はとてもきれい。
カナダと日本の関係を強くしたい。