10月15日の東京株式市場で日経平均株価は400円以上も下落しました。
相場を大きく押し下げる一つの要因となったのがアメリカ政府高官の為替に関する発言でした。
ムニューシン財務長官
10月13日、ムニューシン財務長官の発言で激震が走りました。
今後の貿易協定に為替条項を盛り込むことが目標だ。
日本と始める新たな貿易協議で為替条項を盛り込む考えを示したアメリカのムニューシン財務長官。
為替条項とは各国が輸出競争力を高めるために為替介入などで自国の通貨を安く誘導するのを防ぐ取り決めです。
このムニューシン発言を受けて東京外国為替市場でドル円は111円後半まで上昇。円高が進みました。
そして…
伊大知明宏記者、
今後円安が進みにくくなるとの警戒感から今日の日経平均株価は400円以上も値下がりをして取引を終えました。
終値は2万2,271円。
円高に対する警戒感が強まり自動車や精密機器を始め、輸出関連株が軒並み下落。
また政府が予定通り消費税を10%に増税する方針を固めたことで今後の景気に対する懸念から売りが広まりました。
ムニューシン氏の要求通り為替条項は導入されるのでしょうか?
イアン・ブレマー氏
世界が直面するリスクを予測してきた国際政治学者のイアン・ブレマー氏に聞きました。
「為替条項」導入の行方は…
米韓の協議ではアメリカと韓国のどちらかが通貨安を招いて貿易に有利にならないよう話し合う仕組みが導入された。
ムニューシン氏はこれに多くの時間を費やしてきた。
イアン氏がまず指摘したのは今年3月にアメリカと韓国の間で交わされたとみられる付属文書。
この中で韓国に為替介入の透明性向上を義務付けられ、通貨安誘導を防ぐ為替条項が盛り込まれたとみられています。
そして日本に対しても、
実務レベルではアメリカと日本も議論しているだろう。
ただ日本には大きな影響はないとの見方を示しました。
米中貿易摩擦の行方は…
「新しい冷戦という指摘もあるが今の米中関係をどうみている?」
ソビエトが崩壊して以降、どの時点よりも新たな冷戦が起こる可能性がいま高い。
米中の経済摩擦が明らかに影響している。
民主化が進まない中国の政治体制だけでなく飛躍的な発展をみせる中国の科学技術にも冷戦の火種があると話します。
科学技術の発展が最も大事だと中国は開発を続けている。
彼らはアメリカと一緒ではなく単独で開発を進めている。
多くの人が中国との貿易戦争は起こらないと楽観的にみているが、私は科学技術における米中の冷戦は起こると悲観的にみている。
いま確実にその方向に向かっている。
「日米関係」の今後は…
安倍政権はとても現実的、先月のトランプ大統領との会談はうまくいった。
例えば物品に対する二国間交渉を始める意欲が日本にあった。
これはトランプ大統領が長らく求めていたものだ。
そして日本に対しては自動車関税の発動の猶予が確認された。
これは日本企業にとって重要なことだ。