東京都を大きく分類しますと23区と都下に分かれます。
1999年の都下のマンション価格の平均は4,125万円でした。これが2016年には4,985万円になり、約800万円高くなりました。
1999年の23区のマンション価格は4,723万円でした。それが2016年には6,629万円。随分と値上がりをしています。
首都圏におけるマンションの供給戸数が24年ぶりの低い水準になる中で都心と郊外との間で大きな価格差が生じています。
マンション市場に異変が起きている中、郊外の販売現場では手厚いサービスで都心から流れ出てくるお客様をうまく囲もうとしています。
三菱地所レジデンス株式会社
[blogcard url="http://www.mec-r.com/"]
東京都小金井市にあるマンションのモデルルーム。
三菱地所レジデンスの小倉英二さん、
C棟にあるのがフォレストエントランス、国分寺駅に一番近い入り口。
都心から電車で約40分、JR中央線の国分寺駅のすぐ近くに建つ予定の巨大マンション「ザ・パークハウス国分寺四季の森」。三菱地所レジデンスなどが4,000万~5,000万円を中心に販売しています。
説明を受けるのは2歳の子を持つ主婦の安倍有希さん。緑のあるところでの子育てを望んでいます。
出産を機に退職しているので都心に住む場合、共働きが必須になる。子供が小さいうちはできるだけ一緒に過ごしたい。
しかし安倍さんはこの街の土地勘や住みやすさなどの情報は全く持っていません。
マチアイ
そこで販売員が安倍さんを案内したのは、
タウンセラーをしている金城と申します。
タウンセラーの木村です。
タウンセラーとは実際にその街に住んでいて街の情報などを教えてくれる主婦などのこと。
実はこれ、リクルートコミュニケーションズが始めた「マチアイ」というサービス。
「水遊びできる場所はある?」
いっぱいあるんです。この公園はザリガニがいっぱい釣れる。
タウンセラーたちが作った公園や病院、スーパーなどの地図。主婦の視点からの評価など情報がぎっしりと詰まっています。
安倍有希さんは、
住んだ後のことが想像できるのは大きい。記帳な地図をもらえるのはすごい決め手になる。
初めての土地に来るお客様の不安を解消する「マチアイ」サービスを導入した理由を三菱地所レジデンスの小倉英二さんは、
最近のトレンドとして中広域のお客様の来場が増えている。地元の人の来場は全体の2割に満たない。お客様の8割は街を知らない。限りある時間の中で、より性格に、より魅力的に街を紹介するために必要な方法。
タウンセラー
タウンセラーたちは日々、街をねり歩き新たな情報を探しています。
新しくできた病院をチェックして病院マップに書き込みます。
タウンセラーにとっても仕事にブランクがあった主婦の職場復帰の第一歩となる効果が生まれているといいます。
この「マチアイ」サービス、現在、首都圏を中心に28件のマンション販売の現場で導入されています。
リクルートコミュニケーションズの渋谷麻里さんは、
成約率数パーセント上げるのも必死だというマンション業界の中で、マチアイを入れたことで10ポイント、20ポイント、成約率が上がった物件もある。
都心の戸建住宅
郊外のマンションが都心から流れてくるお客様を取り込もうと色々と工夫をしている一方で、価格に折り合いが付けば都心に住みたいという人が多いのも実情です。
そこで価格を抑えた都心の戸建住宅にも注目が集まっています。具体的に価格を抑えていくかというと15坪、この広さの土地でもうまく活用すると3LDKの戸建住宅を建てることができます、
狭小地でも一戸建てという魅力に加えて、都心のマンションと比べて安く購入できると人気を集めています。
株式会社オープンハウス
[blogcard url="https://oh.openhouse-group.com/"]
小さくて買い手のつきにくい土地に目をつけたのが首都圏で住宅事業を展開するオープンハウス。平均15坪のいわゆる狭小といわれる住宅を数多く販売しています。
狭い土地でも戸建てが建てられることをアピールするために2016年に渋谷にショールームを設けました。
マンションと同じ4.5畳だが、ここに広がりをもたせることで空間としては広く感じるつくりができる。
リビングとダイニングには視線を遠くまで向け、実際の部屋よりも広く感じさせるため、あえて壁を設けていません。
東京・下北沢にある土地、約110坪ありますが、オープンハウスではこれを4分割して提供します。こうして土地を分割することで都心でも価格を抑えられるためアクセスを重視する人たちの購入が増えているといいます。
建物のイメージをつけに来たという家族。
「土地の広さは?」
自分の思い描いていたものではないが優先するのがアクセスの良さだった。
こうした背景には都心のマンション価格の高騰があるといいます。
オープンハウスの営業本部、大島健人部長は、
マンション価格は直近3年で2~3割上がっている。平均5,500万~6,000万円が1戸当たりの価格になるが、4,500万円~5,000万円の間で一戸建てを提案している。
そして購入率を上げる秘策が、2月から法人向けのライン、ラインワークスを使ってお客様との連絡を取り始めました。名刺にもラインのQRコードが描かれています。
物件の画像や間取りのやり取りが簡単になりお客様と連絡が密に取れるようになったといいます。
独特の土地の仕入れで物件の価格を下げ、さらにスマートフォンアプリなどを活用し親しみやすさをアピールすることで、都会の戸建ての購入へのハードルを下げてきたオープンハウス。
こういった需要は東京だけではないといいます。
地方の大都市部に狭小3階建てのパイが残っている。そこに対して積極的にアプローチしていく。