ガイアの夜明け ビジネス関連

[ガイアの夜明け] 激突!「トランプ」vs 日本企業(1)

2017年4月18日

激突!「トランプ」vs 日本企業

マイク・ペンス副大統領

4月18日に来日したアメリカのマイク・ペンス副大統領。

安倍晋三総理大臣と会談し日米同盟を経済面で一層強化するための初会合にも出席しました。

新たな日米経済の始まりです。

全日本空輸株式会社

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2月15日の成田国際空港。

就航セレモニーが開かれていました。

全日空が3年前から進めてきた念願の新規路線。それがメキシコシティへの定期直行便です。

主なターゲットはビジネス客。

全日本空輸の篠辺修社長(当時)は、

メキシコに日本企業1,000社以上が進出している。ビジネスの流動が十分にある。

メキシコ路線にはこれまでにない特徴があります。機内の半分以上をビジネスクラスが占めています。

14時間でメキシコの首都と結ばれます。

株式会社事事業革新パートナーズ

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そのメキシコシティから北西に約300キロ、中央高原地帯のバヒロ地区。

巨大な工業団地の中に見えてきたのはドイツのフォルクスワーゲン、そしてアメリカのゼネラル・モーターズ。

いまやここは世界有数の自動車産業の集積地です。

当然、デンソーなど日本の自動車関連企業も進出しています。

そんな工業団地の一角に「FOR LEASE(貸します)」と書かれた文字が。

このレンタル工場を建てたのが株式会社事事業革新パートナーズの茄子川仁社長(41歳)。

一昨年の10月にこの工場は立ち上がって1年少したった。

このレンタル工場は日本の中小企業をメキシコに誘致するために建てられました。

茄子川仁社長に工場の中を見せてもらいます。サッカーコート一面分の広さ。しかし中には何もありません。

毎月30件くらい問い合わせはあったけど、去年の秋くらいから減っている。もともとの計画では去年の秋には全て埋まっている状態を目標にしていた。計画から外れてしまっている。

年間の売り上げは5,000万円と想定の半分。この状態が続くと事業が立ち行かなくなります。

トランプ大統領

茄子川仁社長を追い込んだのはトランプ大統領。

アメリカ・ファースト。

メキシコに「国境の壁」建設代を払わせる。メキシコはアメリカを利用している。

メキシコがアメリカ人の雇用を奪っているとしてビジネスをストップさせようとしていたのです。

税金や人件費の安いメキシコ。その工場地帯の一角には建設が止まったままの工場があります。

ここでは自動車メーカー「フォード」の新工場が建つはずでした。しかしトランプ大統領の圧力に屈し撤退。

それを知ったトランプ大統領は、

ありがとう、フォード。メキシコの新工場を中止してくれたからアメリカに700の仕事が生み出された。これは始まりにすぎない。

フォードの建設現場で働いていたという元従業員を訪ねました。

撤退が決まった翌日に工事現場へ行ったら、すでに閉鎖されて入れなくなっていたんだ。「もういい」って言われて、突然クビさ。

あいつは人間の感情なんて全く持ち合わせていないやつだね。

メキシコ

反発が強まるメキシコ。影響は現地の日本企業にも及んでいました。

清水建設のメキシコ支社、

トランプ氏になるとは誰も思っていなかった。プロジェクトが去年に比べて半分になるのではないか。

三菱東京UFJ銀行のメキシコ支店、

今後どういった事業計画を立てたらいいか、決着の時間軸が定まらない。

一方、長年アメリカでビジネスを続ける企業は?

ファーストリテイリングの柳井正会長、

「おまえのところはここで工場つくれ」「はい、そうですか」という問題じゃない。そうなればアメリカから撤退する。

さらに混乱は日本の意外な場所にも。

トランプ政権とどう向き合うのか、その知られざる戦いを追いました。

株式会社事事業革新パートナーズ

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東京・中央区。社員数約20人。メキシコでレンタル工場を展開する茄子川仁社長の会社です。

茄子川仁社長、かつては大手商社でタンカーの売買などを担当。

その経験を元に2009年、中小企業の海外展開を支援する会社を立ち上げました。

アジアはある程度完了してきている。今後はメキシコや別の地域に行った方がいい。

世界の自動車メーカーが集まるメキシコへ進出したのは2014年。

自力では工場建設が難しい中小企業のためにレンタル工場を完成させました。

折しもアメリカでは大統領選がスタート。ヒラリー・クリントン氏がリードしていました。

こちらは女性を「豚・バカ・犬」と呼んでいた男よ。しかも「妊娠した従業員は使えない」って。

そんなことは言っていない。

この頃、茄子川仁社長の工場に入る企業も順調に増えていました。

しかし、新大統領に就任したのはトランプ氏。次々とメキシコに厳しい政策を打ち出しました。

アメリカを再び偉大にしよう。

すると、茄子川仁社長のレンタル工場は一転窮地に。まだ半分が埋まっていません。

このままでは閉鎖の可能性も。

トランプ大統領の影響

3月12日、メキシコシティ国際空港。

茄子川仁社長がやって来ました。

レンタル工場になんとか企業を誘致しようと現場の情報を集めるといいます。

まず向かったのは車の内装部品を作る会社です。主な販売先はアメリカ。売り上げの半分を占めています。

トランプ大統領が就任した影響は?

最大のマーケットはアメリカ。その動向がはっきりするまで皆さん様子を見ている。

多くの企業が投資の拡大に慎重になっているようです。

次に向かったのはホンダの子会社。プラスチック部品を製造しています。

部品点数も多いので外注を考えていきたい。

意外にも生産の一部を任せる協力企業を探していました。

日本企業がメキシコに出てきたら魅力はありますか?

出てきてもらうと非常にありがたい。

必ず発注いただけるということになりますか?

その可能性は十分あります。

トランプ政権になっても計画通り生産を続ける企業も。仕事を受注するチャンスはありそうです。

チャンス

東京に戻った茄子川仁社長。メキシコで集めた情報の中である数字に注目していました。

この数は日本の工場では絶対ありあえない。それがメキシコにある。

カナダの会社がメキシコで作った金型工場。年間400件の受注を計画していました。

その数は平均的な日本の金型工場の10倍以上。巨大な市場がメキシコで眠っていることを意味しています。

何十億円という仕事を取る会社がすでにあることを知った時にどう反応するか?

トランプ大統領を恐れずに出ていけばメキシコにはまだ大きなチャンスがありそうです。

株式会社明輝

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4月5日、神奈川県厚木市、茄子川仁社長は早速動き出しました。

向かったのは中堅の金型メーカー、株式会社明輝、社員は200人。

家電から自動車部品まで精密な金型に定評のある会社です。

茄子川仁社長、ここに狙いを定めました。

現地でのヒアリング情報をまとめました。メキシコは非常に特異な状態で3%しか国内で金型が作れない。

メキシコは工場で作る金型のほとんどを輸入しています。いま進出すれば大きなビジネスにつながると説きますが、

ちょっとやそっとの設備では金型を作ったり直したりはできない。相当の投資をしないと。

トランプ政権の動向が不透明な中で巨額の投資に慎重なメーカー側。

ここで茄子川仁社長、すかさず切り札の数字を、

カナダの金型メーカーの話ですが、金型工場とは思えない規模だった。年間400件の注文が見込める。

ライバルはすでに桁違いの注文を狙って進出しているという情報。興味を惹いたようです。

攻めの戦略でいくのか、少し様子を見ながら進出する方がいいのか、戦略を立てる上で、いろいろな選択肢が見えた。

トランプ大統領の影響で、どれくらい需要がなくなるのか、知りたいお客様がすごく増えている。そういったお客様向けに現地の市場調査をして情報を提供する。

この後、茄子川仁社長のレンタル工場で新たな展開が。

株式会社エムエス製作所

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愛知県清須市のエムエス製作所。1971年の創業で従業員は約50人。

自動車部品の中堅メーカーです。金型など精密な加工を得意としています。

その金型を組み合わせて隙間に黒いゴムを流し込んで固めると複雑な形状の部品ができあがります。

この会社を率いる迫田幸博社長。これまでアジアを中心に積極的に海外に進出。2016年、メキシコにも工場を開設しました。

日産、ホンダ、マツダ、トヨタが出た。一気に日本の自動車産業が凝縮した。仕事のあるところに行く。

メキシコ工場

メキシコ中部のバヒオ地区。

ここにできたレンタル工場にエムエス製作所のメキシコ工場があります。2016年8月に開設。

従業員は5人。うち2人がメキシコ人です。

ここの責任者はメキシコ拠点長の新井信雄さん(53歳)。この道30年のベテランです。

大事なのはこのポイント。角度とバランス。

ここには新井信雄さんのようなベテランの職人に加え、1億円を投資して機械設備を導入していました。

しかし、

もう2台、ここに欲しい。実は。トランプ大統領の関係でストップがかかっている。

メキシコに来たもののトランプ政権の影響で会社が追加投資を凍結していたのです。

新井信雄さんのもとへ1人の日本人が訪ねてきました。

このレンタル工場をつくった株式会社事事業革新パートナーズの茄子川仁社長です。

エムエス製作所はここの数少ない入居者。共にトランプ政権に追い込まれていました。

引き下がるわけにはいかない。背水の陣、やるしかない。

新井信雄さんが悩んだ末に見つけた突破口は意外なものでした。

経営危機

トランプ政権誕生の前にメキシコに進出してしまったエムエス製作所。

現地の責任者、新井信雄さん。

実は大変なことに直面していました。

実際は入金がなかった。

1月の入出金の予定表。入金の欄には一切数字が書き込まれていません。

ここ5ヶ月の収入はゼロ。この状態が続くと撤退に追い込まれてしまいます。

数日後、新井信雄さんは工場の前でスマートフォンをかざしています。工場内の設備も写真に収めていきます。

デスクに戻ると設備の写真を載せたパンフレットを改めて作り始めたのです。

今ある機械で出来る仕事を日系企業に向けてアピールするというのが狙い。

設備一覧というのを作って「これだけ設備がありますよ」と。

さらに新井信雄さん、現地スタッフにそのスペイン語版を作るように頼んでいました。

新しい仕事

3月13日、問い合わせが入ったのはスペイン語版の方でした。

新規の問い合わせです。金型のメンテナンスの仕事です。

新しい仕事?

一体、どんな仕事なんでしょうか?

早速、連絡をくれた会社に向かいます。車を走らせること約3時間。着いたのはアメリカの大手自動車メーカーのメキシコ工場です。

担当者が出迎えてくれました。

問い合わせは日本メーカーとしては初めてですか?

ええ、そうです。

初めてなんだ。

わざわざ日本企業を探して問い合わせてきたといいます。

日本の企業はいいですね。高い技術を持っていて品質が安定しているのが素晴らしい。だから日系企業と仕事がしたいと思っていました。一緒にできる日本の会社をずっと探していたんですよ。

これからいよいよ本格的な商談。新井信雄さんの挑戦が実を結ぶかもしれません。

トランプ大統領がうんぬんというよりも、現地で実際にやっている企業のニーズをつかんでお客様の期待に沿っていく。それが僕らの生きる道。

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