間もなくボーナスシーズンを迎えますが、経団連がまとめた大企業の今年の夏のボーナスは91万7,906円と前年から4%以上減るという見通しです。
ボーナスの減少は2012年以来、5年ぶりです。
このボーナス減少を受けて、消費の現場でもある変化が起きています。
ボーナスの減少がこの夏以降の個人消費に逆風となる恐れから消費の冷え込みを懸念するスーパーや家具店など小売りの現場では値下げを加速する動きが広まっています。
イオン株式会社
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千葉県にあるイオンスタイル幕張新都心で聞きました。「財布の紐は緩いですか?固いですか?」。
緩い。使いたいときにぱっと使う。
一方、子育て世代に聞くと、
いまはすごく固い。これからお金がかかるし、給料は増えていない。
固い。日常で使うコメやみそは安い方がいい。
「財布の紐は固い」という声が目立ちます。
値下げ商品
「イチ押し商品」と大きく書かれています。この「イチ押し商品」が値下げした商品だといいます。キャノーラ油は1リットルで198円。安いですね。
他にも138円だった炭酸水は98円に、178円だったパン粉は148円に値下げしました。
実はイオンでは消費者の節約意識の高まりを受け、4月に日用品を中心に値下げしました。その商品数も随時拡大し、いまでは400点近くになりました。
店内を歩いていると「スペシャル価格」とか値段の安さを強調した看板が目立ちます。
こうした値下げ戦略はお客様からも好評だといいます。
イオンリテールの栢野博子広報部長は、
油は150%ほど売り上げは伸びた。値下げをしてお客様の反応は高い。
イオンを率いる岡田元也社長も4月の決算会見で、
脱デフレというのが国家目標のようになったわけだが、脱デフレは大いなるイリュージョン(幻想)だった。
栢野博子広報部長は、
現場にいてお客様が安いものを求めているのは肌で感じる。消費者に近い感覚で私たちは仕事をしている。
イオンは今後も値下げを強化していく方針です。
株式会社ニトリ
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値下げの動きは家具など耐久消費財を扱う店でも起こっています。
ニトリホールディングスの広報部、白石侑沙さん、
こちら3万6,945円(税別)だった商品が、現在は2万7,686円になっている。
ロングセラー商品だという3人掛けのソファは9,000円以上の値下げ。
テーブルと椅子の3点セットは1万4,970円(税別)、約1,600円値下げしました。
掛けふとんや敷ふとん、カバーも付いた寝具6点セットは5,990円で500円ほどの値下げです。
ニトリはこうした家具やインテリア小物など約300点を3月に値下げしました。対象は主に販売数量の多い人気商品。価格を下げても大量に生産・販売をすることで利益が確保できるといいます。
値下げの効果は、
値下げした商品は値下げ前と比較して2倍近く売れ行きが伸びている。来店のお客様数も増え、値下げ以外の商品も売れ行きが伸びた。
ニトリは現在、都心部での出店を増やしていて新規のお客様の獲得を目指しています。
一部の商品を値下げすることで、それを目玉として新たなお客様に知ってもらいたい。
株式会社良品計画
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一方、無印良品でも8月から秋冬向けの衣料品の一部を順次値下げする予定です。
対象はダウンベストや肌着などで1割~3割ほど引き下げるといいます。
ボーナス減少で値下げ加速!?物価2%上昇の可能性は?
値下げの動きが相次ぐ中、日銀が目指す物価上昇は実現できるのでしょうか?
「最近なにか買い物をしたか?」
日銀の黒田総裁は、
時計は買った。GPSで時差を自動的に調節してくれる最新の時計を買った。
「消費の現場で2%の達成は可能と信じたか?」
2%は達成できると思う。ただ長く続いたデフレマインドを払拭するのが容易ではなく、時間がかかっている。
黒田総裁が就任して4年、物価上昇率2%の目標を掲げたものの、いまだに達成の見通しは立っていません、
6月16日まで開かれた金融政策決定会合では、審議委員のの一人、木内審議委員が、
物価上昇2%の達成は「中長期的な目標」にすべきと提案。日銀内からも異論が出始めています。
黒田総裁は、
いま「出口」と「正常化」を議論する状況ではないことは事実だが、2%の物価安定目標が「達成できない」とか「適切ではない」ということにはつながらない。2%は達成可能だと思うが、時間がかかり、まだ達成できていない。