アメリカ・ラスベガスで開かれている世界最大級の家電と技術の見本市「CES」に日本のあるベンチャー企業が初めて出展しました。
アメリカ進出を目指してアピールしたのは新型コロナウイルスを抑制する効果があるという技術を取り入れた空気清浄機です。
アメリカ IT見本市に日本ベンチャー!"ウイルス抑制"技術で挑む
ニューヨーク支局の森礎人記者。
CESがいま始まりました。世界各国から集まった参加者が続々と入場しています。
1月5日、一般公開が始まったCES。
超高精細な8Kテレビやドローンなど最新の製品や技術が展示されています。
世界中からおよそ2,200の企業が出展する中、今回初めて参加した日本企業も。家電ベンチャーのカルテックです。
ブースに並ぶのは新型コロナ対策で注目される光触媒技術を使った空気清浄機。
このフィルターが光触媒です。
光触媒のフィルターにLEDの光を当てると化学反応が起き、細菌やウイルス、悪臭などの原因物質を水と二酸化炭素に分解します。日本で発見され、日本が誇る技術の一つです。
メイド・イン・ジャパンをアピールしようと漆塗りや金箔など日本の伝統工芸を用いた製品も展示しました。
訪れたの人の反応は…
美しい。とても魅力的だ。
他のものと違って、これはどんな壁にも映える。
来場者の反応を心配そうに見守る男性がいました。デザイナーの酒井裕典さんです。伝統工芸仕様の製品の展示に強い思い入れを持っていました。
去年の年末、大阪市内。
アメリカへの出発を3日後に控えたカルテックの本社では出典に向けた最後の打ち合わせが行われていました。
従来の家電っぽい商品より日本独自の技術であるとビジュアルとしてもインパクトが欲しい。
会場で注目を引くために急遽仕上げた伝統工芸仕様の製品を展示したいという酒井さん。
デザインではなく技術をアピールすべきだという意見もありましたが…
カルテックの染井潤一社長。
日本の伝統工芸だから、ぜひカルテックから発信していこう。
決断を下したのは社長の染井さん。
家電メーカー、シャープの元技術者で2018年にカルテックを創業しました。創業4年目で世界最大級の見本市に出展する理由は…
ベンチャーの域を出ていない会社なので費用面でも大変だった。
ちょっと背伸び感があるが今回は頑張ってやっていこうと。
アメリカ・ラスベガス。
酒井さんたちが会場にやって来ました。日本から持ち込んだのはあの伝統工芸仕様の空気清浄機です。
CESは5年ぶりぐらい。2002年からずっと来ていた。
実は酒井さんもシャープの元社員。シャープの社員としてCESの出展にも長年携わっていたため今回の出展には特別な思いがあります。
欧米は予防する文化・習慣がない。
大手企業の空気清浄機も欧米に進出するのは難しかった。
このタイミング(コロナ禍)で意識が変わってきている。今回がチャンス。
一般公開初日。
会場には光触媒による脱臭の効果を示すためブルーチーズを置いた環境でその違いを比較する展示も用意しました。
どれほど効果があるのか、こちらの男性が試してみると…
こちら(光触媒)を試して。
こんなにも違うのか。
さらに具体的な商談の申し入れも。
アメリカ大手メーカーの担当者。
当社のCEOが明日会場に来る。このブースに連れてきたい。
次世代住宅の洗面所を実現するパートナーを探している。
明日、ボスが来るので商談がまとまるかもしれない。
今回の出展で北米市場に進出する足がかりを得たいカルテック。酒井さんはその手応えを感じていました。
起業してまだ3年ちょっと。
ここ(CES)でお披露目できることが技術者やデザイナーの夢、誇りでもあるので。
いいスタートが切れた。