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[WBS][若きゲームチェンジャー]夢のエネルギー"核融合"実現へ[京都フュージョニアリング株式会社]

ワールドビジネスサテライト(WBS)

電力不足などに対応するため政府は原発の再稼働や次世代原子炉の開発の検討を表明しましたが、未来のエネルギーとして期待されているのが核融合です。社会のあり方を変える若きゲームチェンジャーに迫るこの企画、今回は京都大学発のスタートアップ企業で核融合ビジネスを手がける京都フュージョニアリングの長尾昴さん(39歳)です。核融合の実用化を試み、世界に挑む若き経営者の思いに迫ります、

夢のエネルギー"核融合"実現へ

6月、アメリカのアナハイムで開かれたのは核融合エネルギー技術会議。欧米など世界中の研究者が核融合に関する最新の研究結果を発表。実用化への期待が膨らんでいます。

核融合炉を開発
CTフュージョン
デレク・サザーランドCEO

核融合の未来は明るい。
2030年代には核融合発電の大規模な展開が始まるだろう。

そして会場には日本人の姿も。京都フュージョニアリングのCEO、長尾昴さんです。

京都フュージョニアリング
長尾昴CEO

脱炭素につながる究極のエネルギーである核融合の実現に対する期待値が上がっている。
核融合は夢のエネルギー、究極のエネルギーだと思っている。

その核融合とは一体どういったものなのか。京都大学にある研究施設に案内してくれました。

京都フュージョニアリング
長尾昴CEO

ちょうどいま核融合の反応を起こしている。

モニターを見ていたのは核融合研究の第一人者である小西哲之名誉教授です。長尾さんの会社の技術責任者です。

京都大学
小西哲之名誉教授

白くポチポチと出ているのが、1秒に100万回くらい核融合反応が起きていて、エネルギーをもった粒子をカウントしている。

もう少し詳しく説明すると核融合の原料は水から取り出すことができる三重水素と重水素です。その原子核を融合させることで莫大な熱エネルギーが生まれます。

なんとスプーン1杯分の水で石油8トン相当のエネルギーを生み出すことができるというのです。

核融合の最も身近な例が太陽です。

京都フュージョニアリング
長尾昴CEO

核融合は太陽を地上でおこすプロジェクト。
太陽の中で核融合が起こっている。
莫大な熱が生まれて太陽は熱い。

核融合の実用化に向けた動きが世界中で加速していて現在フランスでは巨大な核融合実験炉が開発中です。日本やアメリカなどが参加する超巨大プロジェクト「ITER計画」。建設費はおよそ2兆4,000億円に上り、2025年運転開始を目指し、準備が進んでいます。

ただ気になるのはその安全性です。

京都フュージョニアリング
長尾昴CEO

高レベルの放射性廃棄物が出ることもない。
熱暴走が起こることもない。

夢のエネルギーといわれる核融合にはアマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏やマイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏などが巨額の資金を投じていて核融合の会社は世界で続々と立ち上がっています。

そんな中、京都フュージョニアリングが開発するのが核融合炉のカギを握る部品です。

京都フュージョニアリング
長尾昴CEO

核融合反応に必要な熱を生み出す装置。
ここからマイクロ波を出すことで核融合反応に必要な熱、1億度から1.5億度に加熱するための装置。
太陽より熱い。
このパーツを作れる会社は世界でも数社。
かなり難しい技術。

核融合炉に必要な装置を開発し、世界中に供給する計画です。

こちらの装置、設計・組み立ては京都フュージョニアリングが行い、各部品の製造はキヤノンのグループ会社など30社以上の日本企業が参加しています。

京都フュージョニアリング
長尾昴CEO

日本の技術力って世界中からリスペクトされている。
ネジ一つとっても寸法誤差は世界の比にならないくらい正確。
日本はものづくりするための産業基盤が整っている。
これは間違いのない事実で核融合を作っていくためには正確な誤差のない装置開発が求められていく。

こちらの装置、数億円しますがイギリスの公社などから3本受注することが決まりました。

核融合の実用化を見据える長尾さんですが若い頃のある経験が経営者としての原点だと話します。長尾さんが中学2年生のころ、親戚と両親が経営していた会社が倒産しました。

京都フュージョニアリング
長尾昴CEO

思春期だったのでけっこうつらい部分があって。
ただ悔しかった。
おやじたちが頑張った会社がつぶれるわけですよ。
従業員も整理しないといけないのでくやしさや、会社を経営するのは簡単じゃないけど一方でやりがいがあることだとずっと思っていた。

経営者になることを意識していた長尾さんは日本の強みであるものづくりに関心を持ち、京都大学工学部へ進学。

卒業後、コンサルティング会社やスタートアップ企業に身を置き、経営や資金調達などを学びました。

そして2019年に京都フュージョニアリングを立ち上げ、今ではおよそ50人の社員と核融合の実用化に向けて突き進んでいます。

長尾さんが思い描く未来とは…

京都フュージョニアリング
長尾昴CEO

EVといえばテスラ、宇宙開発はスペースX、核融合開発といえば京都フュージョニアリングというかたちでみんさんに認知してもらうのが一つの目指す姿。

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