長引くコロナ禍でいま日本の伝統工芸が大きな危機を迎えています。
外国人を含む観光客の激減で土産物店などでの売上が大幅に減少しているためです。
そうした中、作品を売るだけでなく、作品を作るプロセスを公開して現金化する新たな仕組みが注目を集めています。一体どのようなものなのでしょうか。
株式会社ワントゥーテン
[blogcard url="https://www.1-10.com/"]
愛媛県内子町。
人口およそ1万6,000人のこの町は平安時代から続くとされる大洲和紙の生産地。昔ながらの手漉きで作られる和紙は高級品として知られています。
こちらは和紙職人の齋藤宏之さん。
斎藤さんは金属箔を使って装飾を施すギルディングという技法をフランスで学び、大洲和紙と組み合わせたギルディング和紙を考案しました。
フランスやイタリアで展示会を行うなど、アートとして高い評価を得てきました。
しかし…
コロナで店が閉まり、外国人客も来なくなり売上が激減。
月によっては9割減。
長引くコロナ禍で町を訪れる観光客が激減。齋藤さんの作品を販売する店にはほとんどお客様が来なくなったのです。
そうした中、齋藤さんは新たな挑戦を始めていました。
齋藤さんはスマホで自らの製作工程を撮影。その様子があるアプリ上で配信されていました。
実は齋藤さんが使い始めたのはとあるベンチャー企業が開発した「ENU(エヌ)」というアプリです。
アプリ「ENU」を開発したワントゥーテンの澤邊芳明代表。
作り手も作るまでの思い、作業の途中を伝えることでファンを増やせる。
このアプリは通販機能を持つだけでなく、制作工程を公開する機能を持っているのが特徴。
現在登録しているのはおよそ20人の職人たち。
双方向でやりとりが出来るSNS機能やストアをタップすると作っている商品が提示され、購入までできるEコマース機能がついています。
参加を決めた齋藤さんは…
「和紙って何?」と言う10代20代が多いので、若い層に知ってもらうのが一番。
双方向のコミュニケーションで今までにない商品アイデアが発生することも期待。
有料会員からの支援の代わりに会員だけにしか見せない作業風景などを配信。
料金は100円から99万円まで設定が可能で、齋藤さんも今後有料化を検討しています。
このアプリの開発に携わった歌舞伎役者の市川海老蔵さんは…
日本がコロナ禍の中で伝統文化の人、歌舞伎をはじめ伝統工芸も弱体化している。
開発したベンチャーの社長は作品だけでなく、そのプロセスを売るプロセスエコノミーが今後広がると見ています。
世界のマーケットから日本の工芸品は非常に評価を受けている。
職人は高いモノづくりの思想とこだわりの技術を持っているのに伝わっていないゆえに販売できなかったり、ファンが少ないというのがある。
まずは職人の登録1,000人、売り上げ10億円を目指す。