感染が急拡大するオミクロン株については企業のトップからも懸念の声が聞かれました。
1月5日に開かれた経済三団体が主催する新年祝祷会。去年が中止となったため2年ぶりの開催となりました。企業のトップたちは今年の景気をどう見ているのでしょうか。

企業トップを直撃!
今年の景気はどうなる?
伊藤忠商事の岡藤正広会長。

これは期待も込めて。

特に上半期、順調にいくのではないか。

11月というのはアメリカの中間選挙があるから、これで民主党が過半数を割るといわれている。

多少不安定な状況になるだろうと思うので。

後半は株価も景気も多少は下降気味になるのではないか。

「年末の日経平均株価は?」
2万5,000~6,000円になるのではないか。

「思い切って『良い』なぜ?」
サントリーホールディングスの新浪剛史社長。
オミクロン株が弱毒性であるということを前提。経済活動が去年よりも活発だという大前提で。

経済は必ず去年に比べたら活発になってくる。良い年。

しかし世界のサプライチェーンがすごく頭の痛い。

今後この円安がどこまで行くかなと。非常に悩ましいので3万3,000円、3万4,000円で悩んだ。

ローソンの竹増貞信社長。
アメリカの利上げなどが観測されているので春先までややもたつくかもしれないが。


そこから年末にかけて3万5,000円、これを目指して展開していけばと思っている。

WBSが直撃した9人の経営者全員が今年の景気について「良い」「やや良い」と予想。
しかし…
今年のリスク要因は?
「リスク要因は?」
三井住友フィナンシャルグループの太田純社長。
足元でオミクロン株が感染拡大しつつある。

長期化することで若干、個人消費の回復が遅れるとか。

ただ一般論でいうと徐々にコロナをコントロールしつつある。

個人消費が回復して日本の景気は回復するのがメインシナリオ。

さらにリスク要因として挙がったのが…
ホンダの三部敏宏社長。
この1年間、かなり変化が激しいと思う。

半導体の課題やサプライチェーンの問題が前半は残るので。

その辺りが後半になると解決できると思うので後半は良くなると見ている。

あらゆる製品に欠かせない半導体。世界的な品不足で工場の稼働停止や減産を強いられている企業にとっては深刻な問題です。

さらに…
大和証券グループ本社の中田誠司社長。
円安の方が数字上は日本の企業業績にとってはプラス。

ところが過度な円安が進んでいくと輸入物価が押し上げられる。

120円台の前半までは円安はプラスだが、それ以上の円安は阻害要因が出てきてマイナスになる。

適度な円安が望まれる。

去年1月には1ドル、102円台をつけていましたがその後は円安が進行。1月5日には一時116円台をつけました。

またアメリカのFRB(連邦準備制度理事会)の利上げを警戒する声も。

ドル高円安の進行で原材料価格が上昇し、企業収益を圧迫する懸念が強まっているためです。

「利上げの動向は不動産業界にも影響を与える?」
三井不動産の菰田正信社長。
基本的にはわれわれの住宅でいうと住宅購入者の資金調達コストが上がってくる。

投資家向けに賃貸ビルや商業施設を売却しているが、投資家の買われる期待利回りが上がってくる。

その結果として不動産価格は若干調整する可能性がある。

経営者が注目している今年のイベントは…
ANAホールディングスの片野坂真哉社長。
直近は北京オリンピック。

オリンピック・パラリンピックのボイコット問題や世界が中国にどう向き合うか。

最初のイベント、試金石。

航空業界として中国の訪日の人も止まっているが、オリンピックが終わったあとに中国が人の移動を再開してくれるか注目している。

党大会まで続くという見方もあるが、オリンピックに向けて制限を掛けているのが、どう解除されていくか注目している。

ANAと同じくコロナ禍で打撃を受けたJR東日本。利用客の回復には慎重な見方を示しています。
JR東日本の深澤祐二社長。
もちろんインバウンドの人はいないし、そういう意味ではまだまだ見通しは厳しい。

「コロナ前に戻らない理由は?」
やはり働き方が大きく変わってきて、テレワークが進んでいるので。

通勤客、定期のお客様も従来まで戻らない。出張、ビジネス客も非常に戻りが悪い。

今年の賃上げはどうなる?
祝賀会で挨拶をした岸田総理は…
賃上げの水準を思い切って一気に反転させ、新しい資本主義にふさわしい賃上げの実現を期待する。

経済界にさらなる賃上げを求めました。

これに対し企業のトップからは…
伊藤忠商事の岡藤正広社長。
社員は企業にとって最大の経営資源。

したがって利益が出たら最初に賃金を上げるというのは当たり前。

社員には最初に報酬で報いるのが普通。

ただお金をやたらと渡してしまうとダメになる。

「賃上げをするか?」
大和証券グループ本社の中田誠司社長。
する予定。3%以上やる方向で検討している。

大手企業の経営者からは賃上げに前向きな声も。
しかし、労働組合の中央組織である連合は中小企業も含めた賃金の底上げが必要だと釘を刺します。
連合の芳野会長。
政府に対しては消費が拡大しなければ経済対策にならないので。

とりわけ中小企業が賃上げが難しい状況にあるので、中小で賃上げをする。それが消費にまわるようにしてほしい。
