
5月5日、札幌市で行われた東京オリンピック、マラソンのテスト大会。
オリンピックの準備が着々と進む一方、新型コロナの感染再拡大によって無観客開催も現実味を帯びてきました。
こうした中、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の事務方のトップ、武藤敏郎事務総長がテレビ東京の単独インタビューに応じました。
観客数の上限についての結論を出すのは6月ですが、無観客開催や中止の可能性あるのでしょうか?

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
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組織委員会の事務方トップ、武藤事務総長の本音に滝田キャスターが迫りました。

「コロナの感染が広がる中、7月の東京五輪は予定通り開催できる?」

われわれは中止を想定していない。

コロナ対策に万全を期すことは最低限、われわれは責任を持ってやらなければならない。

「6月の段階でも緊急事態宣言は解除できないことも十分ありうる、その場合は無観客開催も?」

その通りだと思う。

今、プロ野球も無観客になった。

日本のスポーツイベントの観客のルールがそういうことであれば五輪も同様に考えるのが常識的なところ。

武藤事務総長は6月の段階でも緊急事態宣言が解除されていない場合、無観客開催もあり得ると初めて言及しました。

「仮に無観客になった場合、どうやって選手のテンションやモチベーションを高める?」

応援のメッセージを競技会場にリモートで送る。「頑張れ」という言葉がビッグビジョンに出る。

ブラジルの選手が出るときはブラジルからのメッセージが送られるとか、そういうことを考えている。

ここからは東京オリンピック・パラリンピック開催にまつわるお金の動きについて見ていきます。

まずこちらは2013年、オリンピックの招致委員会が作成していた予算です。この時は7,340億円でした。

しかし2017年に発表された予算案を見ると、そこから6,160億円増えました。

さらにオリンピックの1年延期が決まったことで去年12月に発表された最新の予算では2,940億円が上積みされ、合計では1兆6,440億円。当初の予算の倍以上となりました。


なぜこれだけ予算が膨らんだのでしょうか。
かつて大蔵省、今の財務省で国の予算を策定する主計局で働き、事務次官も務めた財政のスペシャリスト、武藤事務総長に聞きました。

赤字になった場合、増税など私たちの負担はないのでしょうか。
「当初コンパクト五輪を目指していたが、追加予算が出たことをどう感じている?」

招致の時にどれくらいの金がかかるかを計算するときはできるだけ小さく見せるというインセンティブ(気持ち)が動く。

招致委員会は最初7,000億円くらいで全部できると言っていた。

私もそうだと思って中身を見たらとてもきちっとした積み上げではない。

普通の予算は7,000億円でできる時も1兆4,000億円かかるというのが普通。

「それはまさに武藤氏が財務省の主計局にいたから。」

ところが最初に小さく言った方がいいもんだから増えていくという予算編成になっている。

招致委員会が当初想定していたものと比べ、倍以上に膨れ上がったオリンピックの予算。
大会の1年延期で会場の延長使用料や選手村の維持管理費、コロナ対策費など新たに2,940億円の追加経費が発生しました。

黒字を確保することはできるのでしょうか。

予定通り2020年に行われれば私は黒字化にする自信はあった。

ところが延期になって、コロナになって、観客数が減って、黒字になるのは非常に難しい。

去年の開催であれば黒字にする自信があったという武藤事務総長。
1年延期によって生まれた2,940億円が重くのしかかります。

もともとオリンピックにかかる経費は組織委員会、東京都、国の3者で負担することになっています。
1年延期の追加経費は組織委員会が1,030億円、東京都が1,200億円、国が710億円です。

いきなりですが問題です。

組織委員会は追加負担1,030億円をあるお金によって賄おうというのです。それは一体何でしょうか?


2020年に延期になった時、保険金が収入の1つになった。

正解は「損害保険金」でした。

組織委員会にはこの保険金に加えてスポンサーからの追加協賛金など合わせて760億円の収入があり、追加経費1,030億円を賄ったといいます。

しかし、いま議論の的となっている無観客開催が現実のものとなると組織委員会の収入の柱であるチケット収入がなくなり、収支は厳しくなります。

ここで再び問題です。

もともと通常開催された場合に見込まれていたチケット収入はいくらでしょうか?

正解はおよそ900億円です。

無観客開催になることで警備費や輸送費など一部の費用はカットされますが、それでも大幅な収入減は免れません。
組織委員会が赤字になるとどうなるのでしょうか、専門家に聞きました。

大阪体育大学の原田宗彦学長、
本当にお金がなくなったらどういう順番で補填するかというと組織委員会、そして東京都、最後は国がそれを補填するというように契約はそうなっていますので、負担が組織委員会から都へいくのは致し方がない。

組織委員会が賄えない分は東京都が補填する仕組みです。

では無観客開催によるチケット収入の減収分を東京都が負担するのでしょうか?
都に質問状を送るとこんな回答が…
収入・支出両面での努力を組織委員会とともに行っていく必要があると考えています。

と明言を避けた東京都。
しかし東京都には実は東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金という積立金が存在します。

都が公表している予算案を見てみると昨年度末には3,939億円あった積立金が1年延期になった都の負担分などで3,746億円取り崩されています。


残高は194億円になってしまいました。

オリンピックの1年延期で資金繰りもまさに正念場です。
「財務省として国の予算を策定する立場にいて、今回まさに別の意味で予算のやりくりの立場になるが?」

国の予算は前年度、前々年度の実績がある。

五輪予算は実績ゼロ。

いきなり本番の積算をしなければならない。

チャレンジです。

「よもや再延期は?」

それは不可能。
