何の味かわからないけれど病み付きになるというスープ。
ヒミツは白い袋の中にありました。
肉骨茶(バクテー)
ランチタイムの東京・赤坂。ある店の前に行列ができています。
彼らのお目当ては?
バクテー。
バクテーを食べに来た。
バクテー?
漢字で「肉骨茶」。その正体とは?
SINGAPORE BAK KUT TEH
[blogcard url="http://www.sgbkt.jp/]
店の名前は「SINGAPORE BAK KUT TEH(シンガポール・バクテー)」。
昼食時、多いときで15人ほどが並びます。
中を覗くと大盛況、どのお客様も一心不乱に食べています。
わざわざこのために大阪から来た。
肉骨茶セット(ランチ)(970円)
バクテーはシンガポールの郷土料理です。
豚のスペアリブがゴロリ、シンガポールやマレーシアの肉体労働者の間で広まったといいます。
その味付けは日本人にはちょっと想像できない材料を使います。
さっぱりしている。
スパイシー。
作り方を見せてもらうとスペアリブを次々とスープに入れていきます。
次に入れたのは白い袋。中身は、
当帰、桂皮、八角など十数種類の漢方を入れた。
漢方の生薬や香辛料を使っているのです。これによって甘みや旨味、スパイシーさが複雑に折り重なった味が作り出せるといいます。
これを肉と一緒に沸騰させないように6時間、付きっきりで煮込みます。
この間、漢方の味がよく出るように何度も押し込みます。
平野義幸店長は、
この作業を雑にするとスープが濁り味が付かない。一番丁寧に気を付けてやる作業。
そうして出来たのが一度食べたら病み付きになるという複雑な味のスープです。
レシピ開発
そのレシピを開発した石井秀代さん、漢方の配合も彼女が編み出しました。
当初はレシピを教えてもらおうとシンガポールに乗り込んだのですが、
日本でも「秘伝の味」のラーメン店などがあるが、それと同じでレシピを明かさない。
当然、どの店もレシピは門外不出。
そこで石井さんはシンガポールに通い詰め、様々なバクテーの味を確かめては試作と試食を重ねました。
食べた肉の量は通算50kg。
「ここはこういう漢方が入っている」と全部覚えて書き出すのが大変だった。
そして2年半を掛けて自らの舌だけを頼りに本場の味を完成させました。
最後にこんな一手間も。煮詰まって塩辛くならないように1杯ごとに塩分濃度を測っているのです。
手間暇かけたかいあって店は大繁盛。来店客の内、約7割がリピーターだといいいます。
お酒を飲んだ次の日、体に優しいものを食べたい時に来る。
石井さんは、
朝から晩まで仕込みが大変だが、それでも美味しいものを1杯ずつ出したい。東京だけではなく、いろいろなエリアで食べてもらえるよう店をオープンしたい。