中国のテクノロジーの最先端をシリーズでお伝えする「中国Tech」。
新型コロナを機に中国では飲食や小売業で非接触がトレンドとなっていますが、日本進出を狙う最先端の無人販売を取材しました。
新石器(Neolix)
[blogcard url="http://www.neolix.net/"]
中国・北京の早朝のオフィス街。
上海市局の菅野陽平記者。
午前7時です。地下鉄の駅の目の前にやってきましたが、こちらにある車がいるということでやって来ました。白い小さな車が止まっています。
早朝から駅前で待機するのは無人の販売車。
車体の横に付けられた画面には揚げパンに小籠包、お粥など中国人になじみの朝食メニューが表示されています。
実際に買ってみました。
スマホの決済でできるということでQRコードをスキャンして小籠包を選択。
支払いは電子マネーのみ。現金は使えません。
決済が終わるとドアのロックが解除され商品をセルフで取り出します。
おいしい。中国の小籠包はどこでも食べてもおいしい。安定の味です。
販売中は保温しているためホカホカの状態。
OLにヘルメット姿の作業員など通勤途中のお客様が次々に買っていきます。
QRコードをスキャンするだけでご飯が買える。
店で食事をする時やデリバリーの時の待ち時間が要らないから効率が上がる。
よく買うよ。結構便利だね。
この無人販売車を開発したのは2018年創業の新石器(NEOLIX)。
実はこの車、販売だけではなく仕入れや移動などの全ての作業を自律して行うことができるといいます。
午前10時半。飲食店があるモールの近くに販売車が到着しました。
するとスタッフがランチ用の弁当を次々に積み込んでいきます。
積み込みが終わると自動運転で走り出しました。
自転車などが走る小型の通行帯を時速10~20キロほどで走ります。
向かいから逆走車が来ても難なく避けて通過。自動運転のレベルは遠隔操作を行わなくても完全自動運転が可能なレベル4です。
15分ほどでオフィス街に到着。そのまま中へと進みます。
ビル前の空きスペースに駐車すると販売を始めました。
車体には合計29ものレーダーとカメラを搭載していますが、実は自動運転意外にも活用しているといいます。
新石器の頡晶華CPO。
運転中は自動運転をする他に周囲のデータを絶えず収集している。
周囲の人の流れのデータをクラウドに送り、ディープラーニングを通じて各エリアの人の流れのヒートマップを作る。
これは無人販売車が収集したデータを基に作成した地図。赤い場所は人が多くいる場所です。
複数の販売車のカメラやレーターを連携させ、お客様が多くいる時間帯や場所を分析しているのです。
さらに…
ユーザーの購買データも参考にして、例えばこのエリアの人は弁当が好き、このエリアの人はラーメンが好き、エリアごとの人の好みを分析して販売のおすすめプランを作る。
これは飲食店に送られる販売計画。
天気予報や過去の売れ行きなどの情報を分析し、どのメニューをどれだけ用意すればいいか店にアドバイスをしてくれます。
またこの販売車は変幻自在。トランクの部分を組み替えることができるため販売する商品に合わせ冷蔵庫や冷凍庫も搭載可能に。
プログラムを変えれば手を挙げた人の前で自動的に止まり販売をすることもできます。
現在、新石器の無人販売車は北京や上海を中心におよそ300台ですが、来年の上半期までに2,000台を目指す計画を掲げています。
新石器の余恩源CEO。
今後10年の世界的に一番大きい変化は労働人口減少と高齢化社会の到来。
無人販売車は将来の都市の新たなインフラだと思う。
レストラン、コンビニ、自動販売機は移動式に変わる。
少子高齢化で深刻化する労働力不足に備えるのだといいます。
さらにその先に見据えるのは…
日本でいいパートナーを見つけて日本ユーザー向けにサービスネットワークを作りたい。
さらにニーズがあれば、日本に無人車工場を建てたい。