[WBS] 製造業がモノを作らない!?次の時代、技術者はどう生きる?

ワールドビジネスサテライト(WBS)

モノづくりの現場で変化に直面する日本の製造業の技術者を取材しました。

マツダ株式会社

11月、ロサンゼルス・モーターショーで初公開されたマツダの新型アクセラ。

世界初となる新しいタイプのガソリンエンジンを搭載し、来年発売の予定です。

広島の本社では・・・

その最新エンジンのテストが進められています。

計測します。

はい。

担当する久野直人さん(41歳)です。

高校卒業後の96年にマツダの小会社に入社し、自動車開発のテストの現場で働いてきました。

青は水温、エンジンの水温。赤いのは油温、エンジンの油温。

出力、燃費、ミッション、その他、性能関係の全般を評価している。

自動車業界ではここ数十年、排ガスへの規制が厳しくなっています。そのためテストが必要な項目が増えているのです。

平成以前に作っていたのはガソリン車とディーゼル車だったのに対し、今ではハイブリッドやEV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)まで開発するクルマが増えれば実験の作業も増えます。

かつては人の手ですべての作業を行っていた自動車開発の現場。

何度も試作品を作り、職人的な技術者が議論を重ねていく、こうしたスタイルが当たり前でした。

しかし、狙った燃費や機能が出なかった時に試作のエンジンや車両を何回も作り直せば莫大なコストと手間がかかります。

開発を担当する役員の人見光夫さん。

全てを試作して確かめるこまれでの自動車づくりは不可能になったといいます。

問題点は実物・実際のエンジンに聞くというやり方をしていたが、モノを使って開発すると人も時間もお金もいくらあっても足りない。

モデル上でかなりのところをやらないと対応することはできない。

そこでマツダが進めているのはMBD(モデルベース開発)という手法。

モデルベース開発

モデルベース開発とは部品の設計から車両の走行までパソコン上で精密なシミュレーションを行って試作を極力減らす手法です。

例えばここでは、エンジンが吸い込む空気の流れを分析しています。

マツダの上村匠さん、

基本的には空気の流れが入ってきて、きれいにくるくる回る流れを作りたい。

目で見えないエンジン内部の空気の流れを再現することで改善策を考えられるようになりました。

マツダの足立智彦主席研究員、

これまでは試作ができるまで結果が分からない。

結果が分からないが仕事はしなくてはいけない。

無駄な仕事をしてしまうことになる。

このシミュレーションを中心にしたモデルベース開発を進めることで技術者の働き方も変わってくるといいます。

モデルベース開発を徹底的に進めたら検証する部分の仕事は減らしていって、1人でテストもモデル作りもできるようになるのがもちろん理想。

その両方ができるようにぜひなってもらいたい。

久野さんのような実験を担当する技術者でもテストの作業だけではなく、シミュレーションづくりを学ぶことが求められているのです。

危機感はある。

設計領域のシミュレーションが確立されれば我々の作業は実機での確認評価なので、その辺は縮小されるかなと思っている。

久野直人さん

この日、いつもとは異なる場所に出勤する久野さんの姿が・・・

MBD(モデルベース開発)の研修で教育センターに向かっている。

社内のモデルベース開発の研修に自ら手を上げて初めて参加しました。

まずはイナーシャ1、右側のプーリーの回転数を取り出すところで・・・

専門用語が飛び交う授業。パソコンを使ってシミュレーションをする技術を学んでいきます。

研修に参加しているのは20代の若手社員ばかり。

24歳です。新入社員です。

きょうのツールも初めて触ったが置いてけぼりにならず受けられる。

久野さん、疑問はすぐに講師に質問をして必死に授業に追いつこうとしています。

ここは要素が違う。

それです、それを消してしまって。

アドバイスに従ってプログラムを書き直していきます。

難しい、展開が早くてちょっと付いていけなかったり。

畑違いだったシミュレーションの技術を身に付け仕事の幅を広げることができるのか、久野さんの奮闘は続きます。

実験から設計までオールマイティーに活躍できる開発者になりたい。

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