自動運転で走るトラクター。複数のメーカーが開発中で実用化も目前といわれています。
その自動運転のカギとなるのが「GPS」衛星。
スマートフォンやカーナビなどでお馴染みのGPS技術は複数の衛星から出た電波を使って現在の位置を知るという仕組みです。
今このGPS技術を活用して様々な既存の産業を変える挑戦が始まっています。
株式会社はとバス
東京を巡る観光バス「はとバス」。
バスに乗った外国人観光客が耳に何かを付けています。観光スポットを紹介する音声案内、GPSと連動して自動で流れるガイドシステムです。英語や中国語など8ヶ国語に対応しています。
バスが東京タワーに近付くと、
右の大きな塔は東京のシンボル、東京タワーです。東京タワーは1958年に建てられました。
バスにはGPSの受信装置と音声案内が収録された端末「GPS付き自動ガイドシステム『TOMODACHI』」が設置されています。
事前に案内を流す場所を設定しておき、バスがその場所まで来るとGPSが認識し音声が流れる仕組みです。
GPSはバスの進行方向を認識できるため「右に見える」「左に見える」といったきめ細やかなガイドができます。
お客様にこのシステムの感想を聞くと、
音声をただ再生するだけじゃなくGPSと連動していたのね、すごい。
株式会社フュートレック
株式会社はとバスに技術協力をしたのが音声認識技術を開発する株式会社フュートレックです。
GPSによる最大のメリットが交通渋滞に対応したガイドができることです。
株式会社フュートレックの事業推進本部、藤井則次さんは、
バスがスムーズに進んだ場合は短くガイドします。渋滞があるときはガイドを長めにします。
録音している音声案内の内容、例えば歌舞伎座の音声案内の内容は2つに分かれています。
実際にバスが歌舞伎座に近付くと、
右の瓦屋根の建物が歌舞伎座、奥の高い建物が歌舞伎座タワーです。歌舞伎座は、1890年総檜造りの建物の完成から約1世紀が過ぎました。その間4回の建て替えがあり常に銀座のランドマークとしてその存在を誇ってきました、。2013年4月に開場いたしました。
バスがスムーズに進んだため次の説明は省略されました。
唐破風屋根の上には重さ700kgの鬼瓦が設置されています。また施設が災害時帰宅困難者の避難所となり3,000名を受け入れる事ができます。
道路が渋滞した場合は続きの文章を読み上げお客様を飽きさせないサービスができるのです。
株式会社はとバスはGPS付き自動ガイドシステムを導入するツアーを今後増やす予定です。
株式会社はとバスエージェンシーの商事事業化、小野寺直治さんは、
ガイドやドライバーの手間をかけずに外国人客にガイドできるのはメリットになる。
SPACETIDE 2017
今、このGPSの活用を様々な分野に広げる取り組みが進んでいます。
2月末に横浜市内で開かれたのは日本初の民間による宇宙ビジネスのシンポジウムです。
スペースタイドの石田真康代表理事は、
AIやビッグデータと同じように宇宙も自分のビジネスにどう使えるか、その考え方をする人が増えてきている。
今回のイベントは内閣府や経済産業省、文部科学省、JAXAなど国が全面的にバックアップしています。
内閣府の石原宏高副大臣は、
農林水産省や流通業など幅広い産業に恩恵が期待できる。
この日、GPSの活用をさらに広げる技術を開発したある企業が登壇しました。
マゼランシステムズジャパン株式会社
マゼランシステムズジャパン株式会社の小西覚さんは、
衛星測位、高精度測位を使って自動運転や無人運転しようと、量産化の段階に入っている。
マゼランシステムズジャパン株式会社はトラクターなどの現在位置を誤差数センチで把握できるGPS受信装置を開発。
精度の高い装置は他社も開発していますが注目すべきは10分の1以下という価格の安さです。
兵庫県尼崎市。マゼランシステムズジャパン株式会社は社員約20人の会社です。
まずは精度の高さを見せてもらいました。
GPS受信装置を乗せた台車を動かすとその動きがパソコン画面に描かれていきます。
普通のGPSは複数の人工衛星から送られる信号を受信装置で捉えて場所を特定。しかし大気や建物などの影響を受け数メートルから10メートルほどのズレが生じやすくなります。
そこでマゼランシステムズジャパン株式会社が考えたのが近くに簡易的な基準局を設置する方法です。基準局からも信号を出し位置を補正することでズレは数センチ以内に収まるといいます。
この技術を応用すれば農業以外にも道路工事などの建設分野やフォークリフトといった物流分野などに活用できる可能性もあります。
しかし、高い精度を何故安く提供できるのか?
実は受信装置の部品には民生品を使っています。その分、精度が落ちる欠点はありますが、それを補うソフトウェアを独自開発。
GPS
受信装置の過価格は約10万円。従来品の10分の1以下だといいます。
京都大学
GPSと連動して自動運転する事件用の小型車。京都大学と共同で検証を進めています。
実はこうした車両を公道でまっすぐ走らせるのは難しいといいます。
京都大学農学研究科フィールドロボティクス分野、飯田訓久さんは、
このへんは真っすぐ行くんですけど。
「右側にずれてる。」
路面が凸凹なので真っすぐ走らない。
そこでジャイロセンサーや加速度センサーを使って車両の姿勢を自動で修正うる装置を開発しました。
比べてみると一目瞭然。受信装置やアンテナなどと合わせて数十万円程度の価格を実現しました。
マゼランシステムズジャパン株式会社の岸本信弘社長は、
多岐に渡る作業が無人化できる。量産ベースでは今年が元年。
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