国民の医療費の推移ですが増えてきています。1989年の時点では約19兆円でしたが、最新のデータ、2014年は約40兆円とその額、2倍以上に膨れ上がっています。
病気の予兆を放っておくと重症化するケースも少なくなく、その結果として医療費の増加につながっています。
こうした中、医療費の伸びを抑えようと「ネット医務室」ともいえるサービスが登場しています。
果たして医療費の増加を抑える切り札となるのでしょうか?
株式会社IDOM
[blogcard url="https://221616.com/"]
中古車販売などを手掛けるIDOMの営業店。
入社4年目の内田智哉さん(25歳)。実は最近、体に気になる症状が出ているといいます。
1週間ほど前から、この辺にちょっと荒れてるような感じで湿疹みたいなものができている。
胸元に1周間ほど前から湿疹が現れた内田さん、まだ医者には相談していません。
暇があったら行こうかなって感じ。そんなに深刻には考えていない。
IDOMは全国に500を超える営業店を構えていますが、健康相談する医務室は本社にしか備えていません。社員の健康管理が課題となっていました。
人事担当の鳥海健太郎さんは、
気軽にスピーディーにちょっと体調が悪い時でも相談できるような仕組みを店舗の方にも用意したい。
そこでIDOMは8月からネット上で医療相談ができるサービス「first call(ファーストコール)」を導入しました。
first call
[blogcard url="https://www.firstcall.md/"]
利用者からのネットでの医療相談に対して約50人の医師が24時間以内に回答してくれます。料金は2,000人規模の企業に導入した場合でも月額15万円ほどです。
早速、内田さんは休憩時間にファーストコールを使ってみることにしました。
まず皮膚科の項目を選択します。そして、胸元にできた湿疹の様子を写真に撮って添付します。相談内容を打ち込みます。
「1週間前から胸のあたりにデキモノができた。最初は痒みが少しあったけど、そこからは特に痒みとかはなく、少し範囲が広がり、治らない。まだ病院に行ってなくて、特に薬とかも塗っていない。このまま放置していても大丈夫でしょうか?」
今の内田さんの症状を相談しました。
どういう回答が返ってくるのか。本当にサービスとしてすごいいいものなのか。
眞鍋歩医師
都内の病院、患者の最初の窓口となる総合診療医の眞鍋歩医師。診察の合間に見始めたのは先程の内田さんの相談です。
友達にメールを打つような形で自身の悩みを気軽に相談できる気軽が医療に対するハードルを下げるというところではファーストコールはとても有益なのではないか。
内田さんの湿疹に対して眞鍋医師の回答は…。
翌日、湿疹に対する回答を読む内田さん。
眞鍋医師は今回の症状に対して汗疹だけでなくウイルス感染などが原因の湿疹の可能性も指摘。また保湿クリームの使用はやめて皮膚科を受診するようにアドバイスをしました。
内田さんは、
自分は保湿クリームを使っていたが、間違った仕方だと分かったのですごいよかった。治らないようであれば病院行こうかな。
内田さん、ファーストコールで医師に相談して初めて病院に行くことを検討し始めました。
しっかりとした安心できる情報をもらえるのは、医師から情報をもらえるので安心して使える。
メドピア株式会社
[blogcard url="https://medpeer.jp/"]
ファーストコールを運営しているのは医療情報サービスを手掛けるメドピア。
先程、医療相談に応じていた医師の眞鍋さん。実はメドピアの社員としてファーストコールの開発に関わっています。
かつては手術を多く手掛けてきた眞鍋さん。病気が重症化する前に対処する必要性を痛感していました。
診断して治療をするところから、もっと手前の段階、重症化を予防していくところに。医療費の削減につながるものが何かできるのではないか。まず最初に健康相談ができるプラットフォームを作ろうと。
眞鍋さんはネットを使った医療をさらに推し進めようとしていました。
北里大学東洋医学総合研究所
[blogcard url="https://www.kitasato-u.ac.jp/toui-ken/"]
向かったのは北里大学東洋医学総合研究所です。国内最先端の漢方医療を求めて全国から患者が集まります。
眞鍋さんは治療が長期に渡る漢方医療の現場にネットを使った診療を導入できないかと考えたのです。
対面の診察に置き換わるような形でオンライン上で患者と先生が話すことが可能。
こちらの病院では診察までに60分以上待つこともあります。遠方に住む患者にとって再診のために病院に行くことは大きな負担となります。
そこでこの病院ではメトピアのシステムを使ったネットによる診療を9月から始めることにしました。
再診の患者を対象に簡単な診察や薬の処方などをすることが可能。
北里大学東洋医学総合研究所の小田口浩所長は、
必要があれば実際に来てもらうように画面を通じて言えますし、患者さんも不安なまま同じ漢方薬を飲むよりも安心なのでは。
眞鍋さんはネットを使うことで予防医療につながると期待しています。
データを解析していくことで企業ごと、産業ごとに健康にかかわる傾向が出てくると思う。予防医療の面において病気の早期発見、早期治療で貢献できる。
果たしてネット上の医務室は医療費増加を抑える切り札になるのでしょうか?