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[WBS] 国境は閉じられない!イギリス、EU離脱の「裏口」とは!?

2017年9月4日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

8月30日から3日間の予定で来日したイギリスのメイ首相。

初日は京都を訪れて日本のお茶会を楽しみました。

そのメイ首相の頭を悩ませているのがブレグジット(EU離脱)をどう実現していくかです。

離脱に向けたEUとの協議も始まる中、イギリスではある難題が持ち上がっています。

その名もブレグジットの「裏口」問題。

アイルランド島

イギリス本土の西側にあるアイルランド島。イギリスとアイルランドが国境を接する島です。

豊島晋作キャスター、

ここが国境です。アスファルトの継ぎ目が国境線になっていて右側がイギリス、左側がアイルランドです。

現在は両国ともEU加盟国なので人も物も出入りが自由です。

毎日、約3万人が行き来をして事実上、国境はないに等しい状況です。

しかしイギリスがEUから離脱すれば、こうした移動の自由は制限されるとみられます。

これにイギリス住民は、

国境なんてとんでもない。もう紛争は終わって私たちは仲良く暮らしているんだ。

北アイルランド紛争

紛争とは90年代まで続いていた北アイルランド紛争のことです。

イギリス領にとどまった北アイルランドと南のアイルランドが対立して国境には軍隊が配備されていました。

その後、両者の和解が進み自由な往来が実現した経緯があります。

アイルランド住民は、

過去に戻るべきではない。

国境線

イギリスのEU離脱が実現すれば国境を管理する必要性も高まります。

しかし国境線は長さが約500キロ、さらに大小200以上の道が国境をまたいで走っています。

取材班はある道路を走ってみました。イギリス側から国境を越え、アイルランド領内を走っていると、

イギリス領内に入りましたよ。

またイギリス領に入りました。さっきまでアイルランドにいましたが、またイギリスです。

また国境を越えました。

また国境を越えたようです。アイルランドにまた入ったということです。

今、イギリスです。

またイギリスに入りました。

実はこの道路、ジグザグに入り組んだ国境線を真っ直ぐ貫くように走っています。わずか10分ほど走るだけで、なんと4回も国境を越えてしまいます。

このように入り組んだ国境を管理するのは難しい。

アルスター・ファーマーズ・マート

国境問題は地元経済にも影を落とします。

いい羊が来た!76ポンド、77ポンド!

国境沿いの街にある家畜のマーケット。

食肉用の羊を売りに来た畜産農家のヒュー・マグワイアさんの表情は冴えません。

マグワイアさんの農場はフェンスで区切られた国境線の上にあります。

フェンスの向こうはアイルランド。あれはEUにとどまる羊だ。フェンスのこちら側はイギリス。こちらの羊はEUから出ていくことになる。

この地方で育てられる羊の約7割がアイルランド側に運ばれて加工されています。イギリスのEU離脱後はその移動だけで関税がかかる恐れがあります。

まるで冗談みたいだ。どれだけ損失になるか。

農業団体の幹部、アルスター・ファーマーズ・マートのマネージャー、ジェームス・ジョンストン氏は、

イギリス政府はいまだに具体的な対策を出していない。

国境近くで商店を営むアイルランド人男性も戸惑いを隠せません。

今後は密輸業者のトラックがそこら中を走るようになるだろう。

EU離脱後もこの国境を通じ人や物が勝手に行き来する可能性が高い。

イギリスメディアがブレグジットの「裏口」と呼ぶこの問題、今後はさらにクローズアップしそうです。

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