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[WBS] 児童虐待の多発で緊急会議!なぜ児童相談所は対処できない!?

2019年6月14日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

児童虐待の事件が全国で後を絶ちません。

札幌市で2歳の娘を虐待したとして21歳の母親と交際相手が逮捕された事件。

児童相談所は虐待の疑いがあることを把握していたにも関わらず事件を未然に防ぐことができませんでした。その背景には児童相談所の人手不足や虐待の深刻度合いを周囲が知ることの難しさがあるといいます。こうした状況を改善しようとAI(人工知能)を活用して子ども達の命を守る取り組みが始まっています。

児童虐待

6月14日、厚生労働省でで開かれた緊急会議。相次ぐ児童虐待事件を受け全国の児童相談所の所長などおよそ200人が集められました。

会議の冒頭、根本厚生労働大臣は、

2歳の池田詩梨ちゃんが亡くなり、実母と交際相手が逮捕された。

児童相談所や警察の関わりがある中、こうした結果になり痛恨の極み。

今月発覚した池田詩梨ちゃんの衰弱死。

虐待を疑う通報を受けた警察は札幌市の児童相談所に対し母親の莉菜容疑者との面会に同行するよう2度に渡り要請。しかし児童相談所は、

警察から世帯の訪問に同行できないかと要請があったが夜間態勢が整っておらず「難しい」と回答した。

また1月に千葉県野田市で小学4年生の女子児童が自宅の浴室で死亡した事件では柏児童相談所が父親から性的虐待を受けていた疑いを把握していたにも関わらず児童の一時保護を解除し、帰宅を認めていました。

6月14日の会議では、児童相談所が通告を受けてから48時間以内に子どもの安否確認をするように徹底。また把握している全ての虐待事案について子どもの安全を確認し、9月までに報告するように指示しました。

事件が起こるたびに対応の甘さを指摘される児童相談所ですが、現場の声を聞くと…

大阪市南部こども相談センターの音田晃一所長、

一番頭を抱えているのは人が育たない、定着しない。

大阪市こども相談センターの岸本弘子所長、

1人で一通りできるようになるには3~4年はかかる。

人員の確保に頭を悩ませていました。

10年以上、児童相談所に勤めた経験がある専門家は…

東京経営短期大学こども教育学科、小木曽宏教授、

今の児相は40代がすごく少ない。30代以下、20代の職員ばかり。

「家庭訪問しろ」「親とうまくやれ」とか関係機関との中でストレスも抱えている。

「本音を聞き出す」というところは経験というものが必要。

国立研究開発法人産業技術総合研究所

[blogcard url="https://www.aist.go.jp/"]

その人手不足や経験者不足をAIを使って支援しようとする動きが始まっています。

開発したのは産業技術総合研究所の人工知能研究センター、髙岡昴太さんのチームです。

今回、産総研で開発したのはAiCANというAI。

まず、タブレット端末に児童の名前、性別、年齢、両親の状況など個人情報を入力します。

そして次の画面には、

虐待に関する質問が全部で15項目あります。ただ、この質問内容はお見せすることができないとうことですが答える内容によって虐待のリスク度というのが変わってきます。

虐待をしている親などが調査の対策をするのを防ぐため15項目のうち公開できるのは2つの質問だけ。頭部顔面腹部に傷があるかどうか、児童自身が保護を訴えているかどうか。

これらの質問に答えていくことで虐待のリスク度を測ります。

決定的な質問が中にはあり、それを押すと一気に虐待の可能性が跳ね上げがるということになっています。

過去の事例をもとに確率を計算している。

髙岡さんのチームは三重県の児童相談所で過去6年間で扱ってきたおよそ6,000件の虐待情報をデジタル化し、AIに学習させました。

特に事故で転んだ場合と虐待の場合で傷のつく場所も違うと先行研究で分かっている。

さらにこのAIの特徴は虐待の再発率などを割り出した理由も示してくれることです。

また問題解決にどれくらいの日数がかかるかも予想します。

髙岡さん、5年後をめどに全国での実用化を目指します。

今まで人の異動でなくなった知見をAIが蓄積していくことが可能になる。

今苦しんでいる子どもを減らすことに着実に役に立てる。

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