信用金庫は地元の中小企業への融資を行うなど地域経済にとってはなくてはならない金融機関です。
この信用金庫がいま意外な事業に乗り出す動きが加速しています。一体なぜなのか取材しました。
しんきん地域創生ネットワーク株式会社
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7月15日に開業したこちらの商社「しんきん地域創生ネットワーク株式会社」。
実は全国に254ある信用金庫を束ねる信金中央金庫が全額出資して設立しました。
信金中央金庫の柴田弘之理事長、
金融の枠を超え、本業支援や地域創生支援を行うため、しんきん地域創生ネットワークを設立する。
融資を本業とする信金がなぜ商社を開業したのか?
狙いは企業と企業を結びつけるビジネスマッチングなど融資以外の方法で中小企業を支援することです。
商社なら食品や雑貨など商品を自ら販売することが可能。顧客である中小企業と一緒に新商品の開発から販売まで行い、より踏み込んだ支援をしていく考えです。
いま中小企業の支援のため信用金庫が新たな事業に着手する動きが広まっています。
コロナでインバウンド消費が消えた京都。そこで始まったのが…
京都中央信用金庫の国際営業課、山下洋平課長。
中国のSNSの中にECサイトを作った。
京都中央信用金庫が全額出資し、中国にECサイトを開設。
宇治抹茶を使ったお菓子など顧客である地元企業の商品の販売を5月末から始めました。現在110社が参加しています。
地域の企業が発展しないとわれわれも残れない。共存共栄です。
神奈川県藤沢市。
従業員およそ30人の印刷会社「東湘印刷」です。
社長の石川智隆さんに新型コロナの影響を訪ねると…
人が動くと印刷物は使われる。イベントがなくなると印刷物は出せなくなる。
経営環境は厳しさを増すばかりですが、売り上げはコロナ前と比べて1割も減っていません。
そのワケは融資を受けている横浜信用金庫からのある提案でした。
それが横浜信金が顧客企業を支えるために導入している「ビッグアドバンス」と呼ばれる企業のマッチングシステム。
取引先やビジネスパートナーを探している企業が検索画面で事業に関するキーワードを入れ、ニーズ欄で書いたいを選択します。
すると全国5万社以上の候補の中からキーワードに入れた技術や製品を買いたいという企業が出てきます。この中から気になる企業に取引を申し込むことができるのです。
さらに、
「商談の申し込みが入りました」、パッケージの協力ができないかと。
兵庫県の印刷会社から一緒にビジネスをできないかとの相談も。
社長の石川さんはこのビッグアドバンスを通じて去年1年だけでおよそ15件の新規取引を実現し、コロナ禍で減った売上をカバーしました。
助かっている。何もツテがない中からお客様に会える。
およそ2万社の中小企業を顧客に持つ横浜信用金庫。そのうち1割の2,000社がこのマッチングシステムを利用しています。
横浜信用金庫の加藤正路さん。
ものすごい成果につながっている、商談申し込みが毎月500件されている。
これがなければ企業をお客様に紹介できない。機会損失につながっていた。