地域で奮闘する企業を取り上げる「輝く!ニッポンのキラ星」。
今回は大阪市からです。
大手レストランチェーンをはじめ、飲食店が相次いで導入している人気の調理機器。作っていたのは調理機器メーカーではなく思わぬ企業でした。
直本工業株式会社
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東京の大型商業施設の中にある飲食店「築地食堂源ちゃん 有明ガーデン店」。
この焼きとろさば定食はジューシーな脂が人気のメーニューです。
この調理に欠かせないのがこちらのスチームオーブン。
「なぜこの機械を導入?」
築地食堂源ちゃん 有明ガーデン店の鈴木昭彦店長。
ふっくら仕上がるのが一番のメリット。
温度管理がしやすい。
1度単位で温度対応ができる。
聞こえているのはスチームの音。
目には見えない加熱したスチームを食材に吹き付ける仕組みです。
焼き上がりの早さに加え、熱を均一に伝えることが可能で素材のうまみや栄養素をほとんど逃さないといいます。
全国展開するレストランチェーンや食品加工工場など広く採用されています。
この調理機器を作っているのが直本工業という企業です。
国内でも有数の繁華街を持つ大阪市は工業都市としても知られています。
ここにスチームオーブンを作った直本工業がありました。
工場の中に入ると作っていたのはアイロンです。
1948年創業の直本工業。主力事業は調理機器ではなくクリーニング店やアパレル会社などが使う業務用のアイロン。
国内シェアおよそ7割を誇ります。
これは業務用のアイロンに蒸気を供給する電気小型ボイラー。
カギを握るのが独自で開発した小型の電気ボイラー。
強力な蒸気をアイロンへ送り込むことが可能になりました。
創業から順調だったアイロン事業ですが高度経済成長が進むにつれアパレル工場が人件費が安いアジアへ移転し、売上が激減。
アイロン以外の製品開発を迫られるようになりました。
転機を迎えたのは30年前。
直本工業の倉本章取締役。
デパ地下のガスボイラーが使えない所で蒸し器につなぎ蒸気を発生させていた。
アイロン用のボイラーがデパ地下の食品売り場で重宝されていたのです。
それを見た大手ファストフードチェーンが「調理に応用できないか」と提案を持ちかけてきました。
いろいろなテストをした結果、"蒸す""焼く"ができる機械を開発。
これをきっかけに調理機器マーケットに本格参入。
アイロンがけは繊維に必要な温度に調整して当てる。
食材も同じように適した温度帯を設定し、調整することが必要。
衣服を傷つけないよう細やかな温度設定が必要なアイロン作りで培った加熱技術がスチームオーブンを生み出し、和洋問わず多くのレストランで採用されていったのです。
餃子を焼く機械や冷凍麺を解凍する機械などスチームの原理を使った多くの調理機器を生産するようになりました。
そして今、直本工業は新たな製品開発を進め、特に力を入れているのが電気ボイラーです。
蒸気には消臭・殺菌・滅菌効果など温度帯を変えていろいろな対応が可能。
多様化して二酸化炭素の削減につながる電気ボイラーの開発も進めていく。