来年度の税制改正の大枠が12月7日に固まりました。
住宅ローン減税の控除額が縮小されるほか、賃上げを後押しする税制も盛り込まれました。
その一方、今回の税制改正であるお酒に逆風が吹くことになりそうです。

「賃上げ」「住宅ローン」税制改正固まる
佳境を迎えた与党の税制改正議論。
利光泰輔記者。
今週末に決定する来年度の税制改正に向けた議論が大詰めを迎えています。今日は岸田総理肝いりの賃上げ税制に向けた議論が行われます。

12月7日、最終調整が行われたものの一つが賃上げ税制です。

岸田総理が「成長と分配の好循環」の具体策として掲げるもので従業員の給与を引き上げた企業を税制面で優遇します。

例えば大企業の場合、従業員の給与を前年度より4%以上増やした場合、法人税の控除率をこれまでの15%から最大で30%に拡大する方針を固めました。

そしてもう一つ注目が集まったのが…
宮沢洋一税調会長。
住宅ローン控除については大変良い結果になったと言ってもらった。

住宅ローン減税についてはこれまで年末時点のローン残高の1%としていた控除率を0.7%に引き下げる一方、減税期間について新築は13年間に伸ばします。中古は10年を維持します。


控除対象としている年末時点でのローン残高の上限は住宅の省エネ性能などによって差を付け、3,000万円~5,000万円とします。

今回の税調では航空機燃料税の軽減措置の延長などコロナ禍で苦しむ企業向けの優遇措置が決まった一方で、ある地域特有の税制優遇の廃止が決まりました。

沖縄 酒の優遇税制!50年ぶりに改正へ
冬を迎えた沖縄県。

税制優遇の廃止が決まったのが沖縄県産の酒類です。一体どういうことなのでしょうか?

沖縄県内の酒店「酒のスマイル子禄店」を訪れると県内産の泡盛が並びます。

全国向けには1本600円程度で売られるこちらの泡盛ですが…

住田瑠菜記者。
こちらにあるお酒(菊之露)は沖縄でもよく飲まれているというお酒ですが、こちらでは1本401円で販売しています。

昭和47年5月15日午前0時。

沖縄は本日、祖国に復帰いたしました。

1972年、本土に比べて所得が低かった沖縄の経済支援のため始まったのが県内で作られ、県内向けに販売される酒の税制優遇でした。

例えば泡盛の場合、720mlのビンで本土では216円から酒税が沖縄県では140.4円に。

ビール缶は70円の酒税が56円に軽減されています。

来年、本土復帰50年を迎える沖縄。

自民党の税制調査会はこの節目に合わせ来年度からこの優遇措置を段階的に撤廃することを決めたのです。

飲食店は…
古酒BAR&琉球DINING「カラオケとちぶぐゎ~」の長嶺陽子店主。
お酒の仕入れ値が上がるというのは経営にとって厳しい部分がある。

泡盛 税制改正で逆風!県外・海外市場開拓なるか
こちらは県内有数の酒蔵「瑞泉酒造」。

これが発酵3日目のもろみ。

酒税の軽減が撤廃されることをどう受け止めているのでしょうか?
瑞泉酒造の佐久本学社長。
県内消費となると需要は落ちていくと思う。なかなか厳しい部分がある。

もともと若者や女性を中心に消費が減りつつあった泡盛。出荷量のおよそ8割は県内向けでした。

東北仙台市内を歩く具志堅英雄さん。瑞泉酒造で営業を担当しています。

今日商談していた相手は大手酒販売店。

売り込んでいたのは一回り小さなサイズの泡盛です。

現状の一升瓶でもいいがトライアルとして小さいサイズを来年の春に発売しようと。

来年は沖縄が復帰50年。県外の展開を強化したい。

税制優遇が終わるのを前に瑞泉酒造はいま県外市場の開拓をすることで活路を見出そうとしています。

また若い女性や海外市場を開拓するためフルーツなどを加えた新たな泡盛商品を開発。

ほろ苦さはあるが柑橘系の風味がするので泡盛を飲んでいるという感覚はかなり薄い。

沖縄県の酒造組合も8月から酒蔵向けに勉強会を開き、県外販売の強化を支援しています。

沖縄県酒造協同組合の新垣真一専務理事。
「酒税の軽減に頼る体質はいかがなものか」。

「卒業を考えた方がいいのでは」という意見は内外からたくさん出てきていた。

50年も経ってなんだか、まだまだ道半ばという気持ちが強い。
