来年度の予算案が最終調整を迎えていますが、大きく予算が増えそうなのがEV(電気自動車)を購入する時の補助金など次世代の自動車に関連したものです。政府が2035年までに新車の販売比率を電動車100%にする目標を掲げる中、日本でいま変革を迫られているのが自動車部品のメーカーです。これまで作り続けたエンジン部品からシフトできるのか、生き残りをかけた挑戦を取材しました。
EV1台"まるごと"分解
電動化に備える部品メーカー
栃木県にある帝京大学の自動車関連の研究棟「帝京大学 宇都宮キャンパス 自動車技術センター」。
なかを覗くとほとんどの部品が取り外された車が置かれていました。
ホンダの電気自動車「Honda e」から取り外したモーターやバッテリーが並びます。
そこにやって来た人たち。部品を手に取ってみたり、写真を撮ったり、皆興味津々です。
装備品メーカー

実際にここまで分解されたものを見たことはなかった。
表面処理メーカー

電気自動車になると、どういう部品構造になり、何が残り、何が仕事になるか。
だいぶ無くなるというイメージ。新しい仕事を探さないと。
実はこの人たち、栃木県内に本社や事業所がある42の自動車部品メーカーの関係者。電気自動車の普及を見据え、1台丸ごと分解して特徴を掴む、県が主催したセミナーでした。
部品を細かくチェックしている湯原さんもその一人。
湯原さんが経営するのはエンジン部品の工場「湯原製作所」。
湯原製作所
湯原正籍社長

内燃関係のエンジンに使われる部品の製造工程。
湯原さんの工場ではエンジンの冷却や潤滑に欠かせない水やオイルが流れるパイプ部品を製造。エンジンが無くなると影響は大きいといいます。
湯原製作所
湯原正籍社長

大きく急激に変化していくのはやはり怖い。
大きく変化すると設備も社員の雇用も影響が出ないかと言われればなんとも言えない。
不満を抱えながらも電動化に対応するためにセミナーに参加した湯原さん。
湯原製作所
湯原正籍社長

2ヵ所ついている。
作ろうと思えば作れる。
電気自動車でも自分たちの技術が生かせる部品があることが分かりました。ただ、喜んでばかりはいられないといいます。
湯原製作所
湯原正籍社長

やれるものはある。後は価格勝負。
同業他社も同じ事を考えている。熾烈な争いになる。
主催した県の担当者も…
栃木県
岩田知也工業振興課長

自動車産業は県の経済を支える基幹産業の1つ。
電動化の対応は県内企業が取り組まなければならない一番大きな課題。
中小零細企業でも電動化に対応できるように県としても支援していきたい。