脱炭素への流れが加速する中、日本でもEV(電気自動車)の普及が進んでいます。
政府はEVの充電インフラの拡充のために今年度の補正予算で65億円を計上しています。
一方、アメリカではインフラ投資法でおよそ8,500億円を投資する計画があり日米の差は歴然です。
そうした中でもEV購入に踏み切った国内のユーザーはどのように感じているのでしょうか。追跡取材しました。
追跡!不便?お得?EVユーザーの本音
埼玉県所沢市。
こちらは今年3月にテスラのモデル3を購入した神英里奈さん。
週末に都内や旅行に行くときに車を使用している。
価格はおよそ540万円でしたが、国と所沢市の補助金制度を利用し実質価格は450万円ほど。5年ローンを組んで購入し、9ヵ月経った今でも満足しているといいます。
音が静かなので長距離運転しても全然疲れない。
最近、テスラの購入者には神さん夫妻のような若い人が増えているそうです。
テスラを置いているのは自宅アパートの駐車場で充電設備はありません。このため週に1度は利用するのが充電スタンドです。
満充電で1,500円くらい、かなり安いかなと。
神さんが利用しているのは自宅から30kmほど離れた所にあるテスラ車専用の充電スタンド。
抜いてボタンを押すと充電ポートが開く。
高出力の充電器のためわずか15分で250km分の充電が可能で、価格も400円ほどで収まってしまいます。
ほかにも自宅から近いショッピングモール「ららぽーと富士見」には無料の充電スタンドがあり、こちらを利用することも多いといいます。
自治体などが整備を進めるこうした無料の充電スタンドは1都3県だけでも160ヵ所に上り、EVユーザーに人気です。
空いているか空いていないかは運。
空いていないときは全然空いていない。全て埋まっている状態。
ただテスラの場合、テスラオーナーだけが使える独自の充電スタンドの設置を拡大する計画です。
ガソリン車と比べると維持費もかからない。とても経済的。
ちなみに日本で最も売れているEV、日産リーフの場合でもフル充電の費用は1,000円程度。一方、ガソリン車で458kmを走るにはガソリン代は5,000円以上かかるため費用は5分の1ほどで済む計算です。
ガソリン価格が高止まりする中、ドライバーたちはEVについてどう考えているのでしょうか?
日産リーフに乗るオーナーは…
30代の男性。
走りがいい。エコで優越感がある。
こちらのテスラのオーナーは…
30代の男性。
環境面であったり最先端を感じたい。
一方で多くのドライバーは今はEV購入には踏み切れないと話します。
50代の男性。
何度かモニターで乗ったことがあるが、インフラ整備の遅さを実感する。
30代の男性。
買い物くらいならいいが、長距離はまだ向いていない。
今年6月には横浜市の県道脇に全国初のEV用の急送充電器が設置されました。
長距離走行する際などに便利な取り組みですが、現在の所はあくまで実証実験のため今後増えるかどうかは不透明。日本の公共EVインフラ整備の遅れは否めません。
そうした中、マンションなどに設置できる充電設備が注目を集めています。
都内のマンションの来客用の駐車場に設置されていたのは…
ユアスタンドのデニス・チアさん。
こちらがマンション用のEV充電器。
この会社が主に提供しているのが6キロワットの普通充電器。急速充電器に比べると充電時間は10倍ほどかかりますが、国の補助金などを利用すればおよそ30万円で設置できるのが売りです。
利用者はマンションの住民限定。スマートフォンのアプリで予約や決済をする仕組みです。
充電時間はかかりますが夜寝ている間に満充電にできるのが便利だといいます。
マンションの住民。
外で充電するのは大変。取り合いになる。
いつでも充電できるのがいい。
首都圏でも充電設備が整ったマンションはまだ1%以下。今後はいかに高性能で安い機器を集合住宅に設置できるかがEV普及のカギだといいます。
競合他社が増えている中で、限られた電気容量を効率よく回す仕組みをさらに開発して差別化していきたい。