出前市場が年々拡大する中、牛丼チェーン大手の吉野家が6月1日から初めての出前サービスを始めました。
どの業界も人手不足の今、配達員の確保に頭を悩ませていますが、ある意外な方法で課題をクリアしようとしています。
株式会社吉野家
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神奈川県相模原市の「吉野家 相模大野駅前店」。店内には牛丼を頬張るお客様の姿があります。
お客様に提供する丼を厨房で慌ただしく準備するスタッフ。そこに1枚のFAXが届きました。お客様からの注文です。
スタッフが手際良く注文が入った弁当を作っていると、やって来たのは1台のバイク。配達員が商品をピックアップし注文したお客様の自宅まで届けます。
吉野家はこうしたデリバリーサービスを6月1日から一部の店舗で開始しました。
このエリアで配達業務を担っているのが、
新聞の販売店で販売員をしている。知らないところでの配達ではない。すぐに届け先が分かる。土地勘があるので強みに。
ASA相模原みなみ
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吉野家の弁当を一般客まで届けるのは相模原市の新聞販売店「ASA相模原みなみ」。
朝と夕、約6,500世帯に新聞を配達しています。インターネットの普及などで新聞を取る世帯は減少、新聞全体の発行部数は2000年に比べて今は1,000万部減少しています。
そんな中始めたのが外食チェーンの出前サービス。配達員の空いた時間を活用します。
ASAイワサキの岩﨑公則社長は、
毎日大変だが二足のわらじでできるかというと、すごく面白みがある。チャレンジするというのも面白い。
夢の街創造委員会株式会社
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新聞販売店と吉野家をつなげたのは飲食店お出前が注文できるサイト「出前館」を運営する夢の街創造委員会です。
夢の街創造委員会の松本直久さんは、
サイト掲載費はいただくが初期投資は少なくスタートできるビジネスモデル。
このビジネスモデル、どのようになっているのでしょうか?
吉野家は出前館に掲載手数料としてデリバリーの売上の5%を支払います。新聞販売店はお客様から配達料300円に加え、吉野家からもデリバリーの注文に応じて配達委託料を受け取ります。
吉野家ではこの配達委託料を実質、注文客から賄っています。
例えば、牛丼並盛りの場合、店頭での価格は380円ですが、デリバリーでは570円と1.5倍の価格に設定しました。
吉野家の事業統括、川口誠課長は、
オペレーションの中でうちの従業員が出前で出て行くということは確立できなかった。そういったところを他社に協力してもらうかたちでやっている。
今回、タッグを組む朝日新聞の販売店は全国に2,000ヵ所以上。このエリアでのサービスが軌道に乗れば全国の展開も目指すとしています。
「人手不足解消につながる?」
夢の街創造委員会の松本直久さんは、
そうですね、朝日新聞が今あるリソースをうまく使っているので、強みをいかしたかたちで取り組めれば人手不足の解消ができると思う。