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[WBS]企業物価最大の伸び率!原材料高転嫁に苦心の現場[吉村農園]

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およそ40年前、第二次オイルショックの中、灯油を備蓄するためにドラム缶で買っている人の様子です。

当時は原油価格が高騰し企業間で取引される物の価格、企業物価が1年で8%も上昇しました。そして、それを上回る9%の上昇となったのが12月10日に発表された11月の企業物価です。

過去最大の伸び率となった背景には原油や原材料価格の高騰がありますが多くの企業では価格転嫁に苦心しています。その現場を取材しました。

パックも段ボールも価格⇑イチゴ農家の策は…"1粒だけ"

栃木県益子町。

街道沿いの直売所「吉村農園」で売っているのはイチゴです。

栃木県を代表するブランド「とちおとめ」や3年前に生まれた新品種「とちあいか」などが並びます。

吉村農園はイチゴ狩りの観光農園を運営しながら直売、ネット通販、ケーキ店などへの卸販売をしています。

毎日およそ400パックを販売する吉村想一さん。あらゆる物の仕入れ価格が上がっているといいます。

まずパックが上がっている。

それから上にかけるフィルム、こちらも値段が上がっている。

こうした包装用の資材価格は原油高を受けて以前より1~2割上がりました。

さらに…

あとはこの箱、今は75円くらいする。

段ボールも1箱当たり5円値上がりしました。

こうした資材は今後も値上がりが続くと業者から連絡を受けているといいます。

しかし…

「販売価格自体は?」

そこまでは上げられない。これ以上上げるとお客様も買いづらくなってしまう。

簡単には値上げに踏み切れません。そこで取った手が…

こちらが去年使っていたパック。

こちらに持っているのが今年のパック。

比べると高さがちょっと違う。

一見すると違いはわずかですが、実際に去年のパックに入った6粒のイチゴを今年のパックに移し替えると1粒だけ入りません。

1パック当たり1~2粒程度減らすことで実質値上げを行っていました。

1粒変わると、ちりも積もれば山となる。

価格を上げるのは難しいので、そういうところで調整している。

原料高でも値上げは足踏み!クリスマスケーキは?

企業間でやり取りする物の価格を表す企業物価はこの1年で9%上昇しました。

ところが消費者物価は10月時点でわずか0.1%しか上昇していないため企業物価と大きな開きが出ています。企業や生産者がなかなか価格に転嫁できていない現状が浮き彫りになっています。

イチゴをたくさん使うクリスマスケーキについても小麦などの原材料が上昇していますが、大手各社は値上げを見送っています。

洋菓子大手A社。

クリスマス商品は熱に設計して販売価格も決めている。

発表したら変えられない。

洋菓子大手B社。

作る量を絞ってフードロスを減らしたり、事業全体で原材料価格の上昇分を賄っている。

ただ今後は値上げを検討するかもしれない。

企業も頭を悩ます価格転嫁。

ケーキ作りには欠かせない卵を生産する農家「小川フェニックス Sweet Eggs」では…

鳳凰卵というブランド卵の直売店では今月から価格を改定し値上げしました。

ブランド卵エサ代高騰で限界!直売は値上げするも…

小川フェニックスの小川健洋さん。

全体的に5%前後価格を上げた。

パック類や袋を含めて、すべての物が高騰している状況。

10個入りのMサイズが350円から360円に、Lサイズは380円から400円に値上げしました。

こちらでは3年前にエサやりから卵の回収まで全自動でできるシステムを導入し、人件費もかなり抑えることができるようになったといいますが…

一番はエサ。去年と比べて2割ほどエサ代が高騰している。

トウモロコシなど穀物価格の上昇を受け、エサ代が高騰したことに加え燃料価格の上昇もコストを圧迫しています。

ブランド卵のため何とか消費者には理解してもらっていますが値上げできないものもあります。

「業者との取引ではまだ値上げしてない?」

コロナ下で飲食店もすごく大変な状況でなかなか上げづらい状況にある。

「値上げできない!」実態調査!政府"下請けGメン"倍増へ

価格転嫁に悩む事業者が増える中、政府は…

岸田総理。

「下請けGメン」の倍増を図り、取引適正化のための監督を強化する

政府の下請けGメンとは…

その現場を訪ねました。

中小企業庁の事業環境部取引課、遠藤幹夫課長。

下請けGメンの執務室。

日々、中小企業の生の声を丁寧にじっくり伺って取引の実態を把握している。

2017年に中小企業庁に新設された「取引調査員」、通称「下請けGメン」。

下請け企業が親会社の大企業などから不適切な取引を強いられてないか聞き取り調査しています。

最近は原材料などが値上がりする中、値上げ交渉で悩みを抱える下請け企業が増えているといいます。

製造業A社。

親会社に「価格転嫁で値上げしてくれというなら他の業者に発注するぞ」と言われた。

製造業B社。

コスト増の分を考慮して価格交渉しているが、他社との競争が多いため、うまく交渉が進まない。

政府は価格転嫁を進めるため現在およそ120人いる下請けGメンを倍増するとともに調査する企業も年間1万社以上に拡大する方向で調整しています。

親企業の大企業に対しては、取引先に対して積極的な価格転嫁に応じてほしい。

親企業と中小企業には共存共栄の関係をつくってもらう。

長い間のデフレにより値上げを避け続けてきた日本企業。企業物価の急激な伸びを受け価格転嫁が進み、日本経済はインフレ局面へと突入していくのでしょうか。

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