マーケットや経済の旬の話題をお届けする朝活タイム「ふちこの突撃マーケット」。
今回のテーマは「小売り新潮流 店舗小型化の波」です。新型コロナの影響で私たちの生活は大きく変わりました。言うまでもなく買い物の方法も変化して小売り各社は対応に追われています。そうした中、いま一つの潮流となりつつあるのが店舗の小型化です。なぜ小型化が広がっているのか、背景にどういった戦略があるのか取材しました。
変わる小売り!小型店にシフト
食品を中心に商品を展開する大手スーパー「ヨークフーズ」。セブン&アイ・ホールディングス傘下のヨークは去年11月に新たな取り組みをはじめました。
ヨークフーズ早稲田店の売り場面積は653平方メートル、通常の店舗のおよそ3分の1です。コンパクトな店舗の出店を進め、どう効率的に運営すべきなのか検証しています。
ヨーク販売事業部の天勝啓介さん。
早稲田のマーケットは特に東京都内の中でも突出して20代、30代、こういった世代の多さが際立っているので。
そこが今まで攻めあぐねてきた、ほとんど手をつけられていなかった領域。
店舗を中心に半径1キロ圏内の人口はおよそ6万4,000人。男性の単身世帯が多いと考えられていますが、需要をうまく取り込めていなかったと見ています。
そこで強化したのが品揃え。陳列を工夫することで商品を800アイテム増やしました。
また焼きたてのパンやサラダ、弁当などを近郊に開設したサテライトキッチンで調理。商品のラインナップを拡充したところ…
惣菜は午後6時から夜11時の時間帯で売り上げが約2倍伸びている。
20代~40代の男性客は大体2割~3割くらい増えてきていることを実感している。
またセルフレジを導入したほか、サービスカウンターをデジタル化。
ご希望のボタンに触れてください。
バーチャル店員が売り場を案内してくれます。
このほか、ギフトに関して問い合わせてみると「呼び出し中」の画面に。
店員がこちらにやって来ました。
店員の腕にはスマートウォッチ。振動で通知を確認します。
スマートウォッチの活用は業界で初めて。
さらに食品スーパー大手の「オーケー」も小型店舗の出店に着手。大規模な店のイメージが強いですが、人口減少社会の時代に合わせて単身世帯など比較的独自の需要の掘り起こしにも取り組んでいます。
オーケー店舗開発部、西部広美さん。
もともとこの近くに店舗がなかった。
人口密集地であり、高架下という利便性の高い場所であることから出店。
ニーズも多様化しているので小型店舗の出店は必要。
小売りに関する経済産業省の調査によると店舗の数、売り場の面積ともに去年は新型コロナの影響で伸び悩みましたが、ここ数年の傾向として特に売り場の面積が縮小する流れにあることが分かります。
コンパクトな店舗を出店するという戦略について長年小売業界を取材してきた日本経済新聞の田中陽編集委員は…
都心部も「買い物難民」と言われる消費者がたくさんいる。
生活に密着した食料品などを買い物する場所があまり多くない。
そこに商機を見つけてスーパーが出店するということ。
店舗の小型化を考えているのはスーパーだけではありません。無印良品を展開する良品計画は1月、東京・東池袋に小型店舗「MUJIcom」をオープンしました。
ここはオフィスと住宅が混在した地域とあって無印良品初の中食サービス「MUJI Kitchen」をスタート。ほかのMUJIcomとは違い、店の中で惣菜を調理。ワンコインの弁当などを提供しています。
この店のキーワードは地域とのつながりです。
商品の販売だけでなく、池袋周辺の食を紹介するマップを貼り出すなどローカル第一主義を全面に押し出しています。
「地域密着型というコンセプトに関しては具体的にどういった取り組みをしているのか?」
良品計画 販売部の井上珠美さん。
「感じ良い暮らしと社会」を実現するために地域の課題解決や地域のコミュニティセンターとしての役割を担うということを掲げて活動をしている。
それぞれの地域を知っていきながらニーズにあった店舗を展開していきたい。
地域特有のニーズに対し、コンパクトな店舗で応えていこうとする良品計画。こうした消費者囲い込みの競争は今後ますます激しくなりそうです。
確実に激化していくと思う。
段々と商圏が小さくなっていく。
限られたお客さんでの勝負。
いちげんではなくて2日に1回、3日に1回、きちんとお客さんに来てもらうような魅力的な店作りをしなければいけない。