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[WBS]長期化する電力ひっ迫!既存ダムで水力発電増強!?

ワールドビジネスサテライト(WBS)

電力のひっ迫はこの夏だけではなく冬も深刻になると予想されています。こうした中、既存のダムを活用して水力発電を増強しようというプロジェクトが始まっています。その最前線を取材しました。

電力ひっ迫で注目 水力発電!

新運用 発電しながら放流!?

岐阜県の揖斐川にある横山ダム。今年、大きな転換点を迎えようとしています。立ち入り禁止エリアの先にあったのは…

番組スタッフ

大きな鉄管。

実はこれ…

横山ダム
川尻耕成支所長

ダムの水を発電所へ送るための送水管。
今までゲートから直接水を川に流していたが送水管を通って発電してから川へ戻すことで増電が見込める。

横山ダム建設記録映像

この揖斐川は昔から雨、風と事あるごとにその流域に大きな水害を与えてきた。

1964年に完成した横山ダム。主な役割は発電よりも流域の人々を洪水から守る治水でした。ところが今年からは治水の役割を担いつつ発電の能力をさらに強化することになったのです。

そこで見直したのが夏場の貯水量です。

横山ダム
川尻耕成支所長

187.0と書かれた看板。あれが夏場の制限水位。

これまでは雨が降り、制限水位を上回ると速やかに放流。次の雨に備えて貯水スペースを確保していました。

このルールを見直し、しばらく雨が降らない場合などは制限水位を上回る水を送水管に流し、発電しながら水位を下げることにしたのです。

国土交通省はこうした発電量を増やす取り組みを全国27ヵ所のダムで進めています。

番組スタッフ

条件さえ整えば夏の電力供給にも貢献できるか?

横山ダム
川尻耕成支所長

その条件は整った。
防災が第一。安全を確保した上で有効な発電利用ができないか模索していく。

ダムかさ上げで発電20%アップ

一方、既存のダムを拡張して発電能力を強化する動きも。

岐阜県の木曽川にある丸山ダム。こちらも止水と発電、両方の機能を備えたダムです。66年、現役で活躍していますが…

新丸山ダム工事事務所
吉川敦師さん

丸山ダム下流に新しく新丸山ダムを造り、能力をアップしていく。

今あるダムに重なるように新たなダムを作り、およそ20メートルかさ上げする工事が進行中。完成すれば貯水量は3.6倍に増加。発電量も20%増える見込みです。

関西電力が運営するダム隣接の発電所でも着々と準備が進められています。

関西電力 東海支社
青柳俊幸さん

ダムからの水が流れる水圧鉄管などの補強や水車や発電機の取り換えを行った。

国土の狭い日本で新たにダムを建設できる場所は限られる中、既存のダムの再開発工事は全国4ヵ所で進行中だといいます。

関西電力 東海支社
青柳俊幸さん

今あるダムをかさ上げして能力アップするのは今後も日本全国で展開されていく。
発電事業者と協力してできるだけ発電していくのは大事なこと。

農業用水で発電!行き先は…

水力発電の可能性はほかにも。コシヒカリの産地として知られる新潟県津南町です。

そこにあったのは…

津南町 農林振興課
髙橋尚人さん

小水力発電書の小屋。

中に入るとなにやら機械のようなものが。

津南町 農林振興課
髙橋尚人さん

ここから水が来て、その流れでタービンを回す。
最後に発電機で発電をしている。

農業用水を近くの川から引いているこの地域。そこで取水口から貯水池までの高低差を活用し、途中に発電機を設置。小型の水力発電を行っているのです。

発電量はおよそ50世帯をまかなえる量ですが、年間900万円ほどの売り上げになるといいます。

驚くのはその電気の買い手です。

津南町 農林振興課
髙橋尚人さん

世田谷区の事業所に電気を供給している。

実は津南町、去年、東京・世田谷区と協定を締結。世田谷区の電気事業者を通じて電気を販売しているのです。

実際に世田谷区でその電気を使っているという人を訪ねました。

緑化園
須藤和幸さん

ここが事務所。

エアコンやパソコンなどに使う電気のすべてを津南町から買った電気でまかなっています。

緑化園
須藤和幸さん

造園業の仕事柄、自然を大切に思っていて最近の異常気象をなんとかしなければと。
微力だが少しでも貢献できたら。

世田谷区は津南町のほかにも6つの地方自治体から再生可能エネルギーの供給を受けています。

世田谷区 環境政策部
山本久美子さん

世田谷区内でエネルギーを創出することは難しい。
世田谷区と連携して自然エネルギーを創出する自治体を増やすのは環境問題に対し非常に有効。

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