巣ごもり消費も後押ししたようです。
昨年度、ふるさと納税を活用し、寄付された金額は前の年度と比べおよそ1.4倍となり過去最高となりました。

ふるさと納税といえば300億円還元やAmazonギフト券を用いた返礼品などで寄付を募っていた大阪の泉佐野市が有名です。
その手法をめぐり国と対立してきた泉佐野市が9月9日、企業とタッグを組んだ新たなふるさと納税のプロジェクトを発表しました。

株式会社ヤッホーブルーイング
[blogcard url="https://yohobrewing.com/"]
泉佐野市の千代松大耕市長。
ふるさと納税の新しい返礼品を作り出すだけでなく、雇用や税収増にもつながる取り組み。

泉佐野市が手を組んだのはヤッホーブルーイング。

よなよなエールなど人気のクラフトビールを多く展開する長野県のメーカーです。
泉佐野市はヤッホーを誘致し、そこで作られた商品を返礼品とする考えです。

ヤッホーブルーイングが来るのはこの地域にとっても大きなインパクト。

ヤッホーブルーイングの井手直行社長。
この枠組みを使ってわれわれのブルワリーをつくる資金にあててくれる。

本当にありがたい。

泉佐野市といえばふるさと納税をめぐってこれまで物議を醸してきました。

目立った産業や観光資源が少ないことからアマゾンのギフト券を返礼品にすることや寄付した額の6割を返礼品とするキャンペーンなどで話題に。

18年度には500億円近くを集めるなど全奥で最も寄付額が多い自治体として注目されました。

しかし…
石田総務大臣(当時)。
泉佐野市が新たにキャンペーンでプレゼントするギフト券は地場産品でも返礼割合3割以下でもなく地域活性化にもつながらない。

なりふり構わない取り組みが国から問題視され、ふるさと納税の制度自体から除外されることに。

それを不服として国と裁判で争い勝利し、去年晴れて制度に復帰したのです。

人気のある返礼品が豊富な自治体とそうでない泉佐野市みたいな自治体がある。

ふるさと納税を活用してクラウドファンディングで資金を募って新しい特産品を作り出していこうと。

人気の高い返礼品が少ない泉佐野市が企業とタッグを組み、スタートさせたふるさと納税型クラウドファンディング。
その仕組みは市は事業者とプロジェクトを立ち上げ、ふるさと納税の名目で寄付金を集めます。集まった寄付金のうち4割を事業者に補助金として交付し、事業者は市内で事業を始めます。ヤッホーの場合は醸造所を設け、ビールを製造する予定です。さらに生産した地場製品を返礼品として寄付した人に送ります。

ヤッホーの計画では醸造所だけでなく飲食や商品の販売スペースといった複合施設を構想していて、市は観光客の増加も見込んでいます。

目標としてはアフターコロナでインバウンドがかえってきた時の1つの観光コンテンツとしての大きな役割を担ってもらいたい。

ふるさと納税によって企業を支援し、新たな地場産品を生み出す泉佐野市の取り組み。
実はヤッホーに先立ち、すでに始まっています。
牛タンの加工食品を手掛ける菜's(さいず)。

さいずの営業企画室、丹後善博室長。
きょうの生産予定は和牛ステーキの缶詰を作る。

今回のクラウドファンディングを機会に生産を開始。

去年、泉佐野市はこの企業にふるさと納税型クラウドファンディングで集めた寄付金の一部を交付しました。

資金はこの建物の内装に使った。極端に言えばこの中の全体の内装。

交付額は160万円。新たな工場の内装費にあて、ここを拠点に泉佐野の名前にちなんだ「さの缶」という缶詰商品を誕生させたのです。

さの缶は牛タンデミソース煮込みなど8品あり、この1年で人気の返礼品となりました。今後20品に増やす予定です。

リスクを軽減しながら新しい取り組みができる。非常に大きなメリット。

泉佐野市はこの仕組みを活用することで返礼品の人気による自治体間の格差は埋められるといいます。
企業誘致という一面もある。

今まで泉佐野市にあった企業が新しく事業を拡大させる波及効果もある。

全国の自治体にも泉佐野市としては発信しているので特産品の少ない自治体がどんどん制度を取り入れてもらうことで新しい特産品づくりという点では格差を埋めていく制度になっていくのでは。
