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[WBS] 【ロングセラー研究所】生八ッ橋「夕子」

2016年8月17日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

株式会社井筒八ッ橋本舗

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夏真っ盛りの京都。

浴衣姿での観光が人気です。

一方、お土産では

生八ツ橋は買う。

生八ツ橋の方がおいしい。

八つ橋が誕生して300年以上、根強い人気を誇るなか、現在は生八ツ橋も主流になっています。

その人気の秘密を研究します。

生八ツ橋

京都の中心部を流れる鴨川沿いにあるのが「井筒八ッ橋本舗祇園本店」。

創業1805年、八ツ橋の老舗を訪ねました。

案内して頂くのは7代目にあたる津田純一会長。

一番の人気は餡入り生八ツ橋の「夕子」シリーズです。

全売上の約7割を占めるといいます。

「八つ橋は柔らかくておいしい」と言われた時に、「堅焼きせんべい」と言うと驚かれる。八つ橋の店としてショック。

八ツ橋の歴史

元祖の「八つ橋」は堅焼きのせんべいです。

江戸時代に琴の名手「八橋検校」を偲び、琴の形に仕立てたものが始まりです。

祇園で人気となり井筒八ッ橋本舗も売り出しました。

変化が起きたのは終戦直後です。

歌舞伎にちなんだお菓子をつくろうと南座の関係者や役者と相談し、「夕霧」という菓子を作った。

戦後、再開した歌舞伎を盛り上げようと五代目が挑戦に出ます。

それが業界の先駆けとなるあんこを生八ツ橋で包んだあん入り生八ツ橋「夕霧」でした。

歌舞伎の演目「廓文章」の主人公「夕霧太夫」にちなんだ名前です。

形は恋人の編み笠を型どりました。

戦時中は菓子の製造を止められていた。商売を復活するだけでも大変だった。復興途上で甘いものをお客様に提供したいという思いもあったのでは。

分析1・斬新な発想で伝統を変えた

生八ッ橋「夕子」

1966年、ライバル企業が三角の形をした手頃な価格の「あん入り生八ツ橋」を発売。

これが大ヒット。新幹線開業や大阪万博の開催に後押しをされ土産物として全国に広まりました。

対抗した株式会社井筒八ッ橋本舗が発売したのは今の「夕子」です。

最初は名前がなじまなくて「夕子」を「タコ」くださいと。

「夕子」の由来は映画化もされた水上勉の恋物語「五番町夕霧桜」のヒロイン、「片桐夕子」から命名されました。

そのキャラクターを売りにした商品や広告展開などでブレイクを果たしました。

分析2・菓子は味だけでなくストーリー性で売る

追分工場

「夕子」が生まれるのが滋賀県大津市の追分工場。

ラインを流れる生地にあんこが置かれ、機械が生地の端をつまんで畳む。

多い日には20万個を生産します。

最も重要なのが生地作りです。

米粉を蒸し、砂糖、粉ニッキを加えます。

谷之宏工場長によると

「羽根」が特殊な形状をしていて、生地を均一に混ぜて食感をより良くする。

羽根の形は企業秘密。

完成した生地はツルッと滑らかです。

技術力を生かし、生地やあんこの異なる「夕子」も開発してきました。

夏向けには冷やしても固くならない生地で、さっぱり味のあんを使用します。

京都の菓子は季節感があるのが当たり前。流行を追うだけでもだめだし、古いものを守るだけでもだめ。時代で必要な店として生きるすべを模索することが一番大事。

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