シリーズでお伝えしている「ケーザイのナゼ?」です。
いま羊肉を扱う飲食店が増えています。4年前と比べると5.4倍にもなっています。
一体ナゼなのか直撃リサーチしてきました。
羊肉人気が沸騰!?そのワケは
東京・恵比寿の駅前にオープンした「ラム ユー」。
お客様がおいしそうに食べているのは羊肉です。
看板メニューはラー油が香るピリ辛ロース「薬膳辛口ベースと食べるラー油」や軽く炙り甘辛いタレと絡めたユッケ「あぶりとろラムユッケ」など。
一般的なラム肉は臭みがある印象ですが…
臭みが全くなくて、ネギで食べると本当においしい。
本当においしい。
ラム肉が苦手だったが、ここで食べたラム肉は臭みもなくて食べやすくておいしい。
羊肉なのに臭みがない?一体ナゼなのでしょうか。
切った肉をタレに漬けて3時間で出している。
1日たってしまうと、肉は切った瞬間から酸化が進むので独特の香りが出てしまいお客様には出せない。
切って1日以内に提供しているため鮮度が良いのだといいます。
それにしてもナゼいま羊肉が人気なのでしょうか?
ラム ユーを経営する江田良一社長。
コロナ禍で健康に意識がいった。
高タンパク質で高カロリーというのがとても魅力的。
ジム通いの人とかダイエットをしている人にとても注目されている。
でも、こうした羊肉人気は一時のブームで終わってしまうのでは…
羊肉業界に詳しい羊齧協会、菊池一弘代表。
羊肉は今まで個人店やマニアックな店が主に扱う肉だったが大手飲食グループも使うようになっているので、ブームというよりは徐々に固定化に向かっている。
羊肉人気の理由はほかにも。
イオントップバリュの杉本浩也さん。
9月下旬からエリア限定で販売しているオーガニックラム肉。
イオンは自然の牧草だけで育てたオーストラリア産のオーガニックラムをプライベートブランドとして販売。
定番のラムチョップだけではなく、脂肪が少ないもも肉やかた肉の切り落としなども。
その価格は和牛のおよそ半額。
ヘルシーな上、割安とあって羊肉の売り上げは6年前からおよそ1.2倍に増えているそうです。
薄切り肉のラムでしゃぶしゃぶは非常においしい。
家で料理をする時間や頻度が増えている。
ラム肉の料理にチャレンジしたいというお客様も増えてきている。
ただパッケージを見ても外国産ばかり。ナゼ国産の羊肉は少ないのでしょうか?
その理由を探りに宮城の畜産農家を訪ねました。
南三陸町で羊を飼育している「さとういみファーム」の金籐克也さん。
一時200頭は超えていたけれど今は出荷して160頭に減っている。
国産の羊がほとんど流通していない理由を聞いてみると…
羊は関税ゼロ。その分安く海外から入ってくる。
飲食店だと3~4割くらい国産の方が高い。
なんと日本国内で食べられている羊肉のおよそ99%は価格の安い外国産。
国内では2万頭ほどしか飼育されておらず大規模化には時間がかかるといいます。
そこで金藤さん、ある珍しい手法で羊のブランド化を進めています。
羊が食べているのは南三陸産の養殖ワカメ。商品にならない茎の部分を譲り受け、羊の餌として活用したのです。
すると…
うま味成分のイノシン酸がワカメを食べさせている方と食べさせていない方を分析したら、食べた方が6倍ぐらいイノシン酸が増えている。
ワカメのおかげで肉のうま味成分が増し、臭みも低減されることが分かりました。
そこで金藤さん、「わかめ羊」としてブランド化。震災からの復興に一役買えればと考えています。
この地域を元気にしたいというのが一番の目的なので、子どもが来て、触れ合って、人と人をつないでくれる畜種。
牛肉などの価格高騰が続く中、羊肉の人気がさらに広がるかもしれません。