ビジネス関連 ワールドビジネスサテライト

[WBS]中国政府が猛烈アピール!少数民族ヤオ族が貧困脱却?

2021年10月26日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

習近平国家主席がいま大きく掲げているのが「共同富裕」、共に豊かになるというスローガンです。

去年、中国政府は長年の課題とされてきた農村部の貧困問題を解決したと宣言し、今年に入り共に豊かになるための新たな制作を打ち出しています。

脱貧困を遂げたとされる南部の国境地帯を取材しました。

中国南部、雲南省。

標高1,000メートルを超える山岳地帯の先に見えてきたのは…

鮮やかな民族衣装で踊るヤオ族の農民たちです。

ここはベトナムとの国境地帯「雲南省・麻栗坡県」。

彼らのような少数民族が人口の半数近くを占める中国で最も貧しい地域の一つです。

取材班が訪れたこの日、村ではあるイベントが開かれていました。

政府担当者。

中国外務省から皆さんに本と文房具が寄付されます。

政府から貧しい少数民族たちへのプレゼント。定期的に行われている催しだといいます。

さらに…

交通の便がとても悪く、村の経済発展は進まなかった。

今は村全体が安定して脱貧困を果たした。

こちらはこの村の村長、中国政府による支援を繰り返しアピールします。

実はこれは政府が主催する貧困脱却村メディアツアーです。

こちらの村、以前は山道が舗装されておらず、車が通れませんでしたが政府の資金援助で整備。

農作物を他の村へ運び、販売できるようになったことで収入が増え、去年貧困状態から脱却したといいます。

村人は…

政府のおかげで村に電気と水が来た。道路も整備されて便利になった。

その後、訪れた村では中国共産党の幹部らが貧困脱却の成果を次々にアピールしていました。

習近平国家主席。

中華の大地に全面的な小康社会を建設し、歴史的な貧困問題を解決した。

貧困問題解決をアピールする中国政府がいま強調しているのが共同富裕。すべての人が共に豊かになるというスローガンです。

格差是正の名のもとに統制を強め、所得の高い人や企業に寄付などを促しています。

ターゲットとなったのが潤沢な資金を持つ巨大IT企業です。

テンセントは政府の方針に従い、農村の支援などに日本円でおよそ1兆8,000億円を投じると発表しています。

こちらは中国の都市と農村の収入の推移を表したグラフです。その差は年々拡大しています。

政府はこういった格差を解消しようと農村部への支援を促しているのです。

われわれは農村の暮らしの実態を知ろうと独自に取材を続けました。

別の村では…

そこに座って。

生活は貧しくはないが豊かではない。

今年は農作物の相場も悪いし、生活が難しいかもしれない。

こちらの家族、トウモロコシやカボチャの栽培で生計を立てています。

長男は中学校に通いながら毎日家を手伝っています。

屋根裏には乾燥させたトウモロコシの茎が大量に置かれていました。

火を起こすための燃料に利用しているということです。

経済的に余裕はないと話します。

国の支援もあり村の道路は比較的良くなったが、今年は野菜の売れ行きが悪く、豚ももうからなかった。

ちょっと厳しい。

道路も整備され、村は確かに便利になりました。

しかし、秦さん6人家族の世帯年収は日本円でおよそ30万円。

稼ぎが伸び悩む理由は畑の規模が小さく、収入が不安定な上、都市部から遠く離れた農村では作物の流通も限られるためです。

どんな仕事をしていても生活が良くなればいい。

共同富裕、共に豊かになるという理念を掲げる中国。

その実態について専門家は…

中国の政治に詳しい東京大学の川島真教授。

たとえ道路が通ろうが何を植えようともなかなか豊かになれないこともある。

格差は人々の不満・不安に直結する。

それを抑えることは中国共産党政権が存続していく上で決定的に重要。

貧困撲滅というと聞こえは良いが、そこで行われていることと現地の人々が望んでいる方法が合っているかどうか。

そこに注意して中身を見る必要がある。

-ビジネス関連, ワールドビジネスサテライト
-