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[WBS] 【ロングセラー研究所】アラビックヤマト

2017年5月12日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

オフィスの定番商品。開発のきっかけは働く女性たちでした。

アラビックヤマト

日本人が女性初のエベレスト登頂を達成した1975年。ファッション誌「JJ」が創刊。

街では若い女性たちが流行のブーツを履き、社会進出とともにおしゃれにもこだわり始めたこの年、あるロングセラーが誕生しました。

私の回りでは定番。

事務には最高。

それはオフィスの必需品、液状のり「アラビックヤマト」。

誕生から42年、累計8億本を売り上げたロングセラーの極意とは?

ヤマト株式会社

[blogcard url="https://www.yamato.co.jp/"]

アラビックヤマトを販売するのが1899年創業の糊の老舗メーカー「ヤマト」。

看板商品のひとつがお馴染みのでんぷんのりです。

長年、でんぷんのりのトップシェアを誇っていたヤマトにある転機が訪れます。

秋吉珠元取締役は、

液状のりが当時としては主流になっていくだろうと。働く女性の間でマニキュアが普及してきた。できるだけ手は汚したくない。

1970年代当時、社会進出した女性たちの多くは企業の事務作業に就きました。でんぷんのりは均一に塗れず手が汚れる。せっかくおしゃれをした手も台無しです。

「手が汚れないのりが欲しい」、そんなニーズが出てきました。

液体のり

目を付けたのが当時、欧米で主流となりつつあった天然のアラビアゴムが原料の液状のり。塗り口には手を汚さずに塗れる海綿がついていましたが、すぐにのりで固まってしまう欠点がありました。

海綿に代わる新たな「塗り口」を開発するため、布やスポンジなどの素材で試行錯誤が始まりました。

しかし、どんな素材を使っても塗り口が壊れて、のりが溢れ出てしまいます。

のりを塗るときは皆、癖のある使い方をする。ちょっと斜めに使ったり、真っすぐでも押し方が人によって違う。

開発は難航を極めました。

「2年もかかって何やってるんだ。ザルで水をすくうようなものだ」

その時、

「ザル!それ使えるんじゃないか!」

当時、大量生産をしていたプラスチック製のザル。プラスチックが持つ反発力とアーチ型の構造で、どこから力を加えてもすぐに形が復元します。

開発から3年。ザルからヒントを得たプラスチック製のキャップが出来上がりました。力を加えても元の形に。

そこにスポンジを被せるだけで、どこから見ても壊れない「塗り口」が誕生しました。

1975年、「アラビックヤマト」発売。

アラビックの名前を使いましたが、材料には当時の日本でも入手しやすかった合成樹脂を使用、大量生産が可能になり、いまでは年間2,200万本を出荷するオフィスには欠かせない文具となりました。

その後、より塗りやすいL字タイプのものや、詰め替え用のジャンボボトルも発売されました。

アラビック色消えタイプ」は蛍光色ののりが塗り残しを防ぎ、乾けば透明になります。時代に合わせ高齢者のニーズを取り込んだといいます。

進化を続けるアラビックヤマト。ロングセラーの極意とは?

ロングセラーの極意

常にユーザー目線で改良し、時代に合わせ幅広いお客様に使ってもらう。

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