地域で奮闘する企業を取り上げる「輝く!ニッポンのキラ星」。
今回は広島県三原市からです。西日本最大手の豆腐メーカーを取材しました。
圧倒的な生産力でシェア2位!広島・三原市 豆腐メーカー
広島県にある地域密着型のチェーンストア「フジグラン三原」。
豆腐売り場をよく見ると多くの商品に「やまみ」という文字が目立ちます。
フジグラン三原 食品課長
中田修司さん
豆腐と揚げで約60種類扱っている。
そのうちの「やまみ」は約20種類。
原材料が高騰のなか品質を高く保ち手頃な価格がお客様に指示を得ている。
実はこのやまみの豆腐、西日本では最大手、全国でも2位のシェアを誇ります。
広島県三原市、山陽新幹線の駅や広島空港がある交通の要のこの都市に豆腐メーカー「やまみ」の本社があります。
創業は1975年、授業員は479人。
売上はおよそ136億円、純利益は5億円を超えます。
やまみの強み、それは圧倒的な生産力。
こちらは2019年に稼働した富士山麓工場。設備投資額はおよそ60億円、関東進出のためにつくった巨大工場です。
やまみ 製造本部長
土橋 一仁さん
豆腐を製造している凝固成形装置。
約50mの装置。
機械に投入とにがりを混ぜ合わせて流し込み、75度に加熱された50mに及ぶトンネルの中をベルトコンベアで30分かけて進んでいくと豆腐が完成します。
やまみ
山名徹社長
富士山麓工場の最新ラインは1時間に1万3,500パック作る。
他社の一般的なもので1時間に4,000~5,000パック。
高いところで7,000パックだと思う。
他社の2~3倍の能力で生産している。
大量生産をすることで加工費を安くする。
その分、良い大豆を買っておいしい豆腐を作るのが「やまみ」。
安価な豆腐に使われる大豆は一般的にタンパク質が37%程度ですが、やまみでは良質な大豆にこだわり42%以上を基準としています。
また、やまみの豆腐は賞味期限が長いのも特徴。
やまみ 製造本部長
土橋 一仁さん
加熱と冷却を連続的に行うことで賞味期限が最大15日延びた。
これくらいの能力の機械を導入したのはおそらく「やまみ」が初めて。
85度で1時間加熱したあと、10度以下で1時間冷却することで豆腐を殺菌。
20年ほど前は賞味期限が3日程度だったものに対し、今ではおよそ2週間に。
フジグラン三原 食品課長
中田修司さん
最近は食品ロスもあるので賞味期限が長いというのは販売する側もお客様にとっても良い。
やまみは1965年に青果卸会社の小会社として発足しました。
やまみ
山名徹社長
トラックで冷蔵のものを運ぶときに豆腐を一緒に運んだのがきっかけ。
1993年に現会長(山名清会長)が「自分でものづくりをしたい」。
豆腐の事業を始めた。
そして2016年にJASDAQ上場。
3年後には東証一部に上場を果たしました。
顧客のニーズを捉えた商品開発
現在、やまみで扱う豆腐はおよそ140種類。顧客のニーズを捉えた商品で独自の豆腐を次々と作り出しています。
やまみ
山名徹社長
「なめらか豆腐75分割」、惣菜工場で麻婆豆腐用の豆腐で使われている。
麻婆豆腐に特化した75分割にさいの目切りされている豆腐。惣菜工場の負担を軽くするために開発しました。
やまみ 製造本部長
土橋 一仁さん
50分割までが技術的に限界だと思われていたが、水中でワイヤーカットすることで75分割ができるようになった。
これだけ細かいカットは弊社だけだと思う。
豆腐を横方向にカットするとき、いかに崩さずにできるかが課題でした。
そこで水の中でワイヤーを振動させ、豆腐を通過させることで摩擦抵抗が減り、キレイに切ることができました。
あとは縦方向にカッターを入れれば75分割のカット豆腐が完成です。
このように他社には真似できない大規模な設備投資がやまみの強みです。
そして西日本から東へ、富士山麓工場を拠点として関東圏市場拡大に注力します。
やまみ
山名徹社長
新たな競争力や良い商品を出すために思い切って設備投資をしている。
富士山麓工場にはまだまだ空いているスペースがある。今の工場がもう4棟建つスペースがある。
生産ラインは今の5倍にしたい。
そんな山名社長がいま力を入れているのが今年から発売の「北海道とよまさり」シリーズ。
やまみ
山名徹社長
北海道とよまさり大豆は甘くておいしいので"大豆の横綱"と言われている。
こちらの商品は5月中旬から関東のスーパーに納品している。
1日平均6,000丁の受注があり好調。
他社だとこのタイプは158円とか148円。
やまみの量産ラインで作ると128円とか98円とかの値段でおいしい豆腐が作れる。
今まで通り主力の低価格商品を展開しつつも中価格帯の高品質商品で関東市場の拡大を狙っています。
やまみ
山名徹社長
豆腐市場は5,000~6,000億円ある。
弊社が2番手グループだが、シェアは2~3%しかない。将来、業界が淘汰されたときに「やまみ」が残れるようになりたい。
「やまみの豆腐」を指名買いするお客様をもっともっと増やしたい。